フルートのレッスンでは、 「もう少し息を上に」 「ここは少し力を抜いて」 など、さまざまなアドバイスを受けます。   もちろん、それを実践して音が良くなることは大切です。 でも私は、レッスンで身につけてほしいのは、   先生に言われた通りに吹ける力だけではない   と考えています。   レッスンがな […]

「先生に言われた通り」から、その先へ─自分で聴いて、考えて、選ぶ力を育てる【島村楽器 名古屋パルコ店|フルートインストラクター 森川健士】

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公開:2026年09月27日

更新:2026年09月27日

フルートのレッスンでは、

「もう少し息を上に」

「ここは少し力を抜いて」

など、さまざまなアドバイスを受けます。

 

もちろん、それを実践して音が良くなることは大切です。

でも私は、レッスンで身につけてほしいのは、

 

先生に言われた通りに吹ける力だけではない

 

と考えています。

 

レッスンがない日に、「なんだか今日の音は違うな」と思った時、

自分で聴き、考え、試し、選び、もう一度再現できる。

 

その力を育てることも、レッスンの大切な役割です。

 

フルート・オカリナ インストラクター森川 健士

フルート・オカリナ インストラクター森川 健士

クラシックのフルート奏者として研鑽を積む一方、「和」の表現に定評がある。木製フルートを愛用し、尺八の技法であるムラ息、メリ、カリ等の奏法を取り込んだ音作りは、従来の西洋フルートの透明感に日本の陰影を重ねた音として評価を得ている。 ソロ・アンサンブルでのリサイタル、プロオーケストラの客演、その他商業施設や企業イベントでの演奏や、2025年パリ「Fête de la musipue」出演、メキシコ観光大臣ご一行の前での演奏等、様々な演奏活動を展開。 日本フルートコンヴェンション・アンサンブル部門金賞、同アンサンブルアワード部門入賞、その他コンクール入賞多数。 CBCラジオなどメディア出演もあり。

まずは「なんとなく気になる」を感じる

自分で演奏を修正するには、まず自分の音を聴く必要があります。

最初から「響きが少ない」「息っぽい」と正確に言葉にできなくても大丈夫です。

 

「なんか今の音、気になる」

 

まずはそれで十分。

 

そこから、

「鳴るけれどぼやける」

「少し硬い」

「響きが少ない気がする」

と、少しずつ違いを具体的にしていきます。

 

そのためには、基準を知ることも大切です。

先生や演奏家の音、自分がうまく吹けた時の音を聴き、「こんな音もあるんだ」という選択肢を増やす。

すると、小さな違いにも気づきやすくなります。

気になる場所と、原因は同じとは限らない

実際のレッスンで、「低音が出ない」と必死に低音の練習をしていた方がいました。

ところが確認すると、原因はリングキイが完全に塞がっていなかっただけでした。

 

長いフレーズでブレスをすると音楽が途切れるため、「もっと短時間で吸わなければ」と練習していた方もいました。

でも、ブレス直前の音の処理を変えるだけで、そこまで急いで吸わなくてもフレーズがつながることがあります。

 

指が上手く動かない箇所は、その手前で楽器がグラついていることが原因であることもあります。

 

困っている場所と、原因がある場所は別かもしれません。

だから、「何ができていないのか」「何を変えたら改善するのか」を考える必要があります。

私が練習で繰り返していること

私自身、今でも練習では、

聴く → 観察する → 仮説を立てる → 一つ変える → 比べる → 選ぶ → 再現する

この流れを大切にしています。

 

気になることを見つけたら、「もしかするとここが原因では?」と考える。

そして、一度に全部ではなく一つだけ変えてみます。

口、息、姿勢、楽器の角度を全部変えて音が良くなっても、何が効いたのか分からないからです。

 

変える前と後を比べ、「こちらの方が今欲しい音に近い」と選ぶ。

そして、もう一度同じことができるか試します。

一度偶然できただけでは、まだ自分の引き出しにはなりません。

「こういう状態の時に、ここを変えたら、こう変わった」

という形で覚えておくことで、別の曲や別の音にも応用できるようになります。

 

仮説が外れても失敗ではありません。

「これは違った」と分かったことも、一つの情報です。

レッスンは「こんな時、どうする?」を増やす場所

こうした力は、もちろん独学でも育てられると思います。

ただ、自分一人では、自分が知っている選択肢の中からしか原因を考えられないこともあります。

 

経験のある人なら、

「息かな」

「口かな」

だけでなく、

「指は塞がっている?」

「楽器の位置は?」

「楽器自体の状態は?」

と、より多くの可能性を考えることができます。

 

私はレッスンで、答えだけをお伝えするのではなく、

「こんな時には、こんな見方もできる」

という引き出しを増やしていきたいと思っています。

 

先生がいない時にも、自分の耳で違和感を見つけ、考え、試し、選べるようになること。

自分で聴き、自分で考え、自分で選べる力。

私自身も続けているこの練習の積み重ねが、長く音楽を楽しむための大切な力になると思っています。

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