「フルートって、チューバと同じくらい息を使うらしい」 「管楽器の中でも、かなり肺活量が必要らしい」   SNSなどで、こんな話を見かけることがあります。   確かにフルートは、吹いた息がすべて楽器の中に入るわけではないので、意外と息を使う楽器です。   でも、   「息を使う」=「ものすごい肺活量が […]

フルートで息が続かない=肺活量がない?─「チューバ並みに息が必要」って本当?【島村楽器 名古屋パルコ店|フルートインストラクター 森川健士】

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公開:2026年10月05日

更新:2026年10月05日

「フルートって、チューバと同じくらい息を使うらしい」

「管楽器の中でも、かなり肺活量が必要らしい」

 

SNSなどで、こんな話を見かけることがあります。

 

確かにフルートは、吹いた息がすべて楽器の中に入るわけではないので、意外と息を使う楽器です。

 

でも、

 

「息を使う」=「ものすごい肺活量が必要」

   

なのでしょうか?

 

私は、少し違うと思っています。

フルート・オカリナ インストラクター森川 健氏

フルート・オカリナ インストラクター森川 健氏

クラシックのフルート奏者として研鑽を積む一方、「和」の表現に定評がある。木製フルートを愛用し、尺八の技法であるムラ息、メリ、カリ等の奏法を取り込んだ音作りは、従来の西洋フルートの透明感に日本の陰影を重ねた音として評価を得ている。 ソロ・アンサンブルでのリサイタル、プロオーケストラの客演、その他商業施設や企業イベントでの演奏や、2025年パリ「Fête de la musipue」出演、メキシコ観光大臣ご一行の前での演奏等、様々な演奏活動を展開。 日本フルートコンヴェンション・アンサンブル部門金賞、同アンサンブルアワード部門入賞、その他コンクール入賞多数。 CBCラジオなどメディア出演もあり。

息が続かない。本当に肺活量のせい?

もちろん、肺活量は多ければ使える息も増えます。

 

でも、小さな子どもが立派にフルートを吹いている姿を見たことはないでしょうか。

 

大人の方が身体も肺も大きいはずなのに、

 

「数拍吹いただけで息がなくなる……」

 

ということは珍しくありません。

 

そんな時、私はまず、

 

ちゃんと吸えている?

息を出しすぎていない?

音になる場所へ息をうまく当てられている?

 

と考えます。

 

つまり、問題は「持っている息の量」ではなく、その息をどのように使っているかかもしれません。

自分の肺、どれくらい大きいと思いますか?

一度、両手を使って、

 

「自分の肺って、このくらいかな?」

 

と胸の前で大きさを作ってみてください。

 

 

意外と小さく考えている方が多いかもしれません。

 

肺は胸の中に大きく広がっていて、上は鎖骨のあたりまであります。

 

肺のレントゲン写真はこちら

 

普段の生活では、毎回限界まで吸ったり吐いたりしているわけではありません。

 

そのため、

 

「これ以上吸えない!」

 

と思っていても、実際にはまだ吸える余地が残っていることがあります。

 

まずは自分の身体の中に、これだけ大きな肺があると知るだけでも、呼吸の感覚が変わることがあります。

「お腹に息を入れる」はどういうこと?

「腹式呼吸で、お腹にしっかり息を入れましょう」

 

よく聞く言葉ですね。

 

もちろん、呼吸のイメージとしては大変結構なことでございます。

 

ただし、実際に空気が入っているのはお腹ではなく肺です。

 

息を吸うと横隔膜が下がり、その動きによってお腹の中が押されるため、お腹が膨らんで見えます。

 

つまり、

 

お腹が膨らむ=お腹に空気が入った

 

ではないんですね。

 

「お腹に吸う」という感覚も使いつつ、肺そのものの大きさもイメージしてみると、いつもよりたっぷり吸えるかもしれません。

たくさん吹けば、音は鳴る。でも……

フルートを始めたばかりの頃は、とにかくたくさん息を吹いて音を出すことがあります。

 

たくさん吹けば、その大量の息のどこかが良い場所に当たって、音が鳴るからです。

 

たとえるなら、

 

100人が同時にダーツを投げれば、誰か一人くらい中心に当たるだろう

 

という感じです。

 

最初は、それでもいいんです。

 

でも練習を重ねるうちに、

 

100人が50人になり、

50人が10人になり、

最後は1人でも狙った場所へ投げられるようになる。

 

フルートも似ています。

 

音が鳴らないからといって、

 

「もっと強く!もっとたくさん!」

 

と吹き続けるだけではなく、少ない息でも狙ったところへ当てられるようにしていく。

 

それが、息を長く使うことにもつながります。

息の出口を小さくすればいい、でもありません

息をたくさん使っている方では、唇の間にできる息の出口(アパチュア)が大きくなっていることもあります。

 

では、小さくすればいいのか。

 

……そんなに単純でもありません。

 

急に小さくしようとすると、口の周りに力が入り、息の向きまで変わって、かえって音が鳴らなくなることもあります。

 

大切なのは、

 

小さくすることではなく、自分が出したい音に必要なだけの息を、狙った場所へ届けること。

 

その人に合った方法で、少しずつコントロールを覚えていきます。

目指すのは「中心しか当たらない人」ではありません

先ほどダーツの話をしましたが、音楽では毎回中心に当てれば良いわけでもありません。

 

柔らかい音が欲しい時。

少し息っぽい音が欲しい時。

鋭い音が欲しい時。

 

あえて違う場所を狙うこともあります。

 

大切なのは、

 

真ん中にしか当たらないことではなく、狙った場所に当てられること。

 

ダーツというより、最後はストラックアウトですね。

 

フルートで息が続かない時、

 

「自分は肺活量がないから仕方ない」

 

と諦める前に、

 

ちゃんと吸えているか。

息を使いすぎていないか。

狙った場所へ息を届けられているか。

 

一度考えてみてください。

 

肺活量そのものを増やすことより先に、今持っている息を上手に使うだけで、今よりずっと楽に吹けるようになるかもしれません。

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