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【イベント】

HOTLINEは、島村楽器が1976年からプロデュースしている「完全ライブ」にこだわったバンドコンテスト。年齢やジャンルを問わずエントリーすることができ、島村楽器全店で行われるショップオーディション、次いで全国11ブロックで開催されるエリアファイナルを勝ち抜いた10数組のアーティストが、ジャパンファイナルのステージに立つ。
長年HOTLINEを身近で見続けてきた担当課のマネージャーに、その裏側を語ってもらった。

楽器店の店員としての向き合い方で楽器店だからこそできることを 営業推進本部 イベント推進課マネージャー 伊藤

いとう
伊藤
2002年入社

営業推進本部 イベント推進課マネージャー
2002年に九州地区の店舗にアルバイトとして入社。その後社員となり、2006年に店長昇格。その後関西地区へ異動し、2010年より関西地区エリアマネージャーに。2015年よりイベント推進課マネージャーを兼務。歌、エレキギター・ベース、ドラムを(広く浅く)演奏するマルチプレイヤーだが、一番好きなのはアコースティックギター。

自身とHOTLINEとの関わり

バンドの応援に明け暮れた若手時代

伊藤

HOTLINEは、各店舗で参加バンドを募り、エリアファイナルへの出場者を決めるショップオーディションを行うところから始まります。そのため、オーディションの運営や参加バンドとの窓口役を務めるHOTLINE担当者が各店舗にいます。私は、入社3年目で初めて店舗の担当を経験し、以来ずっとHOTLINEに関わり続けてきました。マネージャー職になってからは、エリアファイナルの審査委員長も何度か経験させていただきました。

島村楽器の男性社員には、学生時代にバンド活動をしていた人が多いのですが、私もその一人です。アルバイトとして入社した当初も、ひたすらギターのお客様の接客をするか、店舗のスタジオで練習中のお客様のバンドに飛び入り参加して楽曲のアレンジやサウンドについて意見するか…という感じでした。社員になってからも、相変わらずバンドを応援する企画ばかりやっていました。店舗が入居しているショッピングセンターの屋上で野外ライブを開催したこともあります。あまりに盛り上がりすぎて、隣接するホテルから苦情をいただいたこともありました。今となっては良い思い出です。

関わるほどに見えてきた魅力

元々がそういったスタンスなので、HOTLINEを最初に担当することになった時は、「好きなことをやって給料が貰える!」くらいの気持ちでいました(笑)。ところが実際に関わってみると、例年5月に始まる出場者募集から11月のファイナルまで、出場者の方々それぞれのドラマを目の当たりにすることになり、自分もバンドの一員、あるいはマネージャーになったかのような気持ちを味わいました。出場者だけでなく観覧者も含め、イベントにかかわる全ての方のミュージックライフに一時でも携わることができる。そしてそれが自分の人生の一部になっていく過程に、やりがいを感じるようになりました。

関わり始めて十数年経った今でも、毎回、心の底から面白いなと感じています。とくにエリアの代表が集結するファイナルでは、皆さんが地域の想いを背負っているので、一人ひとりの「本気」が伝わってきます。さながら音楽ライブの甲子園を観ているような感覚ですね。

醍醐味は「ライブ」という非日常の体験

伊藤

HOTLINEは、ショップオーディションの段階から、音源による審査ではなく店舗のスタジオで演奏していただく「完全ライブ」にこだわっています。単に日本一のバンドを決めるのが目的であれば、レコード会社などでよく行われているように、音源を一挙に集めて審査する方法もありますが、島村楽器が目指しているのはそこではない。店舗のスタジオは決して広くはありませんが、足を運んでいただいて、実際にライブをしていただくことに意味があります。

ひと昔前とは違い、今はインターネットを通じて多くのお客様が、楽器や演奏についてあらゆる情報を持っていらっしゃいます。かつては、お客様よりも詳しい情報を持っている店舗のスタッフがお客様にあれこれお教えする、という分かりやすい図式が成り立ちやすかったと思いますが、今はそうではありません。ただし、情報を持っているお客様といえども、「経験」は持っていないことが多い。予選の段階から、各店スタジオでのライブというご自宅ではできない非日常的な経験をしていただくところに、HOTLINEの醍醐味があると思っています。

島村楽器が「完全ライブ」のイベントにこだわる理由

「体感」こそが楽器店の強み

私自身が、入社当初から「バンドの応援」を信条に、来店されるバンドさんと密に関わりながら仕事をしてきました。機材の相談なども当たり前のように受けたりするなかで、恥ずかしい話ですが、自分自身をプロデューサーか何かのように錯覚してしまったことがありました。でも、私たちはレコード会社でもイベンターでも芸能プロダクションでもなく、楽器店です。楽器店の仕事は、地域で活躍するバンドやアーティストの方の応援をして、そのなかで信頼関係を築いていくことにほかなりません。

そのことを再認識してからは、自分が「楽器店の店員」であることを常に念頭においてバンドさんと接するようにしてきました。もちろん頼っていただけると嬉しいし、自分にできる範囲であればアドバイスもさせていただきますが、「楽器店の店員」という範囲内で考えなければいけないと思っています。

