こいつは腕の見せ所 後編|ルシアー駒木のギターよもやま話 その8

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皆さんこんにちは。

お待たせしました(笑)
前回いいところで引っ張ってみた
ルシアー駒木(コマキ)です。

前回の記事はこちら!

https://guitarsele.com/article-new/staff-blog/komaki-008/

ヘッドに記載された文字を残すためにどんな方法を選択したのか、それではご覧いただきましょう。

まずは、割れた箇所を接着することにしました。
「割れ」の部分は綺麗に割れているので、まずはそのまま着けることにし、
「剥がれ」の部分はわざと剥がれた箇所を広げて古い接着剤を取り除いてから接着。

楽器に傷を付けないように注意しつつ、クランプでしっかり固定します。
クランプと木材の間には、クランプが接着されないための油紙と、
傷をつけない様にゴム板を挟んでいます。

乾燥させて確認すると・・・

外側から見ても

内側から見ても

隙間無くしっかり接着されていることがわかりますね。

指板も同様に接着した後、
ペグを固定していたビス穴をここで埋めておきます。

ワンサイズ大きな穴を綺麗に空けて、ぴったりサイズの木材を埋めます。

さて、ここからが今回のポイント。
補強無しでは再発が心配ですし、とはいっても文字は消したくない。

そこで考えたのが、『見える部分には手を加えずに補強する方法』!!
見えない部分なんて・・・そう、あるんです!
糸巻きのプレート部分で隠れる箇所に、補強材を入れることにしました。

割れた箇所をしっかりまたぎ、かつ糸巻きで隠れ、更にスロットの内側からは見えない、
そんなサイズと位置を細かく決めて、トリマーをセットします。

狙い通りに溝が掘れました。

硬いメイプル材を使って、隙間無くはまる埋め木を製作します。
ノミで形を合わせていきます。

そして接着!

綺麗に埋まりました。

隙間ゼロ

注意深く見ると、割れた箇所を接着した時やペグビス穴を埋めた時とは接着剤を使い分けているのがわかりますね。
何を使うか、どう使い分けるか、それは企業秘密(笑)

乾燥したら、余分な箇所を削り取ります。

上手くいきました

あとは割れた箇所が目立たないように塗装修正していきます。
まずは塗装が乗っては困る指板面にマスキングを施します。

因みに、使用しているのは私のDVDでもお馴染みのマスキングテープです。

そして軽く全体にペーパーを当てて、塗装ののりをよくしておきます。
非常に薄い塗装なので、文字が消えないように、色が剥がれないように慎重に進めます。
この時点ですでに割れた箇所にのみ部分塗装補修してあるので、殆んど割れは見えなくなっています。

さあ、塗装です。
今回タッチアップは行いませんので、通常の塗装技法範囲で極力目立たないようにします。

乾燥させます。

目安はまず10日位。様子を見て場合によっては最長1ヶ月位の乾燥期間となります。

という訳で、乾燥のためにひと区切りとなります。
いかがでしたか?
こういった修理は、必ずクリアしていなければならないポイントがありますが(例えば強度等)、
それ以外の要素は技術者の工夫と技術力によって異なり、無限の方法が存在します。

乾燥完了から組み込み終了まではまた次の機会に。
お楽しみに!!

ルシアー駒木でした!!

ルシアー駒木プロフィール

テクニカルチーフとして島村楽器のギターリペア工房に勤務。

アーティスト用・雑誌掲載用などオーダーメイドでの楽器製作を行なってきたキャリアを活かし、お客様の楽器の修理・改造業務を主としながら、海外への買い付け業務や楽器開発協力、世界各国の工場で技術指導も行う。
その実力はアメリカやスウェーデンをはじめとした海外のアーティストから、スペインの伝統的なギター製作現場まで高い信頼を得るほど。

修理・改造業務の他、エレクトリックギターやベース、アコースティックギターの入門書やメンテナンスDVDへの解説出演、ラジオ「SAME’SBAR」への出演など、広い活動の場を持つ。

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