【注目のアーティスト】特集。こちらのコーナーでは、今注目を集めているアーティストや、今後ブレイク必至な新星にスポットを当てて、様々な管楽器アーティストを深掘ろうという企画。今回は、現役芸大生にして大変注目度の高いサックス奏者:関谷鳳翔氏にスポットを当てる。
取材日:2026年8月27日(木)
取材場所:南小岩バッハザール
今回の特集は、
①サックスとの出会い~
②芸大入学~
③いま使用している楽器について
上記3回にわたっての連載企画。
サックスを始めたきっかけ
関谷:中学1年生の時に吹奏楽部に入部した事がきっかけですね。
ー それまで音楽経験は無かった?
関谷:はい。小学校6年生の時に遡るのですが、当時同じクラスの友達にピアノが弾ける人がいて、その友達が音楽室でピアノを弾いてくれた事があったんですよ。その時の演奏を聴いて「僕も何か音楽をやりたい」と強く心が動かされました。
それがきっかけで吹奏楽部に入りました。
ー 当然、第1希望はサックス?
関谷:実はクラリネットが第1希望でした(笑)
本当はダブルリードの楽器にも憧れていたんですけど、当時所属していた部活が大きい編成では無かったので、オーボエやファゴットのパートは無くクラリネットにしようと。
サックスも気にはなっていたのですが、先にクラリネットの先輩に「クラリネット希望します!」と調子の良いことを言っていたのと、あの暖かみのある音が好きでクラリネットにしようとなりました。
ー では最初はクラリネットでスタートした?
関谷:いえ、部内でオーディションがあって、最終的にはサックスでスタートする事になりました。このタイミングでまた僕の人生を変える出来事があった事になりますね。
クラリネットが第1希望ではあったのですが、サックスにも魅力は感じていて、やっぱり、あのサックスの金ピカした見た目って凄いじゃないですか。特にソプラノサックスを見たときに、「金のクラリネットみたいだな」って(笑)
さらにはテレビで東京佼成ウインドオーケストラやぱんだウインドオーケストラを見る機会があって、サックスってこんなに凄いんだ!って思いました。そこからサックスを本格的にやってみたいなってなりました。
ー まさに運命を決定づける瞬間でしたね
関谷:あの時テレビを見ていなかったらこういう事にはなっていないので、運命の瞬間だったと思います。
ー 中学高校時代は吹奏楽一筋でしたか?
関谷:実はそうでもなくて、中学時代は吹奏楽部で楽しく過ごしていたんですけど、高校1年生で辞めてしまったんですよ。
その頃、本格的にサックスの勉強をしてみようかと思っていたのですが、部活の時間ではなかなかソロの勉強に時間を割く事が出来なかったのと、ちょうどそのタイミングで新型コロナウイルスが本格的に流行りだしてきて、部活動自体が行えなくなってしまった事もあるので、僕の吹奏楽人生と言うのは、高校1年の12月にパッと終わってしまっていて、ほとんど充実した活動は行えませんでした。
ー 最初は先輩から楽器を教わった?
関谷:そうですね、先輩方から手ほどきを受けていました。マウスピースの扱い方やアンブシュアとか、楽器の組み立て方とかですね。当然それまでサックスの予備知識は無かった訳ですから、第1印象とは違う訳です。
学校の楽器はとにかくボロボロだったので、初めて手にした時は、「なんか金属クサいな・・・」って思ったような(笑)
あとは、食虫植物に似ているな・・・なんて。とにかく本当に、されるがままと言った感じではありました。
パッと見複雑そうな楽器なのですが音は思っていたよりすぐに出ました。指使いは基本的にリコーダーと同じなので、あまり苦労することは無かったです。
とにかく、どんな楽器になろうと小学校6年生の時の友人のピアノ演奏で受けたインスピレーションをアウトプットしたかった。そこですね。

