【クラシックギターを徹底検証6】ヘッドの形の違いって何?

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2018年02月23日

クラシックギター担当石本が気になったところを徹底的に調べ検証する、『クラシックギターって奥が深い(仮)』のコーナー。前回から期間が空いてしまいました。。。

ヘッド(弦を巻いているところ)の形って意味があるの?

クラシックギターのヘッドは同じように見えて、少しずつ違いがあります。

小平

この写真はクラシックギターを弾く方なら必ず聞いた事があるKODAIRA(コダイラ)のヘッド3種です。大きくは違いませんが山の形が違うのがお分かりいただけると思います。

この違いは一体何なのか?!お問合せいただいたことがキッカケで私も疑問に思い、店内のギターを見てみると、似ても似つかないものもあるじゃないですか!ということなので、石本が納得できるまで調べてみました~!

国で違う?

歴代のギター製作者は弟子をつけることで、自身のギターを残しています。(弟子を取らず一代で終わった伝説の製作家もいますが...)簡単ではありますが、国ごとに見ていきます。

スペイン
  • マドリッド派
    ●ホセ・ラミレス→パウリーノ・ベルナベ
    ●マヌエル・ラミレス→サントス・エルナンデス→マルセロ・バルベロ
  • グラナダ派
    べニート・フェレール・マルティン→アントニオ・マリン・モンテロ
  • 属していない
    ●イグナシオ・フレタ・エ・イーホス,●ホセ・ルイス・ロマニリョス
ドイツ
  • ●ヘルマン・ハウザー家
フランス
  • ●ロベール・ブーシェ→ダニエル・フレドリッシュ
日本
  • ●中出阪蔵→中出輝明,敏彦,幸雄→今井勇一
  • ●河野賢→桜井正毅

などなど、、、書き始めると終わりのない世界ですのでこの辺りで省略させていただきます。ではようやく本題のヘッドに入りましょう!

ヘッドを見ればアレがわかる!

どの製作家の弟子だったのか・影響を受けたのかが分かります!個性を出す部分になるので一概には言い難いのですが、見分けるポイントになると思います。(※装飾で作っているタイプの製作家の方もいらっしゃるので、ご参考程度にお願い致します。)

トーレス・ハウザータイプ | ブーシェタイプ | ラミレスタイプ

  • アントニオ・デ・トーレスタイプ

クラシックギターの原型となる“モダンギター”を製作した人です。今日のギターは彼が作ったクラシックギターのサイズ・形状・構造などを模倣して作られ、ヘッドのデザインにおいても倣ったのではないかと推測されます。
日本で有名な河野賢や中出一門などがほぼ同じ形状で作っています。

写真のギター TSUJI S-1

  • イグナシオ・フレタタイプ

かなりトーレス(ハウザー)タイプと似ています。スペインでバイオリンを製作していたのですが、セゴビアの演奏に感動してギター製作を独学で始めたそうです。真ん中に大きめの山があり、左右に切れ込みが入っているのが特徴です。

写真のギター KODAIRA AST-100

  • ロベール・ブーシェタイプ

現存する楽器はわずか160本程度しかないロベール・ブーシェ。もとは画家だったというのも驚きです。真ん中に切れ込みがあり、前髪をセンター分けしたように見えるのが特徴です。

  • ロベール・ブーシェタイプ2

この桜井・河野のギターに関しても先端に割れ目があるので、おそらくブーシェタイプです。"おそらく"を付けた理由は、本モデルは島村楽器限定のモデルだからです。他の桜井・河野ギターと比べるとヘッドの形が違います。

写真のギター 桜井・河野 Special-SR

  • エルナンデス・イ・アグアドタイプ
写真のギター 黒澤澄雄 Episodio

先端に少し割れ目の入ったブーシェタイプに彫り込みの装飾を追加したものをアグアドタイプと言います。エルナンデスとアグアドという二人の職人がお互いに協力してギターを製作していた工房の名前です。ピアノを作ったり骨董家具の修復をしていたというのが驚きですね。

<番外編>
  • 19世紀ギタータイプ

名前の通り、ギターの黄金期にあたる19世紀のギターのヘッドに多く見受けられます。写真のものと違うヒョウタン型のヘッドも広く製作されていました。

写真のギター ARIA A19C-100N

最後までお付き合いありがとうございます。

今回も長い記事を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。改めてクラシックギターは奥が深いと感じました。ビウエラ・リュートなど16世紀には原型があったと言われている楽器なので、まだたくさんの秘密がありそうでワクワクします。

ギターのヘッドを見れば製作家の流派が分かるので、ぜひ皆さまも楽器店などで注目して見てみてくださいね。
近年は見た目重視の装飾の製作家の方々もいらっしゃるので、一概に上記のタイプと断言できない場合もございます。

『クラシックギターって奥が深い』の過去記事はコチラ

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ギターセレクション

当店のクラシックギターにリストもございますので、ぜひショートスケールのギターをお探しの方はエキスポシティ店までお越しくださいませ。

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店舗名 島村楽器エキスポシティ店
クラシックギター担当 石本

フラメンコ

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