
数年前からエフェクター・マニアの間で静かなブームを呼んでいた、フィンランドのハンドメイド・エフェクター・ブランド「MAD PROFESSOR」。
今では圧倒的な地位を獲得し、ハンドメイド・エフェクター界の定番まで上り詰めて、不動の地位を確立しています。
そんなMAD PROFESSORの中でも特に人気を集めているのが歪み系ペダル。
その全13モデルを徹底的にチェックして行きます!
MAD PROFESSORとは
MAD PROFESSORはフィンランドで生産されているハンドメイドのエフェクター、アンプブランド。
(日本では圧倒的にエフェクターの知名度が高いですね)
Bjorn Juhl(ビヨン・ユール、以降BJ)というカリスマ・エフェクター・ビルダーによって設計されています。
BJについて少し触れておくと、彼は当初Bjorn Juhl Forstarker Elektronik (←スウェーデン語。英語だとBjorn Juhl Amplifier Electronics)というブランドを奥様のEva Juhlさんとスウェーデンで経営。
(ちなみにEvaさんはBJFEエフェクターの文字と絵を書いて(描いて)いた方です。)
その後リペア技術を披露していた2000年のギタートレード・ショウで、BJはCustom Sound社のHarri Koskiという人物と出会い、アンプの設計を依頼されます。
BJFEの生産で手一杯だったBJは一度は断りますが、設計だけをBJが担当し、生産は新たに会社を興して行うという新たなスタイルを確立。
その新たな会社が「MAD PROFESSOR」なのです。
※BJFEペダルは現在は生産されておりません。
元は「Hand Wired」で生産されていたMAD PROFESSORですが、近年ハンドワイヤードではない「New」シリーズが発売され、手軽に購入できるようになっています。
MAD PROFESSOR “Hand Wired” vs “New”
今回のMAD PROFESSOR検証は、“Hand Wired” vs “New”の対決形式で実施していきます!
Newシリーズはハンドワイヤードではありませんが、れっきとしたBJFデザイン。
さてその実力の差はいかほどか!?
気になるその内容に迫っていきましょう!
“Sweet Honey Overdrive”対決
まずはSweet Honey Overdrive(以降、文中はSHOD)対決です。
MAD PROFESSORを代表するモデルですね。

いきなりですが、みなさん「ダンブル・アンプ(DUMBLE)」ってご存知ですか?
ダンブルとは、アレキサンダー・ハワード・ダンブルというカルフォルニア州の個人ビルダーにより1960’Sより製作されているオール・ハンドメイド・アンプです。
知人や著名ミュージシャンだけのオーダーを個人で製作しているため一般流通はしておらず、過去の生産台数は約200台前後ときわめて少ないため、市場に出回ることは殆ど無く、幻のアンプともいわれています。
そのダンブル・アンプの特徴を再現すべく作られたBJFEのHoney Bee Overdrive。
BJがそれをさらに改良して生まれたのが、このHand Wired SHODです。
さらにHand Wired SHODのコストを落として手に入りやすい価格にしたのが、New SHODということです。
BJFデザインの3兄弟ということですね。
ぱっと見た瞬間に、筐体の塗装が違うのが見て取れます。
でも塗装以前に、筐体の材質が違うのです!
まずこちらのNew。

