【音楽教室コラム】「音楽と、暮らす。」第一回:MASAX

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2019年06月20日

*第一回 MASAX [!!――先生がサックスをはじめたきっかけは?!!] きっかけはね、槇原敬之の【彼女の恋人】っていうCDの最後にテナーサックスのアドリブがブワーッて入ってるんですけど、それがすごいカッコよくて、で、あぁやろう!って思って。最初はテナーをやろうと思ってたんですけどね。 [!!―― […]

第一回 MASAX



――先生がサックスをはじめたきっかけは?

きっかけはね、槇原敬之の【彼女の恋人】っていうCDの最後にテナーサックスのアドリブがブワーッて入ってるんですけど、それがすごいカッコよくて、で、あぁやろう!って思って。最初はテナーをやろうと思ってたんですけどね。

――それは具体的にはおいくつくらいの時ですか?

11歳かな。それがインパクトがあって。

――ということは小学校の頃からサックスは吹いていた?

いや。中学校からなんですよね。吹奏楽部から。

――中学校から始められて今でも続けてらっしゃるなら、生活の中に音楽がかなり浸透していますよね。実際に、一日の中でいつサックスを吹いていますか?

子どもが生まれてからは子どもの機嫌が比較的良い午前中にやりますが、出来なかった時は子どもが寝た後に吹いてます。

――楽器って一生の趣味になると思うんですけど、音楽を長く続けるコツというか、ずっと好きでいられる秘訣はありますか?

そうですね、好きでいるコツ...。
わたしは、音楽って、昔と今と捉え方が違うんですけど、なんかこう例えば、風景とか、そいうものと音楽とセットになってたんですよね。

――風景と音楽が?

うん、例えば、風景だったら自分の感情だったり、そういうのとその時に合う音楽をさがして聴いてたって感じなんですよね。で、いろんな曲、ジャンル問わず、ポップスだったり、ジャズだったり、映画音楽だったり、それはいろいろなんですけど。
そういう感じでいろんな音楽とつながっていったから、その時々で好きな音楽も変わってくるし、それがたぶんずっと好きでいられるコツというか。自分のその時の感情に合わせた音楽をチョイスしていくというか。まぁ、聴くだけの時はそうです。
やりはじめたら、でも、やりはじめても結局そうかな、自分の気持ち、感情、その時の状況で演奏する音楽も変わるというか。それは、大きいかもしれないです。



――例えばなんですけど、ライブで急に、演奏する曲を今の感情に合った曲に変えたりというのはありますか?

あります、あります。全然あります。
お客さんのリアクションとか見て「次の曲ちょっと違うな」、と思ったら変えたりします。

――それは例えば、悲しいという気分の時に、それを助長させる曲を選ぶのか、元気になる曲を選ぶのかどちらですか?

あぁどうかな。でもね、やっぱり、悲しい気分の時にすごい悲しい気分になる曲を演奏したりしましたね。悲しい曲を例えば、大失恋の曲とか、捨てられた曲とか、すごい恨みつらみの曲なんかを、その時のその感情でやる方が表現できるんです。

――聴いてみたいです!

いや、でも重いですよ(笑)。あとで、聴き返しても、わぁダークやなって思う事はあります。自分でビックリするくらい。

――でも、それだけ、その時の感情を音で表現できるってことですよね。

そうです、そうです。悲しい時に元気な曲やっても、いまひとつっていう時もあります。だからといって、暗い曲ばかりっていうわけにもいかないですけどね。でも選曲は、ハッピーな時ハッピーな曲を選ぶし、悲しい時は、悲しい曲を選ぶし。



――先生が恋愛してたときに、キュンキュンというか、ときめきみたいなものを一番込めて吹く曲ってありますか?

【Haven’t We Met】って曲があって、その曲は出逢いがあって、傘がパーンとぶつかって、「あっすいません」って言ったところから恋愛がはじまるみたいな、そういう素敵な曲があるんですけど、これはすっごい好きで、キュンキュンしてた時はめっちゃ歌ってました。

――先生、歌も歌われますものね。

あ、はい。そうです。歌はやっぱり歌詞がつくから、すごいなんかね。

――歌詞のある曲をサックスで表現するときは、どういう風に工夫されてますか?歌う時とはまたちょっと違いますか?

歌の曲を楽器でやるってなったら、わたしは完全に別物になってしまうというか。やっぱり理論的になってしまう。でも、ゆっくりとした曲だったら、けっこう歌詞の内容とかかみ砕いて演奏はするんですけど、割と速い曲とかテンポがまあまあある曲は、歌詞の意味よりも、曲のグルーヴ感を意識しますね。



――歌ってるときの途中で、サックス吹いて、また歌って...。

忙しいですよ(笑)。それでもギャラは別に2人分もらえるわけじゃないから。1.5倍にしてって(笑)。


「あの人」の、「あの人」。


――先生が影響を受けたサックス奏者はいらっしゃいますか?

Art Pepper(アート・ペッパー)です。大好きです。

――どんな方ですか?

