【ヘッドフォン】Sony MDR-CD900STが今もスタジオで使用されているのはどうして?

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2020年06月27日

今回はモニターヘッドフォンの定番、Sony MDR-CD900STについてお話したいと思います。 *1989年に発売されてから全国のスタジオや放送局で使用されつづけているMDR-CD900ST。 元は民生用のMDR-CD900から始まり、MDR-CD900CBS→MDR-CD900STと発売されてい […]

今回はモニターヘッドフォンの定番、Sony MDR-CD900STについてお話したいと思います。

1989年に発売されてから全国のスタジオや放送局で使用されつづけているMDR-CD900ST。

元は民生用のMDR-CD900から始まり、MDR-CD900CBS→MDR-CD900STと発売されています。

(CD900CBSは(CBSソニー向け)、一般スタジオ用に開発されたのがCD900STとなっています。)

アーティストのレコーディング風景や、テレビ局のカメラマンがつけているのを見たことはありませんか?

それくらいこのヘッドフォンは、業界と切っても切り離せない定番となっています。

では、なぜここまでMDR-CD900STが広く普及したのでしょうか?

スタッフが考える『MDR-CD900ST』が今も定番な訳

その1:当時のヘッドフォンの中で、最も自然なサウンドでモニターができたから

MDR-CD900STがいまなお使用され続けている理由として真っ先に挙げるのは、『聴感上自然にモニターが出来る』という点が挙げられます。

こんな話を聞きました。あるレコーディングでボーカリスト用のヘッドフォンを違うものに変えたところ、『自分の声が作られたように感じて歌いづらい』と言われてしまったそうです。そこでMDR-CD900STに変えたところ、自分の声が自然に感じて歌いやすくなり、それまで録ったテイクよりもいいものが録れました。

後から詳しく話を聞くと、別のヘッドフォンは『録音をされた声を聴いている感じ』でしたが、MDR-CD900STは『自分の声がそのまま聴いている感じ』がしたそうです。

この事からも分かるように、MDR-CD900STは非常に自然なサウンドでモニターが出来るので演奏者に重宝されています。

1980年代当時の事を考えるとクオリティは非常に高かったものと思えます。なにせ今なお現役なのですから。

その2:日本の音楽シーンにマッチしている

先ほどもご説明したようにMDR-CD900STは『聴感上自然にモニターが出来る』点が非常に優秀です。

更にもう一つ定番の理由としては日本の音楽シーンが関係しています。

J-POP、J-Rock、バラード、演歌と、いわゆる生楽器を使った歌ものが文化として根付いています。

これらの音楽はもちろん生楽器メインのため、DTMの音源をそのまま乗せず、レコーディングを行います。

となると業務用で価格も安く、修理用のパーツも豊富で、聴感上自然なサウンドでモニターがしやすいMDR-CD900STは、定番になるべくしてなったと言えるでしょう。

その3:第一線で活躍している人にとっては慣れ親しんだ音だから

ネットでの情報が少なかった1990年代~2000年代、その頃から活躍しているプロのエンジニア、オーディオマニア、放送局のADやカメラマンが、例えば後輩やその道を志す学生に「絶対必要なヘッドフォンは何ですか?」と聞かれたらきっとこう答えるでしょう。『Sony MDR-CD900STを買っておきなさい』と。

第一線で活躍しているエンジニアの先輩やアーティスト、その先駆者が絶対コレ!とオススメしているうちに、いつしかSony MDR-CD900STはレコーディングの定番として定着したのではないかと推測できます。この音を知っていないと仕事が務まらないと言われる程になり、それは今も続いています。PAエンジニアや放送局のAD等を志す人にとってこのヘッドフォンは必ず1台持っていなければならないでしょう。

私が思うMDR-CD900STのメリット

  • 演者がモニターをする際、聴感上非常に自然に感じるので演奏がしやすい
  • ヘッドフォンが軽い
  • 故障してもパーツが揃えられる(カスタムも可能)

そんなMDR-CD900STも弱点はあります。これは私も実際に使用していたので感じる部分ですが

私が感じたMDR-CD900STのデメリット

  • 低音が少し弱い(重低音を聴かせるようなミックスには不向き)
  • 長時間使用するには不向き(イヤーパッド)
  • 業務用のため、保証が無く全て有償での修理となる

といったデメリットもあります。

Sonarworksという波形編集ソフトでMDR-CD900STを見てみましょう。

波形としては意外とフラットな0dB付近に近い値を出しています。2kHz~4kHz辺りは少しボリュームが小さい印象。この辺りの帯域は耳につくようなサウンドが多い為、聴いている上ではストレスを感じることは少ないです。

低音はエレキベースが持つ100Hz付近の音が大きくなっています。ですがバスドラムの余韻が持つような50Hz以下の音は急激に減衰していきます。となると、近年流行している重低音を利かしたエレクトロダンスミュージック等のミックスには不向きと言えるでしょう。バンド文化が今なお根強く残っている日本だからこそ、30年経った今も根強い人気があることが伺えますね。

もしDTMでこのヘッドフォンを活かすなら、Sonarworks Reference4がオススメ!13,000円程で音響補正をしてくれます。

まとめ

いかがでしょうか?みんなが勧めるSony MDR-CD900STは勧められるだけはある安心と信頼のサウンドなのです。

しかし今はYoutubeやSNSと、世界中の音楽と手軽に関われる時代となったため、MDR-CD900STでは勝負しづらいジャンルも出てきました。

それでもこのサウンドを知っているのと知っていないのとでは、今後の音楽人生に大きく関わってきます。(特に日本のレコーディング、PA現場)では知らないと逆に恥ずかしいほどなのでしっかりと覚えておきましょう。


メーカー 型番 販売価格(税込) デジマート
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