みなさんこんにちは!ダイナシティ小田原店の宮本です。今回の「逸深巡礼」は、いつもとは趣向を変えて特別番外編をお届けします! 先日、日本を代表するクラシックギター・アコースティックギター製作家である【小林一三(こばやし いちぞう)】さんの工房をお邪魔してきました。今回はその時の様子を、宮本がレポートい […]

「逸深巡礼」番外編:小林一三工房 訪問記

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公開:2026年07月15日

更新:2026年07月16日

みなさんこんにちは!ダイナシティ小田原店の宮本です。
今回の「逸深巡礼」は、いつもとは趣向を変えて特別番外編をお届けします!

先日、日本を代表するクラシックギター・アコースティックギター製作家である【小林一三(こばやし いちぞう)】さんの工房をお邪魔してきました。今回はその時の様子を、宮本がレポートいたします!

今回は横浜ビブレ店の平野さんとともに、特別なオーダー品を注文すべく現地へ向かいました。

昨今のギターは大規模な工場で作られることが大半です。そのため、個人製作家さんの工房を直接覗かせていただくのは本当に貴重な機会。人生初のギター工房訪問ということもあり、向かう道中からワクワクが止まりませんでした!

住宅街に溶け込む、「秘密基地」へ

工房があるのは、東京都町田市の某所。実は町田、私の学生時代の思い出が詰まった場所でもあります。そんな懐かしさに浸りつつ、到着したのはごく普通の一軒家。

「ここ……?」と思わず疑ってしまうほど外観は完全に「普通の住宅」。

まさに「見事なカモフラージュ」が施された秘密基地のようです。
家の中から一三さんが現れ、工房の中に案内してくれました。

溢れる職人の熱量と、こだわりの工具たち

こぢんまりとした温かみのある空間に一歩足を踏み入れると、木のいい香りとともに、さっそく製作途中のネックやボディたちが目に飛び込んできました。

部屋の中には、長年使い込まれてきた道具や木材のストック、ビルド途中のギターたちが所狭しと並んでいます。個人的にも、一三さんが愛用されている様々な形をした職人の工具たちに、思わず目が釘付けになってしまいました。

長年製作をしてきた作業台

そうして工房の空気に浸っていると、いよいよ一三さんが作業台に木材を運び、本日のメインイベントである「木材選定」がスタートしました!

衝撃のタップトーンと、あり得ない「木の音」

まずは、最近仕入れたばかりというトップ材(表板)のシダーを次々とチェックしていきます。

「これはいいね!」「これも素晴らしいね!」

と、終始笑顔で誰よりも一番楽しそうに目を輝かせていたのは一三さんご本人でした。モノづくり、そしてギターが大好きな方なのだと、一瞬で伝わってきます。

一三さんはずらりと並んだ材を見ながら、一瞬で節(ふし)がある場所などを見抜き、白い鉛筆で次々と丸を付けていきます。
「この感じだと、削っていくと杢(もく)が変わってしまうかもしれないね」
作家であると同時に、まさに木を知り尽くした「木材博士」です。

そして、早くもこの日最大の衝撃が訪れます。
一三さんが材をコンコンとノックするように指先で叩いた瞬間、

「カンカン!」

と、まるで金属を叩いたような、極めて高音でクリアな響きが部屋中に鳴り響いたのです……!(これを文字でしかお伝えできないのが本当に悔しいです!)
目を閉じたら、誰も「木を叩いている」とは信じられない音。思わず「うわ、すごっ!」と心の声が漏れてしまいました。

シダーに続き、さらに別のトップ材であるスプルース、そしてサイド&バック材(側・裏板)となるローズウッドの選定へと移ります。

手作業から生まれる芸術は、目だけではなく香りでも感じられます。一三さんが杢目を確認するために鉋(かんな)を入れた瞬間、部屋中に漂っていた芳醇な木の香りが一気に濃密に広がります。


同時にふわっと浮かび上がる、均一で美しい杢目。しかし一三さんは何度も「これは別に大したものではないよ、もっとすごい材があるから」と、お茶目にお話ししてくださいました。

今回セレクトしたジャーマンスプルースとインディアンローズウッド

カレンダーの裏から生まれる?究極のフリーハンド設計

気になるボディシェイプですが、我が小田原店のオーダー品は「OOO(トリプルオー)」で進めることに決定しました!まずはカッタウェイ(ボディの肩の切り込み)の形状を決めます。

一三さんが取り出したのは、なんとカレンダーの裏紙
もともとある木型をその裏紙にあててなぞり、カッタウェイの線を引いていきます。
「製図用紙はもったいなくて使えないからね」と笑う一三さん。この飾らないお人柄もまた魅力です。

さらに驚いたのは、その後に一三さんがすっと差し出してきた「手描きで切られた厚紙」でした。


「フリーハンドで自由に描いていいよ。」材が耐えられる構造なら、どんな形にでもできるそうです。
作家の長年の経験と圧倒的な技術の裏付けがあるからこそ言える、驚くべき一言。一三さんの手にかかれば、どんな理想のシェイプも現実のものになります。

「自然なシェイプの美しさは残したまま、ほんの少しだけ深くカットを入れられませんか……?」
そんなちょっとした我がまま(笑)をお願いしたところ、一三さんは快諾!全体のバランスを崩すことなく、ハイポジションの演奏性を高めた「絶妙に深い極上カッタウェイ」の形状がその場で決定しました!

カッタウェイの形状を決定した後は、サウンドホールの周りを飾る「口輪」のデザイン、そして全体のドレスアップの打ち合わせへ。

ギターの “顔” となる最も大切な部分なだけに、ここでも優柔不断モードに突入……。いろいろなデザインを並べて散々頭を悩ませましたが、最終的にはシンプルながらも美しく目を惹くアバロンをあしらうことに決めました!

そして、今回のカスタムオーダーの極めつけがこちら。
なんと、超希少材であるハカランダを贅沢にも、
「ヘッドの裏面(化粧板)」と 「ウッド・ピックガード」の2箇所にカスタマイズパーツとして使用していただくことに決定しました……!!

上品な顔立ちになりそうな予感で、完成がとても待ち遠しいですね。

工房を訪問して

全ての仕様が決まり、選び抜いた最高の材たち、そして一三さんと一緒に記念の写真撮影をパシャリ。これからこの素晴らしい材たちが、一三さんの手によって一本の楽器へと命を吹き込まれていくのだと思うと、胸が高鳴ります。

今回の訪問を終えて、後になって改めて驚いたことがあります。
それは、「工房内に大きな機械がほとんど見当たらなかったこと」です。

一三さんが、いかに自身の「手」とその五感だけで一本のギターを形作っているか。
その圧倒的な技術の凄みと木への愛情を、肌でビシビシと感じる最高の訪問となりました。

今回オーダーした「OOO」モデルの進捗については、今後も発信していきます!
完成をぜひ楽しみにお待ちください!

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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