レッスンの始めに、申し訳なさそうな表情で、 「今週は練習できませんでした。すみません」 と話される方がいらっしゃいます。 けれど、謝る必要はありません。 練習する時間が取れなかったのであれば、そのことを念頭に置いて、その日のレッスンを始めるだけなのです。 CONTENTS大人には、楽器以外にも大切な […]

「練習できませんでした」と謝らなくて大丈夫─忙しい大人がフルートを続けるために【島村楽器 名古屋パルコ店|フルートインストラクター 森川健士】

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公開:2026年06月26日

更新:2026年06月26日

レッスンの始めに、申し訳なさそうな表情で、

「今週は練習できませんでした。すみません」

と話される方がいらっしゃいます。

けれど、謝る必要はありません。

練習する時間が取れなかったのであれば、そのことを念頭に置いて、その日のレッスンを始めるだけなのです。

フルートインストラクター森川 健士

フルートインストラクター森川 健士

クラシックのフルート奏者として研鑽を積む一方、「和」の表現に定評がある。木製フルートを愛用し、尺八の技法であるムラ息、メリ、カリ等の奏法を取り込んだ音作りは、従来の西洋フルートの透明感に日本の陰影を重ねた音として評価を得ている。 ソロ・アンサンブルでのリサイタル、プロオーケストラの客演、その他商業施設や企業イベントでの演奏や、2025年パリ「Fête de la musipue」出演、メキシコ観光大臣ご一行の前での演奏等、様々な演奏活動を展開。 日本フルートコンヴェンション・アンサンブル部門金賞、同アンサンブルアワード部門入賞、その他コンクール入賞多数。 CBCラジオなどメディア出演もあり。

大人には、楽器以外にも大切な時間がある

私たちは、楽器を演奏することで生活しています。
そのため、練習は特別な努力というより、仕事であり、日常の一部です。

しかし、趣味としてフルートを楽しむ方には、仕事や家事、ご家族との時間があります。
ほかにも楽しみたいことや、ゆっくり休みたい日があるでしょう。

演奏家と同じ基準を、自分に課す必要はありません。

私自身も、天気が良ければバイクで出かけたり、山へ登ったりします。

人生には、音楽以外にも大切にしたい時間があります。

むしろ、
「音楽以外から得られる表現もたくさんあるので、どんどん色々なことに挑戦してほしい」
とさえ思っています。

楽器は生活を縛るものではなく、生活を豊かにしてくれるものです。
疲れた身体にむちを打ってまで、無理に吹く必要はないと思っています。

日常も音楽も全てを忘れて山に登る。

心と身体の状態は、音にも表れる

その昔、私生活でひどく落ち込む出来事があった日に、フルートのレッスンを受けたことがあります。
自分ではいつも通り吹いているつもりでした。

しかし先生から、

「心ここにあらず、という音だね」

と言われました。

自分では隠しているつもりでも、心の状態は音に表れていたのです。

疲れている時に無理をすれば、身体に余計な力が入ります。
気持ちがまったく乗らない時に吹いても、音楽に集中できないことがあります。

心がしんどい時には、心の機嫌を取る。

身体がしんどい時には、身体の機嫌を取る。

音楽を長く続けるためには、休むことも大切です。

練習できなかった日は、レッスンで一緒に練習する

練習できなかったからといって、レッスンへ行く意味がなくなるわけではありません。

一人では進められなかった楽譜を、一緒に読む。
その日の音を聴きながら、一緒に音作りをする。
難しい指遣いやリズムを、その場でゆっくり確認する。

レッスンの中で毎回一つずつ、できることを増やせるように内容を組み立てます。

家で練習できない週が続いたとしても、レッスンの時間だけで何も得られないわけではありません。

今日は一つの音をきれいにする。
今日は四小節だけ読めるようにする。
今日は先生と一緒に、曲を最後まで演奏してみる。

小さな一歩でも、それは立派な前進です。

練習は、長時間吹くことだけではない

楽器を出せない日でも、好きな演奏を聴くことはできます。

楽譜を眺める。
曲を口ずさむ。
リズムを手でたたく。
次に吹いてみたい曲を探す。

それも音楽と関わる時間です。

もちろん、それすらできない日があっても構いません。

一度身体や心で覚えたことは、数日休んだからといって、すべて消えてしまうわけではありません。

少し思い出すまでに、時間が必要なだけです。

レッスンは試験ではありません

レッスンは、練習の成果を採点する試験ではありません。

上手にできるところだけを見せる必要もありません。

できないところを見せるのがレッスン。
できない理由を一緒に探すのが先生。
少しずつできるようにしていく時間が練習。

だと思っています。

練習は上達のために大切です。

しかし、完璧に練習できない自分を責めて、フルートそのものを嫌いになってしまっては、とても寂しいことです。

毎日完璧に続けることよりも、無理のない形で長く音楽を好きでいること。

私は、その方がずっと大切だと思っています。

ですから、練習できなかった日も、どうか申し訳なさそうにレッスン室へ入らないでください。

今日できることから、また一緒に始めましょう。

島村楽器 名古屋パルコ店
フルートインストラクター 森川 健士

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