フルートを吹いていると、音域によって吹き方が大きく変わってしまうことがあります。       高い音で、口をすぼめる。 低い音で、口をゆるめる。 音が当たるか不安になり、口元や楽器の角度を少しずつ変えて探してしまう。       もちろん、音域によって息の状態や身体の使い方は変化します。 けれど、音 […]

口を変えずに、息を変える─フルートの音域をなめらかにつなぐ練習【島村楽器 名古屋パルコ店|フルートインストラクター 森川健士】

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公開:2026年08月15日

更新:2026年08月15日

フルートを吹いていると、音域によって吹き方が大きく変わってしまうことがあります。

     

高い音で、口をすぼめる

低い音で、口をゆるめる

音が当たるか不安になり、口元や楽器の角度を少しずつ変えて探してしまう。

     

もちろん、音域によって息の状態や身体の使い方は変化します。

けれど、音域が変わるたびに口を作り直していると、低音・中音・高音がそれぞれ別の音色になり、音楽の線が途切れてしまうことがあります。

     

私が大切にしているのは、音域ごとに別の口を作ることではなく、一本の息の線の中で音域をつなげていく感覚です。

フルート・オカリナ インストラクター森川 健士

フルート・オカリナ インストラクター森川 健士

クラシックのフルート奏者として研鑽を積む一方、「和」の表現に定評がある。木製フルートを愛用し、尺八の技法であるムラ息、メリ、カリ等の奏法を取り込んだ音作りは、従来の西洋フルートの透明感に日本の陰影を重ねた音として評価を得ている。 ソロ・アンサンブルでのリサイタル、プロオーケストラの客演、その他商業施設や企業イベントでの演奏や、2025年パリ「Fête de la musipue」出演、メキシコ観光大臣ご一行の前での演奏等、様々な演奏活動を展開。 日本フルートコンヴェンション・アンサンブル部門金賞、同アンサンブルアワード部門入賞、その他コンクール入賞多数。 CBCラジオなどメディア出演もあり。

中音域を、音作りの基準にする

私は、フルートの音作りを考える時、中音域を基準にすることが多いです。

人間の声でいうと、地声に近い感覚です。

     

低い声を出す。

高い声を出す。

     

そんな難しいことをするより、まず自然に出せる声があります。

     

フルートでも同じように、まず無理なく鳴る中音域があり、そこから低音域や高音域へ広がっていくと考えています。

     

まずは、楽に効率よく自然に鳴っている中音域を作ること。

     

そこを基準にして、息の状態を少しずつ変えながら音域を探していきます。

鏡を見ながら、口を絶対に動かさない

私が実際に行っている基礎練習の一つに、鏡を見ながら、口を絶対に動かさずに音域を移動させようとする練習があります。

たとえば、次のような音型です。

A5 → A4 → A5 → E6(倍音)→ A5

この時、鏡を見ながら、口元が少しでも動いていないかを確認します。

     

低い音に行く時に口をゆるめない

高い音に行く時に口をすぼめない

音が出ないからといって、頭部管の当て方や角度を大きく変えない

     

この練習では、本当に口を動かさないようにします。

少しでも口で対応してしまうと、いつもの癖で音域を変えてしまうからです。

     

ただし、これは口を固める練習ではありません

     

口を力で固定するのではなく、口元の大きな変化に頼らず、息のコントロールを学ぶための練習です。

音域が変わらなくても、練習には意味がある

この練習の目的は、音域を移動させることだけではありません。

大切なのは、口を変えずに、息だけで音を動かそうと試みることです。

     

たとえA5からA4にうまく下がらなくても、E6の倍音が鳴らなくても、その試みの中で多くのことを感じ取ることができます。

     

息のスピードはどう変わったか。

息のは増えたのか。

音色は明るくなったのか、暗くなったのか。

音程は上がり気味なのか、下がり気味なのか。

身体のどこにが入ったのか。

     

それを観察することが、この練習の大切な目的です。

     

オクターブが成功したかどうかだけを見るのではなく、自分の息がどのように変化しようとしているのかを知る。

     

その積み重ねが、音域をコントロールする力につながっていきます。

同じA5の中にも、たくさんの種類がある

同じA5でも、実は一つではありません。

A4に近いA5。E6の倍音に近いA5。その中間にあるA5。

     

音名としては同じA5でも、音色音程息のスピード響きの密度、次に向かいやすい方向などが違います。

     

ただ音を当てるのではなく、その同じ音の中にある幅を感じ取ること。

そして、その中を通って音域を移動しようとすること。

     

そこに、この練習の面白さがあります。

低音はぼけすぎず、高音は頑張りすぎない

低音域は、口を緩めたり、息を緩くしたりすると出しやすく感じることがあります。

けれど、それに頼りすぎると、音の芯がなくなり、ぼけた音になりやすくなります。

     

反対に高音域は、口をすぼめたり、息を強く押し込んだりすると出しやすく感じることがあります。

けれど、それに頼りすぎると、音が硬くなり、頑張りすぎた響きになりやすくなります。

     

中音域を基準にして、低音域は中音域の芯を残したまま

高音域は中音域の柔らかさを残したまま

     

その感覚を作るために、あえて口を動かさず、息だけで音域を探していきます。

一本芯のある音へ

音域を変えるために、毎回口を作り直す。

それでも音は出るかもしれません。

けれど、音楽として考えた時、低音・中音・高音が別々のものになってしまうことがあります。

     

私が目指したいのは、音域ごとに分かれた音ではなく、低音から高音まで一本の芯でつながった音です。

     

口で音を探すのではなく、息で音の状態を探す

その中で、同じ音の中にあるや、音域が変わる境界線を少しずつ感じ取っていく。

     

この練習は、音域を変えるための練習であると同時に、変えすぎないための練習でもあります。

小さな変化を感じ取れるようになると、フルートの音はもっと自由に、もっと自然につながっていくのではないかと思います。

     

島村楽器 名古屋パルコ店

フルート・オカリナ インストラクター

森川 健士

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