一般的なブティック系ブランドがそうであるように、Newの方はアルミ・ダイキャストを筐体として採用。
一方、Hand Wiredは…

なんと亜鉛ダイキャスト製。
アルミよりも比重が重いのですが、加圧することで強度が圧倒的に増すので、エフェクター自体の強度を保ち、寿命を延ばしてくれます。


フットスイッチがHand WiredとNewでは変更されていますね。
ジャックに関しても、INPUT/OUTPUT/DC INPUTそれぞれ変更。


※画像はNewシリーズのBluebird Overdriveと、Hand WiredシリーズのSky Blue Overdrive。
この変更で基盤に直接配置を行い、生産性向上につなげています。
これらのNewシリーズとHand Wireシリーズの違いは全機種に共通するものです。
| New Sweet Honey Overdrive | Hand Wired Sweet Honey Overdrive | |
| 定価 | ¥30,800(税込) | オープンプライス |
| 販売価格 | ¥26,290(税込) | ¥47,190(税込) |
| JAN | 4562281365859 | 4562281361363 |
価格差は約2倍の開きがあります。
さて、そのサウンド・クオリティはどのくらい違うのでしょうか!?
さっそく比べてみましょう!
今回もアンプ(クリーン・セッティング。EQはフラット。)で鳴らしたものをいつものハンディレコーダー、
Roland R-05
メーカー希望小売価格:オープンプライス
販売価格¥24,900(税込)
JAN:4957054411602
で録音しています。
手軽な感じがステキです。ギタセレでもかなり活躍してくれてますね。
セッティングはこちら。

DRIVEは2時くらいにセッティング。
FOCUS(後述*1)は3時くらいにしています。
まずはNewシリーズのSHOD行ってみましょー!
次にHand Wiredシリーズです。
楽しみですね。
この2つ、基本回路が同じなだけあってやはり音もそっくり!
どちらもピッキングに対する反応の速さが気持ちいいです。
これは弾いている人が一番気になるところですよね。
(録音した音源だと分かりづらいかもしれませんが… 生のピッキング音も聞こえるのでチェックしてみてください)
2機種で違ったのは、「音の密度」と「ヌケ」ですね。
Hand Wiredの方がやはり音が太く、その上でスコーンとヌケてきます。
(最初の出音が分かりやすいですよ)
上のサウンド・サンプルでももちろん感じますが、アンプの前にいるとそれが顕著に分かります!
やはり値段の差は音に現れました。
けっこうDRIVEを上げめにしてもコード感がしっかりあるのはHand Wiredの方。
コードをかき鳴らすスタイルのギターにもマッチしそうです。
*1FOCUSとは
「FOCUS」は、ペダルの全体的なEQのダイナミクスを設定する機能です。
FOCUSノブを中央から反時計回りに回したとき、非常にソフトなトーンになり、ジャズやブルースに最適なサウンドになります。
FOCUSノブを中央から時計回りに回したとき、トレブルがブーストされると同時にごく弱いディストーションサウンドを得ることができます。
(メーカーサイトより抜粋)
“Little Green Wonder”対決
さて次は、「Little Green Wonder」(LGW)対決です。
SHODがDUMBLEライクなサウンドを狙って作られたのに対して、LGWは「スタックアンプが奏でるオーバードライブのサウンド」を目指して作られました。

LGWは、「音の壁を作るような分厚いサウンドを作りだす」ペダルとしてメーカーでは紹介されています。
さて、その音の壁を体感してみましょう!
ちなみにLGWの「BODY」ノブはけっこう変わっていて、ブーストする帯域を選ぶ感じです。
左に回すと中低域が、真ん中で中域が、右で高域がブーストされる感じ。
| New Little Green Wonder | Hand Wired Little Green Wonder | |
| 定価 | ¥30,800(税込) | オープンプライス |
| 販売価格 | ¥26,290(税込) | ¥47,190(税込) |
| JAN | 4562281365859 | 4562281361363 |
セッティングは先ほどの画像を参考にしてください。
DRIVEを2時~3時に設定し、BODYを12時でフラットにしました。
まずはNewシリーズのLittle Green Wonderです。
次にHand WiredバージョンLittle Green Wonder。
ピッキングへの反応はMAD PROFESSORならではのものです。
音に関しては、確かにSHODと比べてスタックアンプのような音圧感を感じます。
そして“New”と“Hand Wired”の差がSHODよりも如実に出ています。
ここまで音の太さに差があると、Hand Wiredを選ばずにはいられません。
けっこう激しいロックサウンドもこれ一台で対応出来ちゃいそうですね~♪
“Blue”対決
MAD PROFESSOR歪み検証、前編の最後はこの“Blue”の名を冠したモデル3機種です。
(今回は全部オーバードライブでした)
それぞれの特徴をチェックしてみましょう!

