原典版?校訂版?どれで練習すればよかと?

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2022年08月31日

同じ作曲家の教則本でも、出版社によって記譜方法が様々。レッスン方針によって選ぶ出版社(=〇〇版)が変わる為、それぞれの特徴を簡単にまとめてみました! CONTENTS原典版と校訂版原典版の主な出版社校訂版の主な出版社原典版と校訂版 原典版 原典版とは、実際に作曲家が楽譜を書いたときの内容をなるべくそ […]

同じ作曲家の教則本でも、出版社によって記譜方法が様々。レッスン方針によって選ぶ出版社(=〇〇版)が変わる為、それぞれの特徴を簡単にまとめてみました!

原典版と校訂版

原典版

原典版とは、実際に作曲家が楽譜を書いたときの内容をなるべくそのまま再現、記譜した楽譜のこと。
その為、作曲家の考えが一番楽譜に反映されている楽譜だと言えます。
曲を忠実に演奏したいという時、演奏家はこの楽譜が必要になります。
初めて練習する曲の時はまず原典版をチェックし、作曲家の意図、曲想を読み取りましょう。

校訂版

有名な学者や演奏家などの専門家が、より良い演奏が実現出来るように書き換えた楽譜の事を校訂版と言います。
曲中のフレーズをまとめ、スラーを足したり、演奏する際の表現をどのように行うかなど、演奏に関わる様々な指示を書き加えた楽譜のことを指します。
ピアノがない時代、チェンバロやオルガンなどの楽器にあわせて作った楽曲を、ピアノで演奏するために編曲したものもあります。

校訂版には、著名な研究家による演奏上の指示が加わっているので、より曲の表現力を深めたいという時に役立ちます。
また曲について詳しく学びたいという時も、校訂版を活用するとより一層深く知る事が出来るのでおすすめです。

原典版の主な出版社

ヘンレ版

青い表紙が目印のヘンレ版。ヘンレ社のモットーは、構成の解釈を交えず作曲者による本来の意図を示す楽譜であること。とくに、18世紀から19世紀の音楽家の作品が軸となっており、現在も、プロアマ問わず非常に信用度が高い楽譜として世界中で普及しています。

ヘンレ版は、メトロノーム記号、ペダル記号、スラー、アーティキュレーションなど作曲家自身が記譜したと判断するもの以外は勝手に付け加えられていません。

ウィーン原典版

真っ赤な表紙が目印のウィーン原典版。ウィーン原典版は、音楽学者と名演奏家の共同作業から生まれた理想的な楽譜となっており、日本では1973年から音楽之友社より刊行されています。作曲家の自筆譜、筆写譜、初版本、版下などを比較検討し、確実な出典に基づいて校訂・編集。アシュケナージやエッシェンバッハ、ブレンデルといった世界的な演奏家が、運指や解説を加え、完成しています。単に正確なだけではなく、作曲家の意図がより深く理解できる楽譜です。

また、版権を日本の出版社が買取、出版しており、日本人の手に無理のない運指が多いのが特徴です。

エキエル版

ショパンの楽譜の中で、最も原典に近い、とされているエディションです。
そもそもショパン作品は、当時の出版事情から「どの楽譜がショパンの原典なのか」という論争が度々起こり、物議をかもしています。
そんな中、ヤン・エキエル教授がポーランドの国家事業として数十年をかけて、自筆譜の比較検討、弟子たちへの些細なメモまでを資料に編纂。
ショパン国際コンクールでも推奨楽譜として使われているエディションで、2021年5月に日本語版が出版されました。

校訂版の主な出版社

春秋社

紙のケースに入った重厚な存在感が特徴です。バッハなどのオルガン・チェンバロ曲のピアノ版に、強弱記号や曲の解釈を足して出版しており、音大の試験などで指定されることも多い出版社です。ヘンレ版など、原点版と併せての使用をお奨めします。

コルトー版

ピアニスト・音楽教育家のアルフレッド・コルトーが独自の解釈を加えて出版。独自の解釈が加えられ、どのようなイメージで演奏するか、腕や手首、各指をどのように使うかということが細かく提案されています。
また、各曲のパッセージを複数の要素に分け、合理的に練習できる練習メニューが別途記載されており、とても貴重です。
全音から2005年に出版された山崎孝氏監修版も、コルトー版同様、練習メニューが考案、掲載されています。日本人による校訂の為、運紙が無理なく行えるのも魅力です。

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