白人のアメリカの西海岸側の人だったと思うんですけど、けっこうサラッとしていて、すごい音色がきれいやし、小鳥がさえずってるみたいな感じのサックスなんです。それがすごい好きで。

――ジャンルでいうと?

ジャズなんですけど、すごい軽快な感じで、フレーズも軽快やし、音色もすごい綺麗やし。ほんで、イケメンやし。

――(スマホの画像をみて)男前ですね!

天才と言われて、どの演奏聴いても完璧って言われるくらい称賛されてたんですけど、薬物におぼれちゃうんですよ。・・・50代で亡くなって。で、いまそのArt Pepper(アート・ペッパー)とちょっと近いなって思うプレイヤーが、Dick Oatts(ディック・オーツ)っていう人がいて、その人はけっこう好きですね。アルトサックスではDick Oatts(ディック・オーツ)が好きです。めっちゃかっこいいです。音色もプレイスタイルも似てるというか。



――ジャズだから、コテコテのというよりはサラッとした感じのがお好みですか?

そうですね。でも自分がやってるのはめっちゃコテコテなんですけどね(笑)。

――あははは。聴くのと演奏するのと違うっていいますものね。

でも、サックス吹いたらめっちゃ関西弁て言われるし。フレーズが関西弁やなって。

――そういうのって出るんですね!

出ますね。絶対出ますよ。めっちゃ関西弁やなって言われて。ちょっとショックですもん。わたしはArt Pepper(アート・ペッパー)めざしてるのにみたいな。

――ちなみにどのへんが関西弁という感じが出るんですか?

ん~なんですかね、どのへんですかね。アクセントが強いとか。

――あはははは。

なんかこうガーッて音を詰め込むっていうか。いっぱいしゃべるでしょ?関西弁て。

なんかそういう感じじゃないですかね。立て板に水みたいにしゃべるから、関西人て。

――それでいくと東北の人とかはゆっくりそうな感じがしますね。

そう!(笑)だから、東北でライブしたら、わたし、あんまりウケへんかったですよ。



――やっぱり関西の人はノリやテンポ感が違うんでしょうか・・・。

そうなんですよ。名古屋の人は、それが面白いって言ってくれるからすごい楽しいですけど。お客さんもいじってくれるし、わたしのこと。

――ウェルカム感があるというか。

そうですね、お客さんはウェルカムな感じですね。


音楽を人生を変える。人生が音楽を変える。


――音楽の表現をする時、刺激を受けてるものはありますか?

今だと、子育てですかね。



――お子さんを産む前と産んだ後と何か変わったりするんですか?

自分ではわかんないですけど、どうかな、出産前はけっこうストイックに演奏してたというか。お客さんが聴いてて楽しい演奏をもちろん心がけてたけど、でもやっぱり自分が、例えば練習したこととか、得た知識を出そうみたいな。そっちがけっこう強かったかな。
だから、ちょっと自己中心的な演奏だったのかもしれないですけど、この間息子が主人と一緒に、はじめてわたしの演奏を聴いてくれたんですけど、すごいおとなしく、身を乗り出して聴いてくれて。

――えーーー!嬉しい!!

そうなんですよ。で、その時に、なんかこう、愛?息子への愛がすごい溢れた演奏になったんちゃうかなって。すごいハッピーな気持ちになったから。いままでに味わった事のないハッピー感ていうんですかね。すごい穏やかな、ねぇ、愛というか。

――なんだかとても微笑ましいです。お子さまが先生の演奏スタイルを変えてしまうくらいの大きな存在なんですね。

なんなら芸名ママックスに変えようかな思うて。

――(一同爆笑) かわいい~!!!めっちゃかわいい!!!

もう関西のお客さんには、マサックス、ママックスみたいな。



音楽で自分を表現し、他者とつながる。


――歌で伝えたいことと、サックスで伝えたいことはそれぞれありますか?

歌は、歌詞のね、意味を。言葉で伝えたいですね。サックスは歌詞がない分、音色で勝負になってくると思うんですけど、音色でどんだけ人の心にうったえられるか、伝えられるかですね。

――私生活で言葉で伝えることが多いか、態度で伝えることが多いかどっちですか?

やっぱ言葉かな。だまってられへん!

――あはははは。

黙ってるときもありますけどね。

――音楽を通じてプラスになったことは?

当たり前にあったから、プラスマイナス考えたことないですけど、でもやっぱり、自分を解放できるツールなので、そういう意味ではプラスですね。社会で生きてく上で、いろいろイーッてなることがあっても、演奏したあとって、すごい浄化された感じがするんで。

ライブってわたしにとっては、お客さんとエネルギーの交換の場なんですよ。そのエネルギーをわたしも出すんやけど、お客さんからももらうというか。だからすごい楽しいです。演奏活動はやめたくない。演奏メインでいてたいと思うんです。



好きか、嫌いか。


――先生の楽器についてお聞きしてもいいですか?

