ピアノレッスンレポート「25の練習曲Op.100より〈すなおな心〉/ブルクミュラー」

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2022年10月24日

こんにちは。ピアノインストラクターの村上です! こちらのピアノレッスンレポートでは、毎回会員様からのご質問にお答えしています。 今回は、「25の練習曲Op.100より〈すなおな心〉/ブルクミュラー」です。 CONTENTSブルクミュラーってどんな人?25の練習曲について演奏ポイント終わりに執筆者:村 […]

こんにちは。ピアノインストラクターの村上です!

こちらのピアノレッスンレポートでは、毎回会員様からのご質問にお答えしています。

今回は、「25の練習曲Op.100より〈すなおな心〉/ブルクミュラー」です。

ブルクミュラーってどんな人?

ヨハン・フリードリヒ・フランツ・ブルクミュラーさんはどんな人?

1806年~1874年、ドイツの音楽一家の長男として生まれ、デュッセルドルフ市音楽監督など様々な音楽の仕事に就任後、1832年以降・26歳以降はパリを拠点に流行作家として音楽活動をしていました。

「25の練習曲Op.100」はパリで作曲されました。バレエ曲・舞台用のオーケストラ作品・歌曲等を作曲しましたが作曲家として高い評価を受けた記録は残っていないそうです。ピアノ講師として人気を博していた事とピアノ用小品を600曲近く作曲したことで、ピアノ教育用作品を作曲する事で名を残した、当時には珍しいタイプの作曲家です。

25の練習曲について

日本では日本では入門期のピアノ教則本として広く使用されています。かく言う私も会員様の初心者レッスンにはたまに使用する事があります。同じ入門期に勉強するであろうバイエルと全く違った音楽の楽しみ方が学べるので、バイエルの対比としても使えるんですよねー。

音楽の楽しみ方のお話ですが、25の練習曲の中で早いテンポの指定があまりありません。エチュードにありがちなAllegroという表記も色々な言葉を足して表現していますし、エチュードには珍しい、遅く弾く指定の曲も存在します。早いテンポで弾くだけが音楽じゃないという事を暗示する面が見えてきます。

調性も、調号のないハ長調から始まり、ト長調やヘ長調など調号の少ない調性が多く、少しずつ♭や♯に慣れていく事ができます。拍子についても、4分の4拍子、4分の3拍子、8分の6拍子等が満遍なく配置され、レベルもざっくり初級→中級→上級に徐々に上がっていけるような作品を集めているため、レベルアップが感じられる構成になっています。

〈すなおな心〉は〈すなおな心〉への憧れ?

今回取り上げる25の練習曲の1曲目、フランス語で"La candeur"と表記されています。確かに辞書では「純粋な、無邪気な」という意味が上がってきますが、例文を見ていると「その良い子ぶった演技..」「いつか私も"無垢な在り方"に 慣れるはずだ」など、皮肉を言う為に使われる単語として出てきます。

25の練習曲自体パリで作曲されたと考えられているため、26歳以降に、つまり大人になってからピアノ教師として傍で子供たちの成長を見ながら作曲されたのではないかと推測されています。様々な経験を経て大人になって初めてわかる「純真さ」への懐かしさ、大切さみたいなものが表現されているかもしれませんね。

演奏ポイント

ポイント①レガートを切らないように演奏しましょう

冒頭、右手の旋律に長ーーーーーーーーーーいスラーがかかっています。スラーは「音を繋げて滑らかに演奏する」という記号ですが、左手の和音の切り替えにつられてしまい、右手も切ってしまっていませんか?

右手は鍵盤を押したまま左手だけを鍵盤から離すという、左右で全く違う動きを、指だけでやろうとすると動きにくくなってしまうので腕ごと肩ごと動かすつもりで弾いてみましょう。

1小節目から2小節目へメロディが移る際、下のドから高い方のドまで一気に上がります。実際に歌ってみると分かりますが、この部分を歌う為に大きくエネルギーを使います。これに合わせて少し音量を上げましょう。これが終るとメロディは段々低い音、つまりあまりエネルギーを使わなくても済む音に下がっていきますので、音量も少し下げてみましょう。

ポイント②左手にも時々スポットライトが当たります

9小節目以降の中盤ですが、右手が伸ばす音符の時、左手が何やら忙しくしています。右手のメロディに答えるようにここだけ一時的にメロディになります。二人での会話のように、一人が喋っていて、もう一人は「うん、うん、そうやね」と相槌を打ってくれるような感じですね。ここは伴奏のように弾かずに主役のように右手と同じ音量で弾いてみてください。

ポイント③同じ旋律は同じように弾かない

一番最後の辺り、2カッコの後、同じことをする小節が2回出てきます。そのまま弾いてしまうとロボットのような演奏になってしまいますので、同じ事をする箇所は同じように演奏しない事を心がけて下さい。テンポを揺らす、強弱を変えるなどなど。。今回は強弱記号が違いますね。f(フォルテ:強く)とmf(メゾフォルテ:少し強く)ではfの方が音量は大きいため、1回目は大きく、2回目は小さく弾くと良いでしょう。

終わりに

ブルクミュラーに入った方は、音楽表現をより学ぶ機会な曲としてお楽しみ頂ければと思います。

執筆者:村上友巴(当店ピアノインストラクター)

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