【前編】フクシマの “ぶっちゃけどうなん?” 第3弾「DTM用ヘッドホンってどれがイイの? 900STってどうして人気なの?」

三宮オーパ店

三宮オーパ店店舗記事一覧

2022年05月09日

DTM用ヘッドホンってどれがイイの? 900STってどうして人気なの? オーディオI/F、DAWソフトときましたから、次はヘッドホンの話でもしてみましょう。 ヘッドホンもなかなか難しいというか、無頓着でいられるならとことん無頓着でいられるだけに、基準を持たないまま選ぶと後悔したりモヤモヤしたりするこ […]

DTM用ヘッドホンってどれがイイの? 900STってどうして人気なの?

オーディオI/FDAWソフトときましたから、次はヘッドホンの話でもしてみましょう。

ヘッドホンもなかなか難しいというか、無頓着でいられるならとことん無頓着でいられるだけに、基準を持たないまま選ぶと後悔したりモヤモヤしたりすることになりかねない機材であるといえるでしょう。
特にSONY MDR-CD900STは定番モデルでありながら、しかし! 定番モデルであるからこそ、ファンもアンチも多い、そんな機種であるように思います。

三宮店DTM担当フクシマがその疑問にお答えします!

ぶっちゃけどうなん?

結論からいえば、「DTM用ヘッドホンは何を狙って聴くかが肝心」「900STもかつてほどのイニシアチブを持っているわけではないにせよ、侮れない」がフクシマの見解です。

どういうこと?

DTM用 ≒ ミックス用ヘッドホンの良し悪しとは「リスナー目線ではなく、エンジニア目線でどう思うか」「これから世界に向けてリリースする音が、どこに出しても恥ずかしくないものか。それを見極められるかどうか」で測れると思います。

「あるある」どころの話をひとつ。コンシューマー向けのヘッドホンやイヤホンには「迫力の重低音!」を謳うものがあります。しかし日々スタジオで作業するエンジニアさん各位からすれば、機材側に余分に盛られたりしては却って困るのです。

少し大げさかもしれませんが、こうしたプロユースにおいては「気分よく聴ける」ことは後回しで、むしろ「変な調整をしたらその分思いっきりブサイクに聞かせてくる」くらいの方が相棒として優秀なのです。

というわけで基本的には、低音も高音もそこそこの量感で出てくる、“フラットな特性を持つ” (その上で音像の描写が細かい)、そんな機種が望ましいとされるのです。

もちろん、作るジャンルやワークフローによっては、敢えて多少クセのある機種を採用 / 併用することもあります。「リバーブのかかり具合が見やすいヘッドホン」「低音のカブリを見抜きやすいヘッドホン」などなど。

900ST誕生の背景

さてさて、SONY MDR-CD900STが生まれたのは1989年。CBSソニー信濃町スタジオで使うために開発されたそうです。

MDR-CD900ST。慣れ親しんだ触り心地。

900STのハウジングには「for DIGITAL」という文字が (妙にカッコよく) 書かれています。デジタル…デジタルですか…。音楽史におけるデジタル化の流れをおさらいしてみましょう。

例えば音楽CDの規格 = CD-DA (Compact Disc Digital Audio) は1980年に完成しました。Pro Tools バージョン1.0は1991年のリリース。(よくAvidさんもリリース履歴のページを残しておいてくれたものです) デジタル録音が実用化されて本格的な運用に向かう、まさにその時に産声を上げたのがMDR-CD900STなのです。

900ST人気のポイント

修理しやすい」の一点に尽きると思います。

音の良し悪しは前述の通り「機材を使う上での狙い」や好みにもよりますが、「交換パーツをバラで取り寄せられる」というメリットに異論を唱える人はいないはずです。

そうです。900STはとにかくパーツのバラ売りが充実しているのです。1日に何時間も酷使される「プロの仕事道具」、日々いろんな人が使う「スタジオの常設機材」として、これほど頼もしい話もないでしょう。

900ST神話の現在と新興勢力

デジタル録音の成長期に生まれ、J-Pop文化の爆発を見届けて。1990年代を駆け抜けた900STは、日本中の音楽スタジオの定番モデルになりました。ただ、その間ずっと「どの尺度から考えてもMDR-CD900STこそが至高! 他はあり得ない!」と言われ続けていたかといえば、必ずしもそうではないと思います。30年もあれば製造の技術も音楽のトレンドも変わるはずですから。

現在では、新時代の定番たりうる機種も各メーカーから出ています。

後編へ続く

盛り上がってきたところで字数制限に引っ掛かりました(泣) 後編へ続きます!

この記事を書いた人

フクシマ a.k.a. motif:ok
三宮オーパ店 デジタル楽器アドバイザー

スマブラDXで90年代デジタルシンセの洗礼を受け、東方Projectやbeatmania IIDXの影響でDTMの世界に飛び込む。専門学校では音響効果を専攻。入学以前からぼちぼち始めていた作曲業と併せ、野良サウンドデザイナーとしてぬるっと開業。お店では現役作家だからこそ知る「ぶっちゃけどうなん?」をユーモラスにわかりやすく伝えられるよう、日々骨を砕いています。Soundmondoでは愛機MONTAGE7 WHで作成した音色を公開中MIDI検定1級ライセンシー