【サックスを巡る冒険ブログ #4】ヴィンテージサックスの定義とは?

岩田屋福岡店

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2023年03月25日

CONTENTS◆前回までのブログはこちら◆そもそもヴィンテージサックスって何?◆ヴィンテージの語源は「ブドウを収穫する」◆ヴィンテージの資格1:プロ用モデルである◆ヴィンテージの資格2:コレクション的価値がある◆ヴィンテージの資格3:現在は作られていない◆まとめ◆ヴィンテージの奥深い魅力当店管楽器 […]

◆前回までのブログはこちら

◆そもそもヴィンテージサックスって何?

こんにちは、岩田屋福岡店WEB担当の大島です。
今回は再び「ヴィンテージサックス」について書きたいと思います。

ヴィンテージサックスって個人的には、
「古い」「高い」みたいなイメージです。

当店にもヴィンテージサックスの取り扱いがございます。
お客様への応対は、専門知識のある楽器担当者が行います。安心してお任せください!

でも、ここでも解説したい!
そこで!

「森さん、すみません!」

森
今日も管楽器修理中の森さん

そして管楽器技術者・森さんに、ヴィンテージサックスについて聞くことにしたのです。

◆ヴィンテージの語源は「ブドウを収穫する」

森:まず「ヴィンテージ」って言葉の意味を調べてみた!
元を辿れば「ブドウを収穫する」という意味のラテン語が語源らしい。
そこから、ワイン業界で「ブドウを収穫してから瓶詰するまでの作業工程」のことをヴィンテージっていうんだそう。

大島:へー!知らなかったです!

森:あとは「そのブドウが収穫された年」のこともヴィンテージっていうんですって。

だからブレンデッドワインとかで製造年の書けないものは「ノンヴィンテージ」。それが転じて「当たり年のワイン」をヴィンテージワインって呼ぶようになった。

それが更に転じて家具とか車とかで「ある特定の製造ロットで仕様がいいもの」をヴィンテージと言うようになった。

大島:ブドウ関係なくなった……

森:やがて「古くていいもの、価値が落ちないもの」などもヴィンテージと呼ばれるようになっていきました。

大島:楽器のヴィンテージはこの辺りの意味ですね。

ヴィンテージの定義
図にするとこう

大島:何十年前からがヴィンテージ、ではないんですね?

森:そう。ヴィンテージたり得るには別の要素があります。

◆ヴィンテージの資格1:プロ用モデルである

森:まずは、プロ向けの楽器であること。いくら古くても入門機種はヴィンテージにはなりづらいと思います。

大島:元の価値が低いからですか?

森:昔の入門機種でも今の基準からするとよい仕様で、現在ヴィンテージになっている楽器はあります。でも、長年人気が衰えず年月が経っても価値が減らないものがヴィンテージと考えると、元々のつくりが良かったり著名な奏者が使っているプロ仕様の楽器の方がそうなりやすいですね。

◆ヴィンテージの資格2:コレクション的価値がある

森:また「あまりに古くて演奏がむずかしい楽器」は価値が低いように思えるかもしれませんが、コレクション・アイテムとしての価値があれば、ヴィンテージになる可能性はあります。

例えば、1920年代のCONN(コーン)のVirtuoso Deluxeというモデル。管体に施された繊細なタッチの豪華な彫刻はさながら美術品のようで、同じモデルの彫刻やめっき仕上げの異なるものを何本も所有している人もいるほどです。演奏用というよりはもはや観賞用に近い。

大島:コレクターにとっては価値があると。

森:他にも、有名なミュージシャンが使った楽器は欲しい人がいっぱい居る訳です。

例えば、イギリスのGrafton(グラフトン)というメーカーが作ったプラスチックのサックス。

決してプロ向けではないし、はっきりいって吹きづらい楽器なんですが、何といってもかのチャーリー・パーカーが使った楽器。パーカーファンはGraftonのサックスが欲しい。でも良コンディションで現存しているものは物凄く少ない。だから中古市場に出た時の価格も上がります。

Grafton グラフトンのサックス
実際のGrafton(グラフトン)のサックス
Grafton グラフトンのサックス
これは特に状態が良いもの

◆ヴィンテージの資格3:現在は作られていない

森:1970年代末に発売されたYAMAHA(ヤマハ)のプロモデル62シリーズは、今も現行機種として販売されているロングセラーモデルです。

でも、発売されてから今に至るまで、仕様変更を繰り返している。80年代のスムースジャズ系プロミュージシャンに人気だった初代62と、スペックアップした現代の62は、同じ型名でも違う楽器なんです。初代62は探している方も多いし、中古の市場価格もここ数年高くなってきていますから、ヴィンテージと言ってもいいんじゃないでしょうか。

大島:もう作られていない楽器は貴重ですね。

森:手に入りにくくて、欲しい人が多い。その結果、楽器の価値が減らずに逆に上がっていく「ヴィンテージ」ができるんじゃないかと思います。

◆まとめ

Q.ヴィンテージサックスとは何か?
A.製造から時間が経っても価値が減らないサックスのこと。
①プロ用モデルである
②コレクション的価値がある
③現在は作られていない
以上の条件を満たしたものはヴィンテージと呼ばれる可能性がある。

◆ヴィンテージの奥深い魅力

森:ヴィンテージサックスには今の楽器とはまた違った個性と魅力があります。

好きなアーティストの使った楽器を調べるのも面白いですよ!

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