伊藤

バンドやアーティストの方と信頼関係を築くために何が必要かと言えば、私は「音の話ができること」だと思っています。機材の性能の説明ではなく、その機材を使うとそのバンドさんの音がどういった感じになりそうかという話ができると、こちらの話に興味を持っていただけるようになります。さらにいえば、せっかくスタジオがあるのですから、例えばギターのエフェクターなら実際にスタジオで試していただいたり、場合によっては他のメンバーも呼んで演奏していただいたり(笑)。実際にギターアンプから音を出して、ドラムも実際に叩いて気になっている楽器や機材の試奏が出来るのは、リアルの店舗ならではの強みです。

先ほど、HOTLINEの醍醐味は、予選段階からの“非日常感”だという話をしましたが、店舗を構えている私たちだからこそ、完全ライブという“体感”に重きをおいたイベントをプロデュースする意味があるのだと思いますし、そこを大切にしたいと考えています。

イベント推進課が目指すもの

ノウハウの継承と若手スタッフの育成に注力

伊藤

HOTLINEの運営面では、エリアファイナル、ジャパンファイナルともに、観客の動員数に対するプレッシャーは毎回感じています。出演するアーティストには、満員の会場で思い切り演奏してほしいですからね。エリアファイナルは、例年9月から10月にかけて行われるので、今まで何度も台風の直撃を受けました。それでもずぶ濡れになりながら来てくださる方も大勢いて、本当にお客様に助けていただいています。

また、スタジオでの予選ライブ運営などは、スタッフにバンド経験者が多いこともあり、これまでは暗黙知できていた部分も大きく、店舗数が増えるなかで若手の担当者にノウハウを継承していくための工夫が必要になってきています。実際にスタジオでデモ演奏を交えた研修を実施したり、動画のマニュアルを作成したりなど、ベテラン社員協力のもと試行錯誤しています。

経験の少ないスタッフにとっては、最初の出場者募集が関門になるケースも多いですね。いたずらに数を集める意図はありませんが、イベントを盛り上げ、魅力あるものにするためには、ある程度の出場者数を目指す必要があります。とくにバンド経験のないスタッフの場合は、バンドさんに出場を呼びかけるうえで、どういった声かけをしたら良いかが分からないようです。それは、研修やノウハウの継承により教えられる部分ではなくて、いかにバンドさんに信頼していただけるかにかかってくると考えています。つまりはバンドさんに対して、楽器店の店員としての立場で、スタッフが影響力を持てるかどうか。スタッフが、お客様から信頼や共感を寄せられるような存在になれるように育成していくことも、私の今の重要な仕事です。

私自身は、販売員の基本であるお客様の問題解決や、提案販売、コミュニケーションのとり方、店舗運営における顧客管理など、営業に必要なことはすべてHOTLINEを通じて学んだと言っても過言ではありません。若手スタッフにも、HOTLINEとのかかわりを通じてそういった気づきを得ながら、イベント自体を存分に楽しんでもらいたいと考えています。

日常的に音楽を楽しむ人が集まる場づくり

楽器店に併設しているスタジオのご利用状況や、HOTLINEにエントリーしていただくバンド数の推移を見ていると、近年、バンドの数自体が減少傾向にあるのを実感します。一方で、個人利用のお客様や、2~3人までの編成のグループは増えています。島村楽器では、アコースティックなアーティストを対象にしたアコースティックパラダイス(通称「アコパラ」)というコンテストも開催していますが、実はこちらの出場者数は増加を続けています。メンバーの人数や機材の面で比較的大掛かりなバンドスタイルで音楽を楽しもう、という動きが世の中的に少し落ち着いてきているのかな、という気がしています。

しかし、お客様がどういった音楽に影響されて、どのように楽器演奏を楽しむのか、ということは当然ですが私たちがコントロールできる事柄ではありません。ネットの動画などがきっかけで、一人で音楽を楽しむ人が増えているのだとしたら、その方たちが、島村楽器の店舗を通じてより大人数で演奏をする楽しさを感じたり、発見したり、ということが可能になる場へ変化させなければいけません。

イベント推進課という名称ではありますが、今後は「山場」としてのイベント推進だけではなく、より日常的に音楽を楽しむことを後押しできるような取り組みを考えていくのが使命だと思っています。HOTLINEしかり、規模が大きくて刺激的なイベントでしか味わえない良さというものは間違いなくあるので、それ自体はもちろん継続していきたいのですが、一方で、特定の人が主役になるのではなくて、皆が昨日の自分よりも「ちょっとできるようになった」とか、そういったことを感じられる場が必要なのではないかと思っています。

伊藤

キーワードを挙げるなら、「サークル」とか「コミュニティ」という言葉が近いですね。いつでも、何歳になっても、新しく楽器を始めようとした時に島村楽器の店舗に行けば同じような仲間がいて、いつも誰かが何かの楽器を演奏して楽しんでいる……店舗をそういった場にしていくことが、今いちばんやりたいことというか、夢ですね。せっかく、楽器が演奏できるスタッフが多いのだから、お客様と「一緒に楽しむ」ということがもっとできるようになるといいなと思っています。それ自体が、お客様の来店動機にもつながっていきますからね。

HOTLINEはコロナ禍に伴い2020年より休止しております。アコースティックパラダイスは同様に休止しましたが、2021年より開催形式を変更しながら再開しております。「サークル」・「コミュニティ」は現在「音楽仲間とつながるならオトナカマ」として展開しています。

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