皆さま、登場率がかなり高くなってきているクラシックギター担当石本です。前回の『【クラシックギターで検証】『ギターと重さ』に関係はあるのか??』の第2弾になります。
本記事では、音量にスポットをあてて検証していきたいと思います。もくもくと弾き比べを行ったため、今回は写真なしという前代未聞の記事でお送りすることをお許しください。その代わりと言ってはなんですが、ボリューミーな内容となっています!!
音量の測定・比較ですので、いくつか決めて弾き比べを行うことにしました。
測定にあたって
- おおよそ3.7畳(7平米)のレッスンルームを利用
- 演奏場所から1.5m離れたところでデシベル測定器を用いて測定
測定方法
- 調弦はハーモニクスを用いる
- 1と6弦の解放弦を約2秒間を測定
- 『禁じられた遊び』の冒頭部を演奏
参考dB
- 何も音を出していない状態で45dB(換気扇)
- 普通に話すと約60dB(大声だと70dB)
- パチンコ店内で80dB
以上の条件のもと比較検証を行っていきます。
仮説:弦長(スケール)が短い方が音は小さい
コダイラAST-65LとAST-65
ギター | AST-65L(630mm) | AST-65 |
---|---|---|
重さ | 1553g | 1625g |
調弦時 | 58~62dB | 56~67dB |
1・6弦 | 60~67dB | 57~71dB |
曲 | 65~77dB | 72~75dB |
フラメンコ調 | 75~85dB | 79~84dB |
この結果だけで答えを出すのは早いと思いますので、もう1つ比較してみます。
コダイラAST-100LとTSUJI S-1
ギター | AST-100L(630mm) | S-1 |
---|---|---|
重さ | 1553g | 1575g |
調弦時 | 59~69dB | 58~67dB |
1・6弦 | 60~70dB | 65~72dB |
曲 | 74~80dB | 71~78dB |
フラメンコ調 | 79~89dB | 79~84dB |
おっと??なんとも絶妙な結果となってしまいました。ということで、もう1つ検証します!
黒澤哲郎コンシェルト松(630mm)とTSUJI S-1
ギター | コンシェルト松(630mm) | S-1 |
---|---|---|
重さ | 1470g | 1575g |
調弦時 | 58~63dB | 58~67dB |
1・6弦 | 60~70dB | 65~72dB |
曲 | 63~78dB | 71~78dB |
フラメンコ調 | 79~86dB | 79~84dB |
- 結果:スケールが小さくなっても音量も小さくならない
スケールが短い方が、小さい音から大きな音まで出すことができるという結果のように思います。弦でキャッチしたエネルギーは同じでも、より振動するのは軽い方だからです。
1つめのコダイラの比較を見ましても、630mmのショートスケールの方が小さい音から大きい音まで出ています。また、今回の3つの比較を見ましても、楽器が軽い方が大きな音が出ていることが分かりました。
個体差があるので断定することは避けますが、一般的にいわれている『ショートスケールは鳴らない』は間違いと思います。
仮説:杉と松なら、杉の方が大きく鳴る
『杉は初めから鳴って、松は弾きこむと鳴ってくる』と一般的に言われています(特にネットでよく見ます)。ではそれは本当なのか、検証します。
黒澤哲郎コンシェルト松(630mm)とコンシェルト杉
ギター | コンシェルト松(630mm) | コンシェルト杉 |
---|---|---|
重さ | 1470g | 1637g |
調弦時 | 58~63dB | 61~68dB |
1・6弦 | 60~70dB | 62~73dB |
曲 | 63~78dB | 68~75dB |
フラメンコ調 | 79~86dB | 79~89dB |
黒澤哲郎氏のコンシェルトで比較しましたが、スケールが違うのでこちらは参考程度にしておきましょう。若干杉の方が大きく鳴る感じですね。
次はスケールを揃えて比較します。
コダイラAST-150(杉)とTSUJI S-1(松)
ギター | AST-150 | S-1 |
---|---|---|
重さ | 1699gg | 1575g |
調弦時 | 57~70dB | 58~67dB |
1・6弦 | 60~71dB | 65~72dB |
曲 | 68~74dB | 71~78dB |
フラメンコ調 | 79~87dB | 79~84dB |
こちらの検証ではS-1(松)の方が若干大きく鳴っています。
そもそもdB(デシベル)って何?