これね、5年くらい前に大阪の【サウンド風雅】っていうビンテージショップがあるんですけど、そこで見つけたんです。

――とても素敵な楽器です。

そうですね、80年前位くらいのものです。これも音色が良かったから。わたしはすごくブライトな音色なものが良くて、レスポンスがすごく良いので、すごい気に入って買ったんです。でも最初なかなかなじまなくて、リペアもけっこう長い間、2ヶ月くらいかけて直してもらったし、で、やっと安定した感じなんですけど。

――1番最初に持ったサックスは?

セルマーです。セルマーのシリーズ2です。でも、全然なんか好きになれなくて。まず音色と吹き心地が最悪っていうか。親に買ってもらったのに。



――それは中学生の時ですか?

中学校の時です。でも、今思えばべつに悪い楽器じゃなかったんですけど、同じ時期のシリーズ2を友達が持ってて、それを吹かしてもらったら、めっちゃ良くって。こんなに違うんやと思って。選定してくれた先生がクラシックの先生やったんですけど、もうクラシック好みの音色で。結局それは兄弟弟子に売ったんです。それでこれを買ったんです。

――その頃から自分の中で音の好みはありましたか?

あります、ありました。

最初に入部した時に、ヤマハのF#キィが無いすごい古い楽器をはいって渡されて、

それでもすごい良い音してたんです。そっちの方が良い音してたとわたしは思うんですけど。音に対してはこだわりがめちゃくちゃあります。

――中学生の頃からこだわりがあるなんてすごいですね。

音はありますね。

――自分に合ったサックスの選び方や先生のこだわりってありますか?

やっぱり音色。まず音色。あと、吹きやすさですね。でも音色が一番ですね。例えばヴィンテージの楽器って、年代とかメーカーによって指のキィのタッチが違うから、操作性がいいかどうか、そういうのもありますね。ヴィンテージはすごい音色良いんですよ。でもなんか使いにくいの多いんですよ。

――日ごろ聴いてた音楽に影響されましたか?

理想というか、自分がこういう風に吹きたいとか、こんな音出したいとかはいつも思ってましたね。ジャズっぽい音出したいなとは思ってたから。

――わたしはジャズ!って感じに早い段階からなってたんですね。

そうですね、なってましたね。でも結局は大学はクラシックの道に行かされてしまって。ジャズ科に入りたかったんですけど。だから全然楽しくなかった。暗黒でしたよ、暗黒。

前期でやめようとしてましたもん。学生課に退学届くださいって言いに行って。

――大学時代は、耐えてクラシックを続けられたんですか?

耐えましたね。



――耐えたからこその、今の演奏がある?

あんまりないかな。クラシック忘れちゃいましたからね。吹き方も忘れたし。でも、基礎練習の方法とか、サックスの基礎になる部分は、やっぱりクラシックで学んだから。

ジャズしかやってないジャズ畑の人たちとは違うよねとは言われますね。

――そう考えるとプラスにはなっているんですね。

そう...かもしれないですね...。あんまり思ってないかも(笑)。譜面に強いとか、譜面読むのは早いとかはありますね。ていっても、ジャズってそんなに難しい譜面ないから。クラシックって譜面真っ黒で、16分音符とか32分音符とか何連符とか、ブワーッって書いてあるやつを一生懸命読んでたから。

――これから音楽を始めようと思っている人に一言。

迷ってるってことは、もうやりたいってことやと思うんで、やるべきやと思います。一回やってみて。絶対楽しいし!熱心な方や、サックスがお好きなんだなと思う方が多いので、わたしもがんばろうってなるし。サックスってポップスとか映画音楽とかジャズも、けっこうジャンル幅広くできるというか。やっぱ色んなジャンルで使わることが多い楽器、クラシックはあんまないけど、色んな曲を演奏できるっていう楽しみがあるんですよね。

――最後に、先生にとって「音楽」とは?

身体の一部です。きっと音楽無しでは生きていけないし、無い生活はありえないですね。音楽に触れていいる時は、「魂」が浄化されている気がします。


MASAX(マサックス)

大阪音楽大学短期大学部音楽科卒業。
2015年第8回なにわジャズ大賞・第52回なにわ芸術祭新人奨励賞受賞。
2016年第17回神戸新開地ジャズボーカルクイーンコンテストグランプリ受賞。
2017年第5回岡崎ジャズボーカルコンテスト審査員特別賞受賞。
関西や東海地方のライブハウス等で演奏家として活躍中。島村楽器イオンモール大高店サックス科講師。

※現在こちらの講師の入会募集は終了しております。

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「今の暮らしに、ほんのちょこっと音楽を。」をテーマにイオンモール大高店のスタッフが音楽と暮らすあの人を紹介するコラムです。音楽と生きる、というとちょっと大げさ。けれど、もしも今の暮らしに、お仕事や子育ての合間に、音楽があったら?天気のいい日に楽器を持って出かけられたら?音楽が暮らしにある喜びを、あこがれのあの人を通じてお伝えします。

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