管楽器修理スタッフせとっちの『ほのぼの日記』 第14話 梅雨が来ると木製楽器はどうなる?

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2020年06月17日

皆さんこんにちは!せとっちの[!!『ほのぼの日記』!!]第14話です!]]もう梅雨の時期ですね、、。 僕は、アジサイの花が好きなので梅雨もそこまで嫌いではないんです。]]最近では、アジサイを水辺に浮かべるインスタ映え神社なんかも多くあるみたいですよ!!]]先日少しだけ見に行ってきました! こんな感じ […]

皆さんこんにちは!せとっちの『ほのぼの日記』第14話です!
もう梅雨の時期ですね、、。

僕は、アジサイの花が好きなので梅雨もそこまで嫌いではないんです。
最近では、アジサイを水辺に浮かべるインスタ映え神社なんかも多くあるみたいですよ!!
先日少しだけ見に行ってきました!

こんな感じでとてもきれいでしたよ!!

さて、今回は梅雨入りしたいうことで、湿度が高くなったときに発生する木製楽器の問題とその解決法についてブログを書いていこうと思います!

湿度が高いと木製楽器はどうなる??

管楽器の中でも、クラリネットやピッコロは木で作られている楽器です。
そういった楽器は、湿度が高いとどうなるでしょうか??

木材って湿度を吸収しやすいですよね?
管楽器に使われる木材は、使われる際十分に乾燥させて、一番縮んだ状態になっています。
ですが、梅雨の時期になると空気中に水分が多くなるので、膨張してしまうんです。
一番多く木製楽器に使われている『グラナディラ』という木材は、かなり密度が高く水分を吸いにくいと言われていますが、結局は木材ですので、多少は吸収し膨張してしまうんです、、、。

では、木が膨張すると、どのような問題が発生してくるのでしょうか??

発生する問題

木材の膨張によって発生する問題は、いくつかありますが、今回は修理の相談が多い2つに絞って原因と対策を考察していきます!

今回紹介する2つの問題は、
①キイがガタつく
②ジョイント(接合)部が抜けなくなる
です。
1つずつ解説していきます。
(対策に関しては2つとも同じようなものなので、最後にまとめて紹介します。)

①キイがガタつく

そもそもクラリネットのキイはどのような仕組みになっているか知っていますか??
簡単に絵で表すとこんな感じになっています↓

場所によって留めているネジの種類は違いますが、基本的には2本の柱の間に、棒がぴったりはまっているような構造になっています。

では木材が膨らむと、この構造がどのように変化するのでしょうか??
分かりやすいように、風船で実験してみようと思います。

風船が木材で、黒い点が先ほど紹介した柱だと仮定して説明します。
これが木材が一番縮んでいる状態。↓

2つの黒い点がとても近くにありますね!!(シュール笑)
膨らむとどうなるでしょうか??

風船が膨らむと2つの黒い点の間に大きな隙間ができてしまいました!!
(黒い点が見えにくくなってしまったので、それっぽい位置に黒い点を書き直しています。偽装ではありません笑)

これを楽器におきかえると、、、
楽器が膨らむと柱と柱の間の距離が離れてしまうんです!
そうすると2本の間にぴったりはまっていたはずの棒にガタつきが出てしまいます、、、。

キイがガタついて何が悪いの??と思う方もいらっしゃると思います。
キイがガタつくということは、動かすたびに、タンポの違う場所で穴を塞ぐようになってしまうということです。
いつもと違う場所で、穴を塞ぐと空気が漏れやすくなり、音も出しにくくなってしまうんです、、。一大事ですよね。

②ジョイント(接合)部が抜けなくなる

練習後、分解してケースにしまうとき、分解しにくかった事はありませんか??
もしかすると、木部の膨らみが原因かもしれません。

クラリネットの接合部は、どちら側も木製でできています。
よって、管体が湿気によって膨らむと、木材が下図のようになる為、分解し辛くなることがあるんです、、、。

少し分かりづらいですが、お互いに膨らむことでジョイント部がきつくなるとイメージすると分かりやすいと思います!

解決方法

どちらも、管体が水分を多く吸いすぎてしまう事に原因があります。
なので、逆にとらえれば吸いすぎないようにすれば問題ないということです!!

吸いすぎないようにする方法は、演奏中に気をつける事ができる対策と、ケースにしまっている時にできる対策の2通りあります。

演奏中に気をつけることができる対策

演奏中は常に水蒸気が管内に充満している状態になっています。
管楽器の特性上仕方のない事ですが、こまめに溜まった水分を取り除く事が一番大切だと思っています。
水分を取り除く方法としては、普段のお手入れと同じく、スワブとクリーニングペーパーをこまめにかける事です。
サックスのべたつき対策と同じですね!!
べたつき対策の記事はこちら!

ケースにしまっている時にできる対策

ケースの中は、夏場は常に高温多湿の様な状態になっています。
対策としては、ケースの置き場所をできるだけ風通しのいい涼しいところにおいておくこと。
さらに、ケースの中の湿度が増えすぎないようにするために、除湿剤を入れることが、一番の対策になると思います!

おまけ

ケース内に入れる除湿剤。
シリカゲルを入れるだけでもいいですが、島村楽器のリペアマンが自信を持ってお勧めするのはこちらの商品です!!

『モイスチャーハウス』(湿度調整剤)です!!
通常の除湿剤では、余分な湿度を取り除くことしかできませんが、湿度調整剤は、カラカラに乾燥している冬の時期にも湿度が下がりすぎないように調整してくれるんです!
木材の状態変化の抑制と、タンポの劣化スピードを遅らせる働きがあるので、ぜひ入れてみてくださいね!
ちなみにフルート用、クラリネット・バイオリン用、サックス・トランペット・トロンボーン用の3種類となっています!

まとめ

いかがでしたか??
今回は梅雨の時期に起こりうる問題と対策について考察してみました!
ちょっとした事を気をつけるだけで、ある程度抑制することができるので、是非参考にしてみてください。

1点だけ気をつけていただきたいことは、分解が固くなってしまったときに、無理に抜こうとしないことです。
無理に抜こうと力を入れてしまうと、キイが曲がってしまったり、違う問題が発生してしまう可能性があります。
必ず、行きつけのリペアマンにご相談くださいね!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!
次回のブログもお楽しみに!!

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