【管楽器リペア通信】 クラリネットお手入れ講座

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2018年02月26日

管楽器リペア通信 クラリネットお手入れ講座

仙台長町店の管リペアマン南波によるリペア通信

クラリネットを担当される方へ
クラリネットって日頃どんなお手入れが大切かをご紹介します!

目次

1、クラリネットの種類

2、楽器の素材

3、楽器の組み立て

4、ジョイントについて

5、演奏中・演奏後のお手入れ

6、スワブの使い方

6-2、スワブが詰まってしまったら

7.管体のお掃除

7.キイオイルの使い方

8、ケースに保管するとき

9、まとめ

10、修理・調整料金

クラリネットの種類について

皆様がよく目にする吹奏楽で使用されているのはソプラノ・クラリネットという楽器になります。
またソプラノクラリネットにも様々な調に分かれていますが主にB♭調のクラリネットがほとんどです。

クラリネットには種類が多く同じB♭管のクラリネットでもベーム式・エーラー式と二つの構造の違いがあります。日本の吹奏楽ではベーム式がほとんどになります。
エーラー式はベーム式と比べキイ(指で押すパーツ)が多く、運指も変わってきます。エーラー式はドイツ式と呼ばれることが多く。ドイツの有名オーケストラなどではこちらの楽器を採用しています。音色の違いなどによって好みになりますので演奏する楽曲の違いによるものだと思われます。

今回は日本で主流のB♭ソプラノクラリネット(ベーム式)を使用していきます!

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クラリネットは何の木でつくられているの?

クラリネットはグラナディラという黒檀に似ている木材で作られています。数年間乾燥させて木材を加工しています。
その為クラリネットに限らず木製の楽器は水分や多湿・乾燥などの湿度変化に弱い性質があります。
近年は良質なグラナディラがなかなか手に配しにくい傾向があり価格帯によってはABS樹脂(プラ管)やグラナディラとカーボンを混ぜた素材などの楽器もあります。

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楽器の組み立て

クラリネットは上からマウスピース(唄口)・バレル(タル)・上管・下管・ベルの5個の管体パーツを組み合わせて演奏します。
それぞれの組み立て部(ジョイント)にはジョイントコルクが巻かれており。コルクの弾力によって固定されています。

組み立ての際にはコルク部にコルクグリスを塗布して組み立てていきます。主には組み立てやすくするための潤滑になるのですが、実はもう2つ効果があります。
コルクは木材の樹皮の一種になりますその為天然素材特有の穴(隙間)があります。それをグリスによって埋めてあげることによって音の伝達・響きが良くなったりします。
またジョイント部には水分が非常に溜まります。水分に弱い為木材が痛んでしまい。最悪の場合割れてしまう事があります。この水分変化をグリスが木材をコーティングしてあげることによって守ってくれる効果もございます。

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  • ラ・トロンバ(コルク&スライドグリス)
    グリスの粒子が細かく伸びが良い為音の振動を無駄なく伝えるグリス

メーカー 商品名 税込販売価格
ラ・トロンバ コルク&スライドグリスL ¥880

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ジョイントコルクがゆるくなっているかも・・・

組み立てに大きくかかわっているジョイントコルクですが、少しずつ経年劣化によってつぶれ弾力が無くなってしまいます。
しっかりと組み立てたのグラグラしたり、グリスを塗らなくても軽く組み立てが出来てしまう場合は交換(まき直し)が必要です。外れて落下の恐れや、管体の振動・響きが伝わらず音の鳴りが悪くなってしまう恐れがあります。

ここからはリペアマンのお仕事です!

修理内容 基本技術料金(税込)
ジョイントコルク交換 1ヶ所 ¥2,100~+別途パーツ代

仙台長町店に持ち込みいただければ一時間ほどでお戻しが可能です!
※状況によってはそれ以上お待ちいただいたり、お預かりになることもあります。

組み立ての際に気を付けてほしいポイント!

クラリネットの上管・下管にはたくさんのキイが付いています。組み立ての際はなるべくキイに力がかからないところを持ってあげて組み立てましょう。
上管・下管には連結キイパーツもあり、バランスがとられています。たまにひっかけて曲がってしまったり、接地面にあるコルクなどのパーツが欠けてしまったりと修理でも多くいらっしゃいます。気を付けてよく見ながら組み立てましょう!

