えみとこ小杉のDTM部屋 Vol.1 “ASIO ダイレクトモニタリング (ASIO Direct Monitoring)”

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2025年05月20日

こんにちは。島村楽器エミテラス所沢店の小杉と申します。 ASIO 2.0 という規格があるのをご存知でしょうか。 世の中には様々なオーディオインターフェースがあり、ほぼ全てがASIO(Core Audio)に対応しておりますが、ASIO 2.0 に対応しているオーディオインターフェースは限られていま […]

こんにちは。島村楽器エミテラス所沢店の小杉と申します。

ASIO 2.0 という規格があるのをご存知でしょうか。

世の中には様々なオーディオインターフェースがあり、ほぼ全てがASIO(Core Audio)に対応しておりますが、
ASIO 2.0 に対応しているオーディオインターフェースは限られています。

そのASIO 2.0に対応してることで出来るようになるのが、
ASIO ダイレクトモニタリング (ASIO Direct Monitoring)
です。

この機能を使うと、CubaseでもProTools HDシステムと近しいワークフローを実現できます。

ProTools HDシステムについて

ProTools HDシステムはレコーディングスタジオのスタンダードのシステムで、最低限の構成でも50~100万円くらいはかかるような、
高額なプロ向けのシステムです。
ProTools HDシステムを導入する理由は様々ございますが、
音楽の用途におきましては、"低レイテンシー(ほぼ0)で安定してモニタリング出来る" というところが高額でも導入される理由だと思います。

ASIO ダイレクトモニタリングについて

ASIO ダイレクトモニタリング (ASIO Direct Monitoring)は、その高額なシステムと同様のワークフローを、
CubaseとUR22C の組み合わせのような数万円の組み合わせで実現してしまいます。

あまり最新のインターフェースでは、ASIO2.0 の記載を見つけることができず、
ESI社のインターフェースには記載があることを確認しました。

Cubase 9時代のマニュアルのASIO ダイレクトモニタリングのページにはSteinbergとYAMAHAの共同開発のインターフェースのMR816の記載がございました。
https://archive.steinberg.help/cubase_pro_artist/v9/ja/cubase_nuendo/topics/recording/recording_asio_direct_monitoring_t.html

2025年5月時点で最新Ver.のCubase 14のマニュアルにも「ASIO ダイレクトモニタリング」の記載があります。
https://www.steinberg.help/r/cubase-pro/14.0/ja/cubase_nuendo/topics/recording/recording_asio_direct_monitoring_t.html

この機能はCubase(もしかするとSamplitudeとCakewalk)が対応しているようです。

UR22CにはASIO 2.0の記載がなく過去の技術なのかと思っておりましたが、
実際につないで試してみたところASIO ダイレクトモニタリングに対応していました。

非対応だとダイレクトモニタリングの項目がグレーアウトします。
この機能の必要性についてもう少し詳しくご説明します。

ギターやボーカルなどを録音する際に録音する音声をモニタリングする必要がございます。

・通常はオーディオインターフェースのモニタリング機能(内蔵のミキサー機能)を使ってモニタリングをする(レイテンシー)
・DAWを介してのモニタリングをする(レイテンシーあり)

通常は上記いずれかの方法を使ってモニタリングをします。

実際にレコーディングをしてみると、
録音時はモニタリングしたいのですが、それを確認する再生時にはモニタリングを切りたくなります。

DAWを介してのモニタリング(ProTools含め)ですと、
そこのモニタリングのオン/オフをうまくやってくれます。


Apolloなどを含む、オーディオインターフェースのモニタリング機能(内蔵のミキサー機能)を使う場合ですと、
録音後にそのままだと再生時にもモニタリングがオンになってしまっているため、ギターのノイズや服のすれる音などが再生時にも聞こえてしまいます。

ですので基本的にはDAWを介したモニタリングをしたいのですが、DAWを介したモニタリングのデメリットは、
コンピューターの計算を挟むためレイテンシーが発生することです。

そこでProTools HDシステムが特別なのが、DAWを介したモニタリングでもレイテンシーが発生しないことです。


そして、ASIO ダイレクトモニタリングのすごいところは、DAWを介したモニタリングでもレイテンシーが発生しません!

対応している可能性の高いオーディオインターフェースのメーカー
  • Steinberg
  • RME
  • ESI

あまり検証できておらず他のメーカーでも対応している可能性があります。

SteinbergのUR22CとRMEのHDSP PCI+Multifaceは実際にWindowsでASIO ダイレクトモニタリング対応なことを確認しました。
※MacはCore Audioのため対応状況が異なる場合がございます。ただ、MacのCubaseはMacなのにASIOと書かれていた気がします...

店頭にありますAudient iD4とArturia MINIFUSE 1は非対応でした。

おそらくASIO 2.0に準拠して対応しているのは、SteinbergとRME くらいだと思います...

ProTools HDシステムにできて、ASIO ダイレクトモニタリングにできないこと

調べた限りですとASIO ダイレクトモニタリングは、初めのBusにしか適用されません。
最大2chということだと思います。
StereoのBusにして、Leftを1ch、Rightを2chで使えば、ギターのWet音とDI音の録音にも活用できそうです。

ProTools HD Nativeだとプラグインを使うとレイテンシーが出てしまいますが、ProTools HDXやCarbonだとAAX DSP対応プラグインであればレイテンシーがほぼない状態でモニタリングできます。

ドラムレコーディングなど2ch以上の多チャンネルを録音したい場合はProTools HD Nativeが必要になり、
プラグインをかけてモニタリングしたい場合はProTools HDXやCarbonが必要になります。

→ この後調べたところ、アウトプットのみが初めのバスしか使えないだけでインプットに制限はないようなので、ドラムレコーディングもいけそうです。 番外編で紹介しています! 記事はこちら

さいごに

どうしてこんなに便利な機能があるのにあまりURシリーズの特徴として押し出されていないのでしょうか。
YAMAHAのASIO Driverを使う機種だったら全ていける可能性もあるので、YAMAHAのミキサーのインターフェース機能も検証してみたいです。

RMEとCubaseの組み合わせで音質的にもProToolsに劣らないシステムができそうです。

自宅のProTools NativeをCore Audioで使用時にASIO ダイレクトモニタリングに対応しているかも試してみたいと思います。

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