これもMAD PROFESSORらしい、ちょっと変わったペダル。
クリーンに軽い歪みを加えるためにデザインされたペダル、とのことです。
ブースター的な感じでしょうか?
さらに変わってるのがコントロール表記。
VOLUME、DRIVEは良いとして、左下の「Z」と右下の「TEXTURE」。
これらは何でしょうか?

「Z」は「ギターのヴォリュームコントロールやトーンコントロールを動かしたときの反応性、また ピックアップの倍音の出方を調整します」
とメーカーサイトには記載してあります。
実はこの「Z」、INPUTのインピーダンスを調整しちゃうツマミなんです!
入力インピーダンスを変えられるので、使用するギターや、このペダルの前につなぐものによって調整し、インピーダンス・マッチングができるんですね。
ただし、インピーダンス・マッチングっておいそれとは出来ないので、それぞれのプレイヤーが「心地よい」と感じたポイントに持っていくのが良いのかもしれません。
(あ! インピーダンスの「Z」だったんだ~※2)
「TEXTURE」は分かりやすく一言で表すと、EQでしょうか。
右に回すとトレブリーな歪み方になっていきます。
このBluebird Overdriveがけっこう面白いです。
まずは箱を開けてツマミを見た瞬間に、「!?」と一度動きが止まります。
というのも、下の画像左上のツマミを見てください。

DELAY?
そう、このOverdriveペダルはディレイ搭載なのです。
細かな設定はペダルの裏蓋を開けて行うのですが、最初の設定でも良い感じのディレイ・サウンドでした。
そして右上の「DISTORTION」。
そのワードだけ聞くと、Overdriveなのに?と思うかもしれませんが、単純に「歪み量」と直訳してください。
どれだけドライブさせるかを設定するだけで、そこまで歪みは強くはなく、Distortionペダルとまではいきません。
(まあOverdriveペダルとDistortionペダルの明確な境界線も引きづらいんですけどね。)
これは“Hand Wired”シリーズにないモデルですね。
他のMAD PROFESSOR歪み同様、VOLUME、DRIVEが搭載されていますが、さらにBASS(左下)、TREBLE(右下)の4ノブ仕様になっています。
それによって、かなり幅広い音作りを可能にしています。
| Hand Wired Sky Blue Overdrive | Bluebird Overdrive | Royal Blue Overdrive | |
| 定価 | オープンプライス | ¥38,500(税込) | ¥30,800(税込) |
| 販売価格 | ¥46,970(税込) | ¥34,760(税込) | ¥26,290(税込) |
| JAN | 4562281361325 | 4560440824056 | 4560440828467 |
各コントロールのセッティングはこちらの画像を参照してください。

