サックスは非常に繊細な楽器です。日頃のちょっとしたお手入れの違いが、響きの良さや故障の予防に大きく関わります。
当店管楽器担当スタッフが、「愛機を傷つけず、良いコンディションを保つためのお手入れのポイント」を分かりやすく解説します!
1. 持ち方に注意!壊れやすいパーツを守る基本の扱い方
サックスは細かなキィや連動メカニズムが複雑に組み合わさっています。持つ場所を間違えると、キィが曲がり、音が出ない原因になってしまいます。
持ち方のOK・NGポイント
- OKな持ち方: 両手で持ち、一か所に力がかからないようにする。
- NGな持ち方: キィメカニズム(細かい連動パーツや長い棒状のキィ)を強く握る。細い部分を片手で持つ。
ワンポイント
組み立てや片付けの際、無意識にキィを強く握ってしまう方がとても多いです。曲がってしまったキィは調整が必要になりますので、丁寧に扱う癖をつけましょう。
≪持ち方≫ 例①

≪持ち方≫ 例②


≪持ち方≫ 例③

1. サックス組み立て時のポイント(オクターブキィの保護)
サックスは非常に繊細な楽器です。特にネックを本体に差し込む際、持ち方を誤るとオクターブキィとの連結部分が曲がり、音が鳴らなくなる原因になります。

持ち方のOK / NG
- NG(危険): ネックの先やオクターブキィの細い部分を持って差し込む。
- OK(推奨): キィの細い部分を避けて持ち、軽い力でまっすぐ下に差し込む。



ワンポイント
コルクが固くて入りにくい場合は、無理に押し込まず必ずコルクグリスを薄く塗ってください。無理な力をかけるとネックや差込口が歪んでしまいます。
2. スワブは必ず「本体用」と「ネック用」を使い分ける!
水分を拭き取るスワブは、必ず「本体用」と「ネック用」の2種類を用意し、分けてご使用ください。
なぜ分ける必要があるの?
サックスの管体は、本体からネックに向かってどんどん細くなっています。本体用の大きなスワブをネックに通してしまうと、途中で詰まって抜けなくなってしまうトラブルが非常に多く発生します。
- 本体用スワブ: 太い管体に合わせて作られているため、管の細いネックでは抜き切ることが出来ません。
- ネック用スワブ: 細いネックをスムーズに通る適切なサイズになっています。
※もし万が一スワブが詰まってしまった場合は、無理に引っ張らず、楽器店にお持ち込みください。無理に引き抜こうとすると詰まりが悪化し除去に時間がかかったり、管体の曲がりや凹み・調整の崩れに繋がることがあります。
ポイント
スワブを通す前には、必ずスワブに結び目がないか、くしゃくしゃに絡まっていないかを確認し、広げて使用する。
【本体用スワブ】

スワブの紐の先端についているおもりをベル側から入れ、管体のベル側を持ち上げてネック側からおもりが落ちてくるようにします。おもりが出てきたら紐をゆっくりと引き抜きます。
※重要ポイント※
スワブを素早く引き抜くと、管内の水分を吸いきれなかったりトーンホールに水分が逃げてしまうので、必ずゆっくりと引き抜きましょう。
【ネック用スワブ】

コルクのついていない径の大きい方からおもりをいれ、反対側から引き抜きます。
ネックにスワブを通すときも、本体と同様にゆっくりと引き抜きます。
3. クリーニングペーパーは「毎回の使用」&「キィを開けた状態で抜く」が鉄則
演奏後のタンポ(パット)の水分除去には、クリーニングペーパーを毎回必ずご使用ください。
正しいクリーニングペーパーの使い方
- タンポとトーンホールの間にクリーニングペーパーを挟みます。

- キィをパタパタと開閉し、水分をペーパーに吸い込ませます。

- 【重要】必ずキィを開けて(タンポを浮かせて)からペーパーを抜き取ります。
なぜ閉じたまま抜いてはいけないの?
キィを閉じた(タンポが密着した)状態でペーパーを引っ張ると、タンポの表面(革)が傷む原因になります。タンポの寿命を縮めてしまうため、挟むとき・抜くときは「必ずキィを開けた状態」で行いましょ
常に閉じているタンポ水分が溜まりやすい!
クローズドキィ(画像の赤い丸の箇所)と呼ばれる、常に閉じているタンポは湿度の高い状態になりやすい箇所です。キィを押さないと開かない場所で見落とされがちなタンポです。演奏後に、開いてないタンポも必ずクリーニングペーパーを使用して水分を除去し、タンポの劣化を早めないよう注意が必要です。



お手入れをしていても違和感を感じたら?
日頃から正しくお手入れをしていても、定期的な調整や消耗品の交換は必要です。
- 「最近、出にくくなった音がある」
- 「スワブが詰まってしまった」
- 「キィからカチカチと音がする」
このような時は、お気軽に島村楽器までご相談ください。