料理でわかるDTM機材選び!初心者の選び方と制作環境|木下のDTMクッキング Vol.2

みなさん、こんにちは!
島村楽器広島パルコ店でデジタル担当の木下です。

突然ですが、
「DTMって難しそう……」
と思ったことはありませんか?

DAW、MIDI、EQ、コンプレッサー、プラグイン……。
少し調べただけでも、知らない言葉がどんどん出てきます。

でも私は、DTMでの曲作りって、実はもっと身近なものだと思っています。

なぜなら……
曲作りって「料理」とすごく似ているから!
です。

「木下のDTMクッキング!」では、ひとつの楽曲がゼロから完成していくまでを、料理に置き換えながら、できるだけ分かりやすくご紹介していきます。

第2回となる今回は、「失敗しない最初の機材選び」と「私のリアルな制作キッチン(作業部屋)」をご紹介します!

これからDTMを始めたい方も、すでに曲を作っている方も、ぜひ一緒に「音楽を料理」していきましょう!

料理とDTMって、どこが似ているの?

料理なら、
食材をそろえる → 下ごしらえ・調理 → 味付け → 完成
ですよね。

DTMも、
メロディ・コード → アレンジ → ミックス → 完成
と考えると、意外と似ています。

メロディ、ドラム、ベース、ピアノ、ギター、シンセサイザー……。
これらが音楽の「食材」。

それをどう組み合わせて、どう調理するかによって、出来上がる曲が変わります。

料理の場合DTMの場合
STEP1食材→材料をそろえるメロ・コード→曲の土台をつくる
STEP2調理→食材を調理するアレンジ→音を重ねて構成する
STEP3味付け→調味料で整えるミックス→バランスを整える
STEP4完成→美味しい料理の完成完成→ひとつの楽曲の完成

音楽にも「調味料」がある!

料理に塩やコショウがあるように、DTMにも「調味料」があります。
例えば、

  • EQ=音のバランスを整える
  • コンプレッサー=音の強弱を整える
  • リバーブ=広がりや奥行きを加える
  • ディレイ=余韻や動きを加える

といったものです。

同じ素材でも味付けによって料理の印象が変わるように、曲も「どう整えるか」で印象が大きく変わります。
詳しい使い方は、今後のDTMクッキングでひとつずつご紹介していきます!

DTMを始めるには何が必要?

ここからは、私が普段使っている制作環境をご紹介します。
……と言っても、その前にひとつ。

最初から、全ての機材をそろえる必要はありません!
私の環境も、長く音楽制作を続ける中で少しずつ増えていったものです。

DTMを始めるなら、まずは、

  • パソコン
  • DAWソフト
  • オーディオインターフェース
  • MIDIキーボードやシンセサイザー
  • ヘッドホン
  • モニタースピーカー

ここからご自身の優先順位を基本に考えればOKです。

例えば、
スピーカーとヘッドホンで迷ったら、まずはヘッドホン。
夜間でも使えて、部屋の音響環境にも左右されにくいため、最初のモニター環境として取り入れやすいと思います。
鍵盤も、最初から本格的なシンセサイザーでなくても、まずはMIDIキーボードからでOKです!

必要になったタイミングで、少しずつ環境を充実させていけば大丈夫ですので、
ご安心ください!

私の「音楽キッチン」をご紹介!

こちらはイメージ画像です。

実際の私の部屋そのものではありませんが、使用している機材やデスク周りはだいたいこんな感じです!
ちなみに、この背面には白いYAMAHA C1のグランドピアノがあります。
デスク周りは、なるべく機材でゴチャゴチャしないように、スッキリさせるのが私の好みです。

では、それぞれ何のために必要なのでしょうか?

パソコン+DAW ― 音楽を作る「キッチン」

DTMの中心になるのが、パソコンとDAWです。
DAWとは、録音・打ち込み・編集・ミックスなどを行うための音楽制作ソフトのことです。

料理に例えるなら、
パソコンとDAWが「キッチン」そのもの。
私はCubase(キューベース)と言うDAWソフトを長年愛用しています。

Cubaseの中でピアノやドラム、シンセサイザーなどを鳴らす「ソフト音源」を使用したり、EQやコンプレッサー、リバーブなどの「プラグイン」を使ったりしながら曲を作っていきます。

