【バイオリンインストラクター西尾のブログ】『バイオリン名曲紹介vol.6 『四季』より「冬」第2楽章ラルゴ/A.ビバルディ』

2023年02月03日

CONTENTSバイオリン名曲紹介vol.6バイオリンサロンのご案内バイオリン名曲紹介vol.6 こんにちは!バイオリンインストラクターの西尾です。 「名曲紹介」では、「多分有名なはず」「バイオリンを演奏するならこれは知っておいてほしい!」という曲を、独断と偏見と経験と知識による解説を交えつつご紹介 […]

バイオリン名曲紹介vol.6

こんにちは!
バイオリンインストラクターの西尾です。

「名曲紹介」では、「多分有名なはず」「バイオリンを演奏するならこれは知っておいてほしい!」という曲を、独断と偏見と経験と知識による解説を交えつつご紹介してまいります。

『四季』より「冬」第2楽章 ラルゴ

vol.6では、ビバルディの名コンチェルト『四季』から、メロディの優しい美しさが際立つ「冬」の2楽章をご紹介します。

以前の冬に『ロマサガ3』の「ポドールイ」の動画をアップした時に、「いつかまた冬の曲として、ビバルディの冬とバッハのアンダンテも紹介したいな」と思っていました。この曲に関しては私が紹介するまでもなく、素晴らしい演奏がたくさん上がっていますね。誰もが認める名曲です。

ビバルディのト書きを見ると、この曲のイメージは「家の中は暖炉で暖かく、家の外には恵みの雨が降っている」ということだそうです。バイオリンのテュッティ(※1)がpizz.の16分音符で伴奏を飾っているので、ポドールイと同じく「家の中は暖炉で暖かいが、家の外は雪がしんしんと降り積もる」という感じなのだと思っていました。いずれにしても、冬というコンチェルトの中にあって、他の1、3楽章が「寒すぎてカチカチ歯が鳴る」とか「氷の上で滑ってころぶ」など冬の厳しさを表現しているのに対して、寒い冬だからこその暖かさ優しさが感じられる曲ですね。
この動画もまたpizz.の部分は自分の演奏を重ねているのですが、ちょっと硬めの弦を使っていたのでE線が綺麗に鳴らず苦労しました。pizz.がメインの曲をやる時には弦の種類も考えるといいかもしれません…(笑)

むかし習った時には、普通にモダン奏法で教わったのですが、せっかくなのでバロック(※2)ふうに演奏してみました。vib.は細かく短くあまり使わず、弓は軽く速く、でもメロディが流れるように、というのはゆっくりした曲だとなかなか難しい。今演奏されるラルゴと比べると、バロックボウを使っていた頃はテンポが速めだったのかもしれませんね。
トリルを入れたり上昇音階を入れたり、装飾を増やすのはとても楽しかったです。

※1)テュッティ(Tutti/イタリア語):ソロ(Solo/イタリア語:独奏のこと)に対し、全体で演奏すること。冬においてはソロは一人なので、それ以外の弦楽オーケストラ全員を指します。
※2)バロック(Baroque/英語):17、18世紀ころの音楽様式。細かい特徴や概要は難しいので省きますが(笑)、バイオリンにおいては現代のものと形自体がだいぶ違います。バイオリンは指板が短かったり肩当てや顎当てをつけなかったり、弓は反りが今とは逆で狩猟用の弓のような真ん中が膨らんだ形をしていて張力が弱めでした。
それらの特徴から、演奏は弓速が速かったり、圧力をかけ続けることがなかったり、楽器が揺れるvib.をかけなかったり、全体的な発音は軽やかでストイックな印象になります。vib.が勝手にかかってしまうという方、vib.コントロールを磨くのにバロック奏法はおすすめです(笑)
また、後日廃れていく風習ではありますが、(とくにリピート時に)楽譜にない音を増やして演奏者が自分の力をアピールするような演奏もされていたようです。やってみるとなかなか楽しいですね!

余談ですが、むかし某「みんなの○た」で流れていたのが私にとっての第一印象です。そのくらい、クラシックを好んで聴かない日本人にも浸透している曲なのかなと思いますが、いかがですか?



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