ピアノレッスンレポート「18の練習曲Op.109より≪大雷雨≫/ブルグミュラー」※演奏動画あり

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2023年10月26日

こんにちは。三宮オーパ店、ピアノインストラクターの村上です。 こちらのページでは会員様からのご質問や楽曲解説について掲載しています。今回は「18の練習曲Op.109より≪大雷雨≫/ブルグミュラー」です! CONTENTS「18の練習曲Op.109」とは?18の練習曲Op.109より≪大雷雨≫演奏ポイ […]

こんにちは。三宮オーパ店、ピアノインストラクターの村上です。

こちらのページでは会員様からのご質問や楽曲解説について掲載しています。
今回は「18の練習曲Op.109より≪大雷雨≫/ブルグミュラー」です!

「18の練習曲Op.109」とは?

1858年にフランスで出版されたこの曲集は、「25の練習曲」に続く第2巻めとなり、より高度な演奏テクニックや表現力が要求されます。各曲ごとに想定されている楽曲の様式を学び、音色やバランスを感じて響きをつくり、タイトルから曲想を想像しながら音楽的な表現をさらに深められるものとなっています。ロマンティックで魅力もたっぷりで、本格的なロマン派作品への入り口(練習曲)としても最適です!

中級手前(ツェルニー30番)程度の練習曲集という性格なので、曲の全てが2ページと短めになっています。18曲という曲数も、全てを弾き終えることが現実的に可能な曲数なので是非どの曲も弾いてみて下さい。1曲ずつよく見てみると「25の練習曲」の指の使い方のレベルが上がるなと感じるような、関連する曲で構成されています。曲の中で転調するのは「18の練習曲」で初めてですので、その意味でも上達を感じられることでしょう。

ここで、その中でも比較的演奏しやすい≪大雷雨≫について少し見ていきましょう。

18の練習曲Op.109より≪大雷雨≫

題名の「嵐」のとおり、ピアニシモからフォルティシモまでのデュナーミク(英:ダイナミック)の幅が広い曲です。右手の動きは手首などに余計な力が入らないように弾きます。この曲もテンポアップが必須ですが、筋肉を硬くしないようにゆったりとしたテンポで慣れてから速度を上げていきましょう。

演奏ポイント

ポイント①sf(スフォルツァンド)に対するイメージは?

曲の冒頭はPP(ピアニッシモ)で始まります。なんだか嵐の予感ですね。。
この曲、基本的に左手メロディ・右手伴奏の、左手が曲を引っ張っていくような構造で始まります。
右手の高音で始まらずに、左手ならではの低音で始まる意味って、一体何でしょうか?

楽譜①

赤丸をしているsf(スフォルツァンド)は、一般的には「その音を、前後にくらべて強く(強調する)」ですが、「前より空気を変えたい」「フレーズを新しくしたい」という意図で書かれる場合もあります。
今回のsfはどちらでしょうか?
そして中盤にもこのsfが登場します。

楽譜②

1つの音にしかつけられていないsfって、、楽譜①のsfとはどう違いをつけて演奏するのでしょうか??
ただForteという言葉が入っているからと言って、どの場所も同じくffくらいで演奏してしまうのは、前後関係の強弱から見て違うかと思いますので、楽譜①の方ではp の中で用いられているため sf は mp か mf くらいに、楽譜②の方ではf の中で用いられているため sf は ff くらいで演奏して頂くのが良いですね。

ポイント②曲のピークはどこ??強弱に注目

楽譜③

楽譜③は楽譜②の続きです。
ffの中でのsfで楽譜が始まっています。ここが恐らく曲のピークですね。大きい雷が落ちたんでしょうか・・
そこから急降下してたった1小節でPまで落ちていきます。これまでずっと長い時間をかけてffまで登ったのに、途端に落ちてしまうというのは、一体どういうイメージしょうか、演奏する方は大変ですね。笑

ポイント③転調!明るく高い音が主役?

楽譜③の最後、青丸をつけていますが、「18の練習曲」ならではの転調が行われます。暗い曲から明るい曲へぱああっと視界が開けるようなイメージが湧いてきます。このタイミングでメロディが右に登場します。明るくなる上に中音域が使用されるのはきっと、雷が鳴るほどの大荒れの天気から徐々に晴れ間が見えて雲の隙間から天使の梯子がかかるようなイメージなのでしょうね。。

おわりに

いかがでしたでしょうか?この他にも注目すべき演奏ポイントは沢山ありますが、是非上記の演奏ポイントに着目して音楽を聴いて演奏してみてください。

執筆者:村上 友巴(当店ピアノインストラクター)

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