疑問:いままでの検証で出てきた60dBと80dBの差、20dBとはどれほどの音量差?
- 答え:音圧で約10倍
(※10dBは約3倍、20dBは約100倍、40dbは約1000倍の差)
dB(デシベル)とは、倍率で表示すると桁数が非常に大きくなって分かり難くなってしまう数値を、桁数を抑えて比較的分かり易い数値にするために対数(log)を用いて表示する単位記号なのです。
この差が分かったところで、もう一度1番はじめからの検証を見直してみましょう。(お時間のない方は、このまますぐ続きを読んでください。)
仮説:弦長(スケール)が短い方が音は小さい
コダイラAST-65LとAST-65
ギター | AST-65L(630mm) | AST-65 |
---|---|---|
曲 | 65~77dB | 72~75dB |
- 最大5dBの差、つまり約2倍弱の音圧差が発生している
優しく弾いた時が特にそう感じます。意識的に力強く弾いた時の音量にそこまで大差は感じませんでした。
仮説:杉と松なら、杉の方が大きく鳴る
コダイラAST-150(杉)とTSUJI S-1(松)
ギター | AST-150 | S-1 |
---|---|---|
1・6弦 | 60~71dB | 65~72dB |
曲 | 68~74dB | 71~78dB |
- 最大5dBの差、つまり約2倍弱の音圧差が発生している
こちらは大きく鳴るときの音圧が約2倍違うとの数値がでました。手元で鳴るのか、遠くまで響くように鳴るのか、というそもそもの違いがあるので、断言できかねますが、この弾き比べをした際は「めっちゃ鳴る」と体感しました。
検証結果をまとめます
皆さま、前回に引き続きこのようなつまらない記事に最後までお付き合いいただきありがとうございます。本記事の検証結果を発表します。
クラシックギターの音量は・・・
- 弦長(スケール)が短いと小さい音はより小さく鳴る
- 杉の方が鳴らしやすい(※わたしは)
- 手元で鳴る印象が強いギターと遠くまで響くギターで数値が全く異なるので、コンサートなどで使するギターをお探しの方は少し離れたところで聴いてみた方が良い
あとがき
ここまで書いておいてですが、ギターは1本1本音色や特性が違います。「まとまった音色」と感じるギターもあれば「低音が効いてて重厚感がすごい」と感じるギターもあります。今回の結果はあくまでもエキスポシティ店の展示ギターで検証していますので、皆さまがお持ちのギターと異なる結果になるところも多々発生してくると思います。
ですので本記事はクラシックギター担当:石本のお遊びと思っていただけると幸いです。
スタッフ一同、皆様のご来店を心よりお待ちしております。
また下記の島村楽器ギター専門サイトでも商品を紹介しています!
当店のクラシックギターにリストもございますので、ぜひショートスケールのギターをお探しの方はエキスポシティ店までお越しくださいませ。
11月22日(水)~12月17日(日)はエキスポシティ店へ
11月22日(水)~12月17日(日)にエキスポシティ店で『プチクラシックギターフェスタ』を開催いたします。
5月に開催したときも皆さまから沢山の反応があり、再び開催することができます。本当に私も楽しみなフェスタとなっていますので、ぜひお越しください。始めやすい・弾きやすい、この2点に特化してギターを選んでいます。ですので、興味がある方はぜひこの期間中にエキスポシティ店に来てください!!
お問い合わせ
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店舗名 | 島村楽器エキスポシティ店 |
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クラシックギター担当 | 石本 |
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