料理に例えるなら、
Cubaseがキッチン。
ソフト音源が食材や料理。
プラグインが調理器具や調味料。

くらいの感覚で、まずは大丈夫です!
ソフト音源やプラグインは様々なメーカーから数多くの商品が出ています。

ちなみに私のCubase歴はかなり長く……
プリンターポートに接続するドングルを使っていた時代から!
「ドングルって何?」という方も多いかもしれません。

昔はCubaseを使うために、ライセンス認証用の小さな専用機器をパソコンにつないでいたんです。
今ではなかなか見かけないですよね笑

少し前までは、この様な青いUSB型のドングルキーをパソコンに挿していました。

この連載でもCubaseを使いながら、ソフト音源やプラグインが実際の曲作りでどんな役割をするのかをご紹介していきます。

実際に私が制作中のCubaseのメイン画面です。


私がCubaseを使い続けている一番の理由は、曲作りから録音、MIDI打ち込み、編集、ミックスまでをひとつの環境で完結できることです。

特に私は鍵盤を弾きながらコードやメロディを作り、そこからドラムやベース、ストリングスなどを重ねていくことが多いので、MIDIを使った作曲とオーディオ編集の両方をスムーズに行えるCubaseが自分の制作スタイルに合っています。

そして何より……
長年使っているので、考えるより先に手が動く(笑)

これも制作ではかなり大切です。

ですので、私のシリーズではCubaseを軸にお話いたしますが、もちろん、Logic ProやStudio One、Ableton Liveなど、他のDAWでも楽曲づくりの本質は変わりませんのでご安心ください!

オーディオインターフェース ― 音の「入口と出口」

次に、パソコンと音をつなぐのがオーディオインターフェースです。

「マイクや楽器の音をパソコンに録音したり、パソコンの音をスピーカーやヘッドホンへ送るための機材」
と説明されていることが多いと思います。

もちろん、それで正解です。

ですが私は、もうひとつ大切な役割もお伝えしたいと思います。

「演奏した音を、できるだけ遅れずに聴く」
という役割です。

例えば、パソコンの中に入っているピアノやシンセサイザーなどのソフト音源を、MIDIキーボードで演奏するとします。

鍵盤を、
ポン!
と弾いたのに、
少し遅れて……
♪ポン
と音が鳴ったら、かなり弾きにくいですよね。

イメージとしては、口の動きと声が少しズレて聞こえる腹話術のような状態です。
この「弾いてから音が聞こえるまでの遅れ」をレイテンシーと呼びます。

なぜ、音は遅れて聞こえるのか?

鍵盤を弾くと、

  1. MIDIキーボード
  2. パソコン
  3. ソフト音源が音を作る
  4. オーディオ処理
  5. ヘッドホンやスピーカーから鳴る

という処理を、一瞬のうちに行っています。
このときパソコンは、音をある程度まとめて処理してから出力します。

その「音をまとめる量」が、「バッファサイズ」です。

バッファを小さくすればレイテンシーは短くなりますが、そのぶんパソコンには負荷がかかります。
逆に大きくすると動作は安定しやすくなりますが、演奏した音が遅れて聞こえやすくなります。

そこでオーディオインターフェース!
オーディオインターフェースを使用すると、音楽制作に適した専用ドライバーによってこの遅れを極限まで小さくできるため、鍵盤を弾いた瞬間にストレスなく心地よく音が鳴る環境を手に入れられます!

つまりオーディオインターフェースは、
音を入れる。
音を出す。

だけではなく、
「演奏した感覚と、聞こえてくる音のズレをできるだけ小さくする」
という点でも、DTMではとても重要な機材なんです!

木下の「ココ出来!」ポイント!


ソフト音源を弾いたときに、
「なんか弾きにくいな……」と思ったら、演奏の腕だけが原因とは限りません笑
オーディオインターフェースやバッファサイズなど、DTM環境側のレイテンシーもチェックしてみてください!

木下のDTMスタート時におすすめするモデルはこちらです。

UNIVERSAL AUDIO VOLT 2 Gen 2

MOTU M2

MIDIキーボード ― 音楽を「手で考える」

曲はマウスだけでも作れます。
でも鍵盤があると、コードやメロディを実際に弾きながら考えることができます。

私自身、
「あ、このコードいいかも!」
という偶然から曲が始まることも少なくありません。

最初から本格的なシンセサイザーでなくても、コンパクトなMIDIキーボードで十分。
実際に音へ触れながら考えられるのが、鍵盤を使う大きなメリットです。
私は現在Nord社のNord Stage 4 88と言う赤いステージキーボードを使っていますが、
ここも目的や予算に合わせて選べばOKです。

マウスだと、パソコン画面上のソフト音源の鍵盤を複数同時にはクリック出来ないため、
キーボードだと和音で鳴らせる、というのもポイントです。

ステージキーボードなので、Cubaseを立ち上げずにコードやメロディを考えることが出来るのもお気に入りの1つです。

木下のDTMスタート時におすすめするモデルはこちらです。

Novation Launchkey Mini37 MK4

私のおすすめのキーボードもご紹介します!
Nord Nord electro 73

ヘッドホン ― 最初の「味見」におすすめ!