部活を辞めてからの生活
ー 部活を辞めてからはどんなことをやった?
関谷:その頃はコロナ禍と言う事もあったのですが、そんな中でもソロコンクールは開催されていたので、そこを目指しました。
その時の、第31回日本クラシック音楽コンクール全国大会で2位(1位なし)を取ることができたり、ジュニアクラシック音楽コンクールでも第1位を獲り、ありがたい結果を残すことができたのですが、実はこれにはちょっとしたエピソードがありまして。
僕が初めてソロコンクールを受けたのは高校1年生の終わりだったんですね。その時の僕は、吹奏楽部でもちょっと自信のある方?だったので、いわゆる今の音大生の皆様がやるような基礎練習や丁寧な練習を十分にせず、感覚に頼ったままコンクールに臨んだんです。結果は入賞には届かず、そこで初めて、自分の練習の仕方を見直す必要があると強く感じて先生や先輩からも言われ続けていたのに後回しにしてきた基礎練習を丁寧にやるようになりました。
部活もやめて、更にはコロナ禍という事で時間があったので、ロングトーンやスケールなんかを割としっかりやっていました。そうすると、「こうやった方が息が素直に入るな・・・」とか、今まで見えなかった部分が見えるようになってきて、黙々と基礎練習をやるようになりました。それがあって、第31回日本クラシック音楽コンクールなどの入賞に繋がりました。
今、後進の指導にあたることもあるんですけど、基礎練習の大切さと言うのは早いうちから教えるようにしています。
ー 音楽大学に進学しようと明確に意識し始めたのはいつからですか?
関谷:中学2年の時です。それこそその時、須川展也さん、上野耕平さん、住谷美帆さん、齊藤健太さん、本堂誠さん、田中奏一朗さんの演奏を聴く機会があったんですけど、それを聞いた時の衝撃が今でも忘れられないですね。
本堂さん、住谷さん、齊藤さんは日本管打楽器コンクールの入賞者演奏会を生で聴きまして、あの時の演奏は今でも鮮明に記憶に残っています。
この方々はどこでどうやって勉強したらこの境地にたどり着いたんだろうかと調べたら、全員共通して東京芸術大学卒と書いてあって、この大学はとてつもない大学なんだと気づきました。
それが転機となって、”音大”に行きたいという気持ちよりも、”芸大”に行きたいという気持ちになりました。同時に僕も日本管打楽器コンクールの舞台に立ちたいとも思いました。
ただ、まずは高校に受からないと共通テストも受けられないし、そもそも当時は成績も良くなかったので、頑張って高校受験に合格して、本格的にサックスの勉強を始めたという流れですね。

ー まず何から手を付けましたか?
関谷:当時は中学生だった事もあって、吹奏楽部の指導に来ていた先生から、ラクール50のエチュードを教わりまして、わからないなりにも、とりあえず譜面を追って行ったのですが、実は高校1年生の時にソルフェージュの先生、羽石道代先生と出会うまで、全く譜面が読めなかったんです。
ー えっ!?
関谷:そう。だからそれまで吹奏楽の曲も全部耳コピ等で吹いていたんですよ。今考えると凄い事をしていたと思うんですけど、感覚で乗り切っていました(笑)タイとかスラーとか調号とかも全くわからずでしたね。
ー じゃあ、芸大合格を目指して最初に取り組んだのは、楽譜を読めるようになる事?
関谷:そうですね、そうなります。しかも先程、中学の時の成績があまり良くなかったと言いましたけど、通知表はほとんどオール2でしたので、当時の学校の先生から「芸大を目指す前に、まずは高校に行きなさい!」と言われまして、あまり音楽的な事を勉強する時間はありませんでした。
ー 部活を辞めてからは、1日にどれくらい練習しましたか?
関谷:平日はだいたい3〜4時間くらい、学校との兼ね合いもありましたが、コツコツ練習していましたね。それまでは、好きなメロディーを吹いたり特殊奏法で遊ぶみたいな事をしてました(笑)
ですが、そうした経験(遊び)を通して自然と感性が鍛えられ、大学に入ってからも、循環呼吸やスラップタンギング、フラジオなどのさまざまな奏法に、比較的スムーズに取り組むことができたのかもしれません。
サックスは、現代音楽の作品や新しい奏法に触れる機会もどんどん増えてきていますから、そうした経験が今の自分の演奏にもつながっているのかなと思います。
- 学校に通いながら1日4時間の練習時間を確保するのは大変だったと思いますが、その時に気を付けて取り組んだことはありますか?
関谷:やっぱり、どんなに時間が無くても、基礎練習だけはやるというのは、コンクールでの悔しい経験が活かされていますね。せめてロングトーンだけでも。せめてスケールだけでも。
あとは、楽典やソルフェージュ等は、学校の休み時間になるべく終わらせるというのを意識していました。何とかサックスを吹く時間を確保するっていう。
あとは、高校は家から近く音楽の授業が豊富なところ(晴海総合高校)を選んで、練習時間を確保するというのもやりました。

ー 専攻楽器の練習以外で、これだけはやっておけ!という事がありましたら
関谷:良い音を聞くっていうのはやって欲しいなと思います。自分の耳が一番の先生と言うか、良い耳を育てるためには良い音をたくさん聞く。僕がかつて良い音に魅せられてサックスの勉強にのめり込んだように、何かのきっかけになる事もあるから。今は良い音を聞くツールがいっぱいあるから、自分がやっている楽器だけではなく、色々な音楽(良い音)を早い段階から聞くのが上達の近道かな?と思います。
(第2回へ続く)
次回は芸大入学以降のお話をお届けいたします。次回お楽しみに!
本社 商品部 堀越(ほりこし)

管楽器系オリジナル製品の開発や、メーカーとのコラボレーション商品開発、海外代理店ブランドを担当しています。
たまに店舗でイベントを開催する事もありますので、見かけましたら、是非お声がけください。