![先日、富士山に登ってきました。 私にとって富士登山は毎年の行事のようなものですが、今回はグループでの登山でした。中には登山に慣れていない方もいました。 富士山に限らず、登山で大切なのは、ただ足を前に出すことだけではないと思っています。 大切なのは、歩きと呼吸のリズムです。 CONTENTS速く登れる […]](https://www.shimamura.co.jp/shop/nagoya/wp-content/uploads/sites/50/2026/07/20260720-62362275042636436616.jpg)
山は逃げない、音楽も逃げない─富士山で感じるフルートの呼吸とリズム【島村楽器 名古屋パルコ店|フルートインストラクター 森川健士】
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- タグ管楽器講師・インストラクター
先日、富士山に登ってきました。
私にとって富士登山は毎年の行事のようなものですが、今回はグループでの登山でした。中には登山に慣れていない方もいました。
富士山に限らず、登山で大切なのは、ただ足を前に出すことだけではないと思っています。
大切なのは、歩きと呼吸のリズムです。
フルート・オカリナインストラクター森川 健士
クラシックのフルート奏者として研鑽を積む一方、「和」の表現に定評がある。木製フルートを愛用し、尺八の技法であるムラ息、メリ、カリ等の奏法を取り込んだ音作りは、従来の西洋フルートの透明感に日本の陰影を重ねた音として評価を得ている。 ソロ・アンサンブルでのリサイタル、プロオーケストラの客演、その他商業施設や企業イベントでの演奏や、2025年パリ「Fête de la musipue」出演、メキシコ観光大臣ご一行の前での演奏等、様々な演奏活動を展開。 日本フルートコンヴェンション・アンサンブル部門金賞、同アンサンブルアワード部門入賞、その他コンクール入賞多数。 CBCラジオなどメディア出演もあり。
CONTENTS
速く登れることが、良い登山とは限らない
登山では、楽な場所だからといって急に速く歩き、厳しい場所で急に遅くなると、呼吸が乱れやすくなります。
例えば、2歩で吸って、2歩で吐く。
そうした一定のリズムを保ちながら、自分の限界を越えないペースで進むことが大切です。
息が上がるペースで無理に進み続けると、体調を崩す原因にもなります。
上の方へ行くほど、数歩歩くだけでも息が上がります。
だからこそ、速く登ることよりも、呼吸を乱さず、怪我なく、無事に下山することが大切です。
登山は、頂上に着いた瞬間だけで終わるものではありません。
無事に帰ってくるところまでが、登山なのだと思います。

今回は、途中で下山する判断をしました
今回の登山では、途中で体調を考えて下山する判断をしました。
頂上まで行けなかったから失敗、ということではありません。
その日の体調、天候、グループ全体の様子を見て、無理をしない選択をする。
それもまた、登山の大切な一部です。
山は逃げません。
今日無理をしてすべてを達成しなくても、また向き合うことができます。

フルートも、呼吸とリズムが乱れると苦しくなる
これはフルートにもよく似ています。
練習していると、つい指や音を追うだけになってしまうことがあります。
難しいところは急に力が入り、簡単なところはなんとなく通り過ぎる。
吹きやすい場所では流してしまい、苦手な場所だけ急に頑張る。
けれど、それでは曲全体の呼吸が乱れてしまいます。
登山で、楽な道だけ速く歩き、急な坂で急に息が上がるのと少し似ています。
テンポはゆっくりで構いません。
最初から最後まで一定の歩幅で進むように、音楽として吹けるかどうかは、とても大切なことだと感じます。
難しいところだけが、音楽ではない
曲は、難しい部分だけでできているわけではありません。
簡単に吹けるところにも、音楽としての役割があります。
すべてを同じ表情で吹くという意味ではありません。
ただ、難しいところだけを大切にするのではなく、簡単に吹けるところも同じように丁寧に扱ってほしいのです。
指が動くかどうか。
音が当たるかどうか。
もちろん、それも大切です。
しかし、その前に、曲全体の流れがあるか。
呼吸が続いているか。
最初から最後まで、音楽として歩き続けられているか。
そこを大切にすると、演奏の印象は大きく変わります。
アンサンブルも、全員の呼吸を感じながら進むもの
これは一人で練習する時だけでなく、誰かと一緒に演奏する時にも大切なことです。
グループ登山では、自分だけが速く登ればよいわけではありません。
前を歩く人も、後ろを歩く人も、お互いの呼吸や足取りを感じながら進む必要があります。
アンサンブルも同じです。
自分のパートが吹けているかどうかだけを見ていると、音楽全体の流れから離れてしまうことがあります。
大切なのは、自分の音を出しながらも、周りの音を聴くこと。
相手の息遣いやテンポ、音の向かう先を感じながら、全員で一つの音楽を作っていくことです。
時には自分が前に出る。
時には誰かを支える。
時には全員で同じ呼吸に乗る。
アンサンブルでは、速く進むことよりも、同じ景色を見ながら一緒に歩くような感覚が大切なのだと思います。
自分の呼吸を見失わずに
速く登れることが、良い登山とは限りません。
難しい曲を早く吹けることだけが、良い音楽でもありません。
ゆっくりでも、自分の呼吸を見失わず、最初から最後まで音楽として歩き続けること。
それが、フルートを長く楽しむためにも大切なのだと思います。
山は逃げません。
音楽も、逃げません。
今日できなかったことは、また次に向き合えば大丈夫です。
自分のペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。
島村楽器 名古屋パルコ店
フルートインストラクター 森川 健士

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