この3機種に関しては、同じモデルではないので「コレ気持ちいい!」と思えるサウンド・セッティングで鳴らしてみました。
まずHand Wired Sky Blue Overdriveから。
けっこうウォームな音質が魅力だと思います。
「Z」ノブでニュアンスを調整できるので、環境に合わせたセッティングでかなり重宝しますね。
次にBluebird Overdrive。
「歪みエフェクターに載ってるディレイでしょ?」なんて思っていたら大間違い!
ディレイも気持ちよくかかってくれます。
歪みに関しては王道のオーバードライブと言ったところでしょうか。
もともと足元がすっきりしている方であれば、「これ一台で済ませる!」なんてこともあり得そうなモデルですね。
最後はRoyal Blue Overdrive。
弾いた瞬間、「Blues Driver?」と感じました。
ペダル自体のカラーリングも良く似ています。
DRIVEを下げると緩やかなドライブ、上げると激しめなディストーションと、幅広く使える点ではかなり近い印象ですね。
しかしBD-2に比べると、音の質感がやはり太い感じ。
BD-2の進化版、といったところでしょうか。
MAD PROFESSORのペダルは全体的に「ココ」っていう的を絞ったサウンドを狙って出しているペダルが多いのですが、このRoyal Blue Overdriveに関しては幅広く使えるペダルに仕上がっていると思います。
「ひとまず歪みペダルを一つ欲しい」という方にはBJF譲りのファットなサウンドでオールラウンドなRoyal Blue Overdriveという選択肢はかなり「アリ」ですね。
検証後記
BJ(Bjorn Juhl)がデザインしてMAD PROFESSORからリリースされているモデルだけあって、音の傾向は同じように感じますね。
ピッキング等に対する反応の良さはピカイチです。
弾いていて本当に気持ちイイ!
そして音圧感や音の太さ、抜けなど全体的に非常に優秀なペダルだと思います。
お手軽な価格設定になっているNewシリーズでも、一般的なペダルに比べればかなりのもの。
予算の中で選択するならNewでも満足できる事は間違いありません。
しかしHand Wiredシリーズはその音の良さが顕著に現れているので、買い替えをせずにずっと付き合える歪みを手に入れたいならHand Wiredシリーズがオススメ。
MAD PROFESSOR 検証前編 ピックアップ機種ラインナップ
改めて今回取り上げた機種を簡単にご紹介。
好みのモデルはありましたか?
※メーカー公表のあるものは可能な限りスペックを記載しました。ボード組みの際、参考にして下さい。
“Hand Wired” Sweet Honey Overdrive

メーカー希望小売価格 オープンプライス /販売価格¥47,190(税込)
JAN:4562281361363
“New” Sweet Honey Overdrive

メーカー希望小売価格¥30,800(税込) /販売価格¥26,290(税込)
JAN:4562281365859
“Hand Wired” Little Green Wonder

メーカー希望小売価格(税抜)オープンプライス /販売価格¥49,830(税込)
JAN:4562281361295
【スペック】Z in at 1kHz: app. 500K/Pout 1kHz in 50k: app. 0uW70 RMS/Max load: app. 10K/Max output: 3V peak/Max current consumption: 5mA5 at 10V/Upper freq. -3dB: app. 10KHz/Max gain at 1KHz: app. 58 dB/Max input signal: 3V peak/Supply Voltage range: 7V5-18V
“New” Little Green Wonder

メーカー希望小売価格¥30,800(税込) /販売価格¥26,290(税込)
JAN:4562281365538
【スペック】Z in at 1kHz: app. 500K/Pout 1kHz in 50k: app. 0uW70 RMS/Max load: app. 10K/Max output: 3V pea/Max current consumption: 5mA5 at 10V/Upper freq. -3dB: app. 10KHz/Max gain at 1KHz: app. 58 dB/Max input signal: 3V peak/Supply Voltage range: 7V5-18V
“Hand Wired” Sky Blue Overdrive

メーカー希望小売価格 オープンプライス /販売価格¥46,970(税込)
JAN:4562281361325
【スペック】Supply voltage range: 7,5 to 18VDC/Current consumption at 9VDC: 5 mA/Input inpedance: 227K TO 10kOhm’s (adjustable with the Z-control)/Output impedance: 251K Ohm’s/Complete bypass (true bypass)
“New” Bluebird Overdrive

メーカー希望小売価格¥38,500(税込) /販売価格¥34,760(税込)
JAN:4560440824056
“New” Royal Blue Overdrive

メーカー希望小売価格¥30,800(税込) /販売価格¥26,290(税込)
JAN:4560440828467
次回はMAD PROFESSOR残りの6機種を一挙に検証!
禁断の(?)比較実験もやってみましたよ!!
ぜひお楽しみに〜