「グリスを塗ってもジョイントが硬くて入らない・抜けなくなった」そんなトラブルもあります。
もしかするとコルクが硬いのではなく、木材(グラナディラ)が膨張してしまっているかもしれません!!
見た目では、ほとんどわからない差になりますが、冒頭にも書かせて頂いたように数年かけて乾燥させ伸縮変化が少なくなるように製造していますが、演奏によって管内の湿度が上がり、また水分によって木材が膨張してしまいます。
また、演奏していなくても楽器(木材)は湿度の変化によって絶えず伸縮を繰り返していきます。
特に新品で購入されたばかりの楽器は注意が必要になります。一度の練習で1時間以上吹き続けてしまうと急な湿度変化によって膨張し、管体にストレスが溜まり最悪の場合割れてしまう事があります。

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演奏中・演奏後のお手入れ方法

クラリネットにはたくさんのキイとタンポ(パット)がついています。このキイと指によって音孔(穴)を塞いであげることによって音が変わっていきますね!
このタンポは主にフェルト・台紙・ブラダー(動物の腸)で作られています。タンポには革やゴアテックス素材など様々ありますがスキンタンポが多く使われております。
こちらも水分に弱く、変形してしまったりの寿命を縮めてしまったり破れてしまったりしてしまいます。
タンポは消耗品ですので一定時期で交換になりますが、なるべくいい状態で長くいたいですよね・・・
演奏後はもちろんですが、長時間の練習の場合は一時間に一回ほどクリーニングペーパーを使ってタンポ表面の水分を取り除いてあげましょう。

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  • EMUL
    色付きで100枚入りのお得なペーパー

メーカー 商品名 税込販売価格
EMUL クリーニングペーパー ¥396

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管内の水分も綺麗に取り除こう

また管内には多くの水分が溜まります。スワブも使ってしっかりと水分を取り除きましょう。目安は20~30分に一回ですかね!こまめに通してあげることが大切です!

スワブを管体に通してあげる際、スワブが絡まってないことを確認してから、重りがついている紐を中へいれます。そして重りの力を使って反対口から出して上げでください。
管内で詰らないようにスワブを引っ張り出してみましょう。
数回繰り返してあげたらOKです!

ポイントはゆっくり通してあげる事です!
スワブを勢いよく通してしまうと水分はスワブに吸収されず勢いによって音孔やタンポに飛び散ってしまいます。音孔に水分が溜まてしまうと取り除くのはペーパーを使ってゆっくり吸収してあげることが大切です。

もし、スワブが詰まってしまったら・・・

上管の管内には音孔が飛び出ています。これも勢いよくスワブを通した際に引っかかって詰まってしまう事があります。
無理に引っ張ってしまうと逆効果です、焦らずゆっくりと反対方向から引き戻してあげてください。
それでも抜け無い場合は無理に続けずにリペアマンにお任せください!
詰まりが軽度の場合はすぐにお戻しすることができます。
しかし重症の場合はお預かりになることもありますのでご了承ください。

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  • アロリエ・トマアズ
    驚くほど高い吸収力で管内の水分を隅々までキレイに!

メーカー 商品名 税込販売価格
アトリエ・トマアズ クリーニングスワブ ¥2,860
アトリエ・トマアズ マウスピーススワブ ¥1,980

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管体のお掃除

楽器の表面は傷の付きにくいクロスで拭き上げてあげましょう!
黒く見えるグラナディラですが、染色されて色が付いています。タンポの表面が茶色や真っ黒に変わってしまっているのはこの染色が水分によって浮き出てしまっているからなんです。
キイはメッキがされていまうので磨くことは可能です。しかし、タンポの側面に傷つけてしまいやすく破れてしまう事もありますので気を付けましょう。
手の届かないところはトーンホールクリーナーを使用します。意外と忘れられてしまうのがキイではなく指で塞ぐ音孔です!ペーパーも使うことが無いので汚れが溜まっていることが多いです。綿棒などでたまに掃除してあげましょう。

クラリネットはたくさんのキイにバネやコルク・フェルトが使われています。無理にお掃除しようとしてしまうとパーツなどが外れてしまうことがありますので、注意してお掃除してくださいね!

リペアマン オススメお手入れアイテム
  • キョンセームクロス
    セーム革のクロスだから楽器を磨き傷からも守ります!
    リペアマン南波も愛用中で革なので、使えば使うほどしなやかに性能を発揮してくれます!