予算を抑えてDTMを始めるなら、私はまずヘッドホンをおすすめします。

  • 夜でも使える。
  • 部屋の響きに左右されにくい。
  • 細かなノイズや左右の広がりも確認しやすい。

つまり、作った音を確認するための「味見」の道具です。

そして、DTM用ヘッドホンには大きく分けて密閉型と開放型があります。

種類特徴用途例
密閉型音が外に漏れにくく、外の音も入りにくいタイプ。録音時のモニターや、周囲を気にせず作業したいときに向いています。
開放型音が自然に広がりやすく、長時間でも聴きやすいのが特徴。ミックスや音の広がりを確認したいときに使いやすいタイプです。

と考えると分かりやすいです。
もちろん、最初から両方そろえる必要はありません。
まずは自分の使い方に合うものを選べばOKです。

まずヘッドホンでしっかり確認できる環境を作り、必要になったらスピーカーを追加する方法でも十分です。

音の広がりや定位を自然に確認しやすく、私はミックス時の「味見」に使用しています。

木下のDTMスタート時におすすめするモデルはこちらです。

密閉型ヘッドフォン

audio-technica ATH-M50X

開放型ヘッドフォン

audio-technica ATH-R30X

モニタースピーカー ― 部屋全体で「味見」する

モニタースピーカーでは、ヘッドホンとは違って、
実際に空間へ出た音
を聴くことができます。

「ベースが大きすぎない?」
「ボーカルが埋もれていない?」
「サビがちゃんと広がっている?」

そんな部分を確認しながら、曲を整えていきます。

私は現在、スピーカーとヘッドホン、両方で味見をしています。

なぜスピーカーとヘッドホンで聴き分けるの?

私は、スピーカーとヘッドホンの両方で音を確認します。
なぜなら、同じ曲でも聴こえ方が違うから、と認識しています。

ヘッドホンでは細かなノイズや左右の広がり、リバーブなどを確認しやすく、
スピーカーでは低音のバランスや、音が空間の中でどう広がっているかを判断しやすいです。

片方だけで仕上げるより、両方で「味見」することで、
いろいろな再生環境でもバランスよく聴こえる曲に近づけることができます。

必要になったら「調理器具」を増やせばOK!

私の環境には、このほかにもアーロンチェア、ARC STUDIO(音響補正用機材)やYAMAHA CC1(USBコントローラー)、ハード機材どがあります。
ただし、これらはDTMを始めるために絶対必要な機材ではありません。

制作を続ける中で、
「もっと正確に音を判断したい」
「もっと操作を快適にしたい」
と思ったときに追加していけばOKです。

最初から完璧なキッチンを作る必要はありません。

料理も、高級な包丁やプロ用の調理器具を全部そろえないと始められないわけではありませんよね。
DTMも同じです。

大切なのは「何を持っているか」より、「その道具で何を作るか」。
まずは、自分が曲を作れる小さな「音楽キッチン」から始めてみましょう!

木下の「ココ出来!」ポイント!

私自身、デスク周りはなるべくスッキリさせるようにしています。
でも、
「自分のテンションが上がるもの」は置いていいと思っています。

私の場合は、妻との写真と子供たちの写真。

そして……
お気に入りだった某・宇宙戦艦の模型。
だったのですが、我が家の子供たちの遊び道具で使われ続けた結果、
現在、ほぼ大破しております😭
それでも置いています(笑)。

機材の性能ももちろん大切です。
でも曲作りって、意外と「気分」に左右されます。
「ここで曲を作りたい」と思える場所を作ること。

これも立派な制作環境だと思っています。

次回はいよいよ「曲のレシピ」作り!

いきなりDAWを開いて、「さて、何を作ろう?」で出来る人は少ないです。

料理で例えるとスーパーへ行ってから献立を考えているようなもの。

ジャンルは?
BPMは?
どんな雰囲気?
どんな楽器を使う?
まず決めたいのは……

「曲のレシピ」です!

次回、連鎖第3回目では、「曲作りって、具体的に何から考え始めればいいの?」という疑問にお答えすべく、私がいつも実践している「頭の中のレシピのまとめ方」をご紹介する予定です。

それでは次回も、木下のDTMクッキング!
お楽しみに!

広島パルコ店 木下(きのした)

globeの「DEPARTURES」を耳にした日から音楽に没頭。
TKサウンドに魅せられ、中学よりシンセ・作詞・作曲・編曲を独学で始める。
2010年「avexアイドルオーディション」から誕生した SUPER☆GiRLS のデビュー課題曲に抜擢。中野サンプラザ で行われた最終審査では、松浦勝人、小室哲哉 らと共に審査員を務め、共演を果たす。

以降、様々なアーティストへの楽曲提供や、DTM関連メディアでの新製品レビュー記事執筆などを経験。
現在は島村楽器広島パルコ店に在籍し、地元・広島で楽器やDTMの魅力を発信している。

趣味はクロースアップマジック。
前田知洋 や KIRA の世界観に影響を受け、音楽制作にも“空気感”や“物語性”を大切にしている。

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