【バイオリンインストラクター西尾のブログ】『バイオリン名曲紹介vol.7 アヴェ・マリア/C.グノー』

2023年05月17日

CONTENTSバイオリン名曲紹介vol.7バイオリンサロンのご案内バイオリン名曲紹介vol.7 こんにちは!バイオリンインストラクターの西尾です。 「名曲紹介」では、「多分有名なはず」「バイオリンを演奏するならこれは知っておいてほしい!」という曲を、独断と偏見と経験と知識による解説を交えつつご紹介 […]

バイオリン名曲紹介vol.7

こんにちは!
バイオリンインストラクターの西尾です。

「名曲紹介」では、「多分有名なはず」「バイオリンを演奏するならこれは知っておいてほしい!」という曲を、独断と偏見と経験と知識による解説を交えつつご紹介してまいります。

アヴェ・マリア

vol.7では、バッハのプレリュードにのせたグノー作曲のアヴェ・マリアをご紹介します。

アヴェ・マリアと言えば、カッチーニ、シューベルト、そしてこのグノーの3曲が世界3大アヴェ・マリアと言われています。
グノーのアヴェ・マリアは『篠崎教本(※1)』の2巻に載っているので、人によってはなじみ深い曲になりますね。私もメイン教本はスズキでしたが、副教材として篠崎教本も使用していたので、このアヴェ・マリアは小学生の頃からずっと大好きな曲のひとつです。

アヴェ・マリアとはキリスト教の聖母マリアへの祈りを表した音楽です。歌詞は「Ave Maria」から始まる、聖母マリアをたたえ原罪への慰めを請うような聖句でできています。「アヴェ・マリア」というジャンルについてはwi〇iにすごい詳細が載っているので、詳しくはそちらで。
このグノーのアヴェ・マリアもラテン語の聖句がそのまま歌詞になっています。穏やかで美しい曲調と相まって、vib.もかけてドルチェ(※2)で厳かに演奏したくなる曲ですね。

この曲の伴奏に使われているのはバッハ作曲『平均律クラヴィーア曲集1巻』の「プレリュード」。先人の名曲をそのまま編曲もせずに使用しているというのは珍しい形式なんだそうです。これを受けて、実は奏法を二転三転させました(笑)。
「バッハの曲を使っているんだからvib.を控えめにしてみようかな」→「いやでもこのメロディはレガート(※3)で演奏したいよねぇ…」→「グノーっていつのどこの人だっけ…?」→「フランス人、しかも1819-1893…!?」
「バッハのプレリュード1番はハ長調だし、篠崎教本もハ長調だからハ長調で演奏しよう」→「グノーのアヴェ・マリアはト長調が原調なの…!?」→「ト長調だと#が明るくて宗教曲っぽさ増したかも…!」
という感じで、動画の演奏に至りました。迷いすぎ(笑)。
しかし、曲の歴史的背景や作曲家のお国柄を想像して演奏を変えるのは、本当に面白くてやりがいを感じます。

※1)篠崎教本:『スズキ・メソード ヴァイオリン指導曲集』『新しいヴァオリン教本』と並んで、日本3大バイオリン教本(独自の見解です)のひとつ。事細かなテクニックの説明、一曲ごとのポイントを押さえた豆譜など、親切丁寧な内容ですが、若干のストイックさは隠しきれない(笑)。独学でその良さを知るのは難しいですが、わかる人に解説してもらうとこれ以上ないくらい正確な教本です。(サルタートの弾き方を文字だけで説明しきっている教本は後にも先にも篠崎教本だけですよ…!)
※2)ドルチェ(Dolce/イタリア語):柔らかい、優しい、甘いというニュアンスの指示。指板寄りのところを弾いたり、毛を傾けて擦弦の圧力を柔らかくしたり、ピアノと似たような方法で表現します。デザートの意味もあり、私はドルチェというとハーゲ〇ダッツを思い出します。
※3)レガート(Legato/イタリア語):滑らかに、というニュアンスの奏法。弓を折り返すときに音が切れるなど露骨な折り返し感が出ないよう、右腕の動きに細心の注意が必要。



西尾のブログでは、普段の演奏活動にお役立ちの情報から、ちょっと面白いだけのネタまで、様々な情報を発信しています。
その他のバイオリン関連記事はこちら!

バイオリンサロンのご案内

詳細は画像をクリック♪

コース概要・料金のご案内
入会手続きに必要な物・入会手続きの流れ

※記事中に販売価格、在庫状況が掲載されている場合、その情報は記事更新時点のものとなります。店頭での価格表記・税表記・在庫状況と異なる場合がございますので、ご注意下さい。