YAMAHA(ヤマハ) Grand Concert『GC-30A』(1975年製)

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2024年08月31日

島村楽器横須賀店ギター担当の石川です。
YAMAHAのクラシックギターのなかでも憧れの対象として名高いGrand Concert(グランドコンサート)/GCシリーズの素晴らしい個体を買取させて頂きましたので、ショッピングページではお伝えしきれない画像を中心にご紹介致します。

GC-30A(1975年製)ヤマハの名工:加藤敏郎氏製作

Grand Concert 音の歴史(メーカーHP引用)

現代においてクラシックギターと呼ばれているものの基本形は、19世紀にスペインのギター製作 家アントニオ・デ・トーレス(ANTONIO DE TORRES:1817.1892)によって作られました。 そのスタイルや技術は、彼に影響を受けたスペインの製作家達に受け継がれ、その後、スペイン から世界へと広まっていきました。

1966年4月、ヤマハはギター研究課を新設し、手工ギターの研究開発をスタート。 同年10月から翌’67年にかけて、トーレスの流れを汲むスペインの名工エドアルド・フェレールを ヤマハ(浜松)に迎え、スペイン伝統の製法の技術指導を受けました。 このときに学んだ職人達の手により、’67年11月にグランドコンサートシリーズギターの初期 モデルGC5, GC7, GC10が誕生しました。正統派スペイン流儀に基づいたこの3モデルは、 その後のヤマハのギターに大きな影響を与えました。この後も、このスペイン正統派の伝統的な 製法をベースに試作と研究を繰り返すことで、ヤマハは材料や構造と音との関わり、製作工程と音 との関わりなどを、徐々につかんでいったのです。

さらに’73年にはマヌエル・エルナンデスが来日し、浜松で技術指導を行ないました。これが 新たな音作りの原点となり、ヤマハはタイプの異なる音色を求め、研究・開発を続けました。 そして1974年、カスタムギターGC30A/30B/30Cの3タイプの個性ある音色のギターを 発表しました。 これら3タイプの音は、さらに研究・改良され、1983年に発売されたGC50/60/70、GC61、 GC62へと受け継がれています。また同じ1983年には、著名な演奏家アンドレス・セゴビアに 絶賛されたモデルGC71も発売されています。

ヤマハグランドコンサートシリーズのルーツは、ギターの母国スペインです。現在も、本場スペインの明るい音色を追求し、音にこだわり、妥協を許さず、演奏者の方々に喜んで いただけるギターの製作を続けています。

各部ご紹介

表板はドイツ松。現在では高級品と呼ばれるグレードでしか採用されていないクラシックギターの表板を代表する木材です。
大変細かく目が詰まっている材が採用されています。
口輪
下駒はハカランダ。装飾も大変細やかで繊細なデザインです。
内部ラベル。年式によってデザインが異なるようです。画像では少々見づらいですが、製造番号592・製造年1975年の記載が御座います。
GC30A自体は1974年には発表されたモデルですので、かなり前期の個体ということがわかるかと思います。
買い取り後に専門業者にて弦高を下げて頂いておりますので、サドルの高さは低めになっています。
バインディング・パーフリングの装飾部。横板はハカランダ単板です。
指板サイドには前オーナー様(ワンオーナー)によるポジションマーキングあり。
触った感触から、修正ペンのようなもので描かれているようですので削り取ることも可能かもしれません。(販売時には現状お渡しとさせて頂いております)
指板は黒々しいエボニー。フレットの減りはほとんどございません。
アグアドを彷彿とさせるような天神。圧巻のハカランダ突板と大変美しい造形を楽しめるデザインです。
ペグ(糸巻き)は70年代によく流通していたヘフナーのオリジナルでしょうか。ボタン部の焼け具合がそれぞれ少々異なります。
裏板・横板共にハカランダの単板を採用。近年は多くのメーカー・工房においてもうねりや特徴的な木目のハカランダもよく採用され人気を博しておりますが、
1975年当時らしい贅沢な木取りをして製作されていたことがよくわかるかと思います。
また、現代においてはハカランダを採用したGCシリーズはGC70シリーズ(定価176万円)のみです。
ネック裏で語ることではないかもしれませんが、弦長は662mmとなっております。弾けるようなアタック音や高音の早さはこの弦長も起因しているかもしれません。
当時の物と思われる高級ハードケースと取り扱い説明書が付属します。

各部傷について

傷についてできるだけご紹介致しますが、全てを確実にご紹介できているわけでは御座いません。
予めご了承の程宜しくお願い致します。

ネックバック。ハイポジションにおける低音弦へのアプローチの際の親指支点の痕かと推測。
ナット周りのラッカーが部分的に剥がれています。他にも数箇所こういったラッカーの僅かな剥がれがございますがコンディションに影響は御座いません。
ベアクロウ・・・ではなくラッカー表面の傷です。
小さな打痕が各所にございますが光の当たり方で露出する小傷がほとんどです。

担当「石川」より

いかがでしたでしょうか?
1975年製となりますと、2024年現在から遡る事49年前の個体となります。
買取後に部分的な簡易塗装リタッチや弦高調整などを実施しておりますが、
年式を考慮致しますと大変綺麗なコンディションを保っていると言えるのではないでしょうか。
GC-30A自体は製作された加藤氏のインタビューを拝見したところ、「高音のある楽器」として開発されたそうです。
確かに、本個体に関しましても綺麗な発音で伸びやかな高音が美しいサウンドです。
当時は低音の伸びを更に改善したいという想いがあり、後年のGC70開発へと繋がっていくようですが、
日本が世界に誇る楽器メーカーであるヤマハの当時の最高峰モデルの一つであることには変わりません。
確かなレガシーを感じて頂ける、そんな名機であると感じます。

ショッピングページご紹介

本商品は状態維持・管理の為店頭展示はしておりませんので、
お問い合わせ・ご来店頂く際は各ショッピングページ(島村楽器オンラインストア/デジマート)から、
必ず事前にお問い合わせをお願い致します。
担当より追ってご連絡させて頂きます。


※記事中に販売価格、在庫状況が掲載されている場合、その情報は記事更新時点のものとなります。店頭での価格表記・税表記・在庫状況と異なる場合がございますので、ご注意下さい。