  • BUZZ シルバークリーナー
    研磨剤が非常に少なく変色を磨く優れもの!
    綿状の物もちぎって軽くこするだけでOK!仕上げにクロスで磨けばピカピカに

メーカー 商品名 税込販売価格
HISTORY キョンセームクロス Mサイズ ¥4,290
BUZZ シルバークリーナー ¥1,155

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キイオイルっていつどこで使うの?

たくさんのキイによって組立っていることは分かりましたよね!
たくさんのキイたちはネジやシャフト(芯金)によって支えられています。
その支えられているキイの接点にオイルを差してあげましょう!

キイの動きが悪くなる前に注油がポイントです!毎日演奏される方であれば1~2週間に一回ほどが目安ですかね。
最低でも月一回がオススメです。ポイントを狙って数滴オイルを注してキイを動かしてあげてください。

残ったオイル・管体表面についてしまったオイルはガーゼなどで拭き取ってください。
オイルが残っていると、そこにホコリやゴミが付着し動作不良の原因になってしまいます・・・
また楽器内のオイルは少しずつ古くなったり汚れてきます。

定期調整など全体調整の際はリペアマンが一つ一つ分解し、古いオイルや汚れをクリーニング・除去し新しいオイルを隅々まで注油します!
演奏者では届かない箇所やパイプ内などはリペアマンのお仕事です!
良いお手入れと定期的な調整・メンテナンスが演奏上達の近道ですね!

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ケースにしまう時に大切なこと

演奏が終わりスワブも通してケースにしまう際、ジョイント部に残ったグリスはしっかりと拭き取ってあげましょう!ティッシュペーパーなどでOKです!
ケース内が汚れてしまったり、古いグリスによって楽器が痛んでしまう事もあります。ポケットティッシュも一緒に持ち歩くと便利ですね!

ケース内の湿度管理は大丈夫ですか?日本は美しい四季のある国になります。その為一年の間に冬季の乾燥や梅雨の多湿があります。ケースの中は特に風通しが悪く湿度の調整が難しいです。また演奏後のケース内は管体の水分によってケース内の湿度が一気に上がります。カビ等の原因になりますので、湿度調整アイテムを入れてあげると良いですね!

リペアマン オススメお手入れアイテム
  • モイスレガート
    楽器に適している湿度にキープ!ケース内の湿度を一定に保ってくれて調整崩れを抑えてくれます。

  • Cガード
    変色は時間と共に進んでいく・・・ケース内に楽器と一緒に入れるだけで酸化による変色を抑えます!

メーカー 商品名 税込販売価格
モイスレガート 楽器湿度調整剤・西陣織クラリネット用 ¥2,750
Cガード Cガード クラ・オーボエ用 ¥1,320

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まとめ

今回のクラリネットのお手入れ講座ではしつこいほど水分!水分!湿度!と伝えさせていただきました。
それだけお手入れでの水分除去と楽器の湿度調整が大切な楽器になります。もちろん他の管楽器でも同じなのですが、クラリネットは木材で管体が作られているため割れてしまう危険性が高いからです!
でもどんなに気を付けていても自然物ですので割れてしまう事はあります・・・そんな時はリペアマン南波にお任せください!割れてしまったところはそれ以上割れないように修正してあげることが大切ですので早めにご相談ください!

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良い演奏するためには良い状態の楽器が必要です

修理・調整箇所 基本料金
全タンポ交換(※1) ¥36,000~+別途パーツ代
磨き(全タンポ交換必須) ¥9,000~
全体バランス・タンポ調整(※1・2) ¥4,800~
ジョイントコルク交換 1ヶ所/¥2,100~+別途パーツ代
割れ修正 ¥3,200~
  • ※1 機能面の再生(キィの動作修正・ガタツキ取り除き)が必要な場合は、料金が変わります。
  • ※2 タンポに破れ・痛み・変色などがあり老朽化している場合には、タンポ交換(1ヶ所/¥1,400~+別途パーツ代)が必要となります。

修理料金はあくまで目安の基本料金となります。
詳細金額につきましては、一度店頭にて楽器をお預かりしまして、お見積もりを致します。

上記以外の事でもお気軽にご相談下さい。
日頃のメンテナンスアドバイスも行っております!

是非一度、仙台長町モール店へ楽器の健康診断へお越しくださいませ!

仙台長町店
常駐管楽器リペアマン 南波(なんば)

お問い合わせ

店名 島村楽器 仙台長町店
TEL 022-304-2261

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