<体験レポート>
細いストロー状のところから息を吹き込む様子が印象的なオーボエ。管楽器未経験の私にとって、間近で見たり聴いたことが今までなかったため、以前から気になっていた楽器でした。
実物を手にとって感じたことは、本体(木製)が意外に重厚であることと、息を吹き込む部分 ―『リード』―の細さが特徴的なことでした。「エエッ…、こんな細いところに息を通すの?」というのが第一印象。蟻が一匹通れるか通れないかの隙間です。初めての楽器にいざトライ。
組立前 リード
全体像
「あれ?鳴らない!」
練習開始から10数分。リコーダーの要領で吹くも、虚しく響く「スカ~ッッ」という音。「卵を含みつつ、それでいて口元は巾着を絞るように」というアドバイスから、「よ~し、それならば!」と言わんばかりに、今度はたくさん息を吸い、顔中の筋肉を駆使して吹いてみました。カロリーをたくさん消費している割にちっとも鳴りません。理由が分からず、頭の中が「?」で一杯です。(あとから分かったことですが、必死になって吹くことはかえって逆効果で、また肺活量の強さもさほど関係しないのだそうです。)
「あ、鳴った!」その1
講師アドバイスを参考に「吹こう!吹こう!」という気持ちを抑えました。具体的には吸った息を一気に吐き出さず、細く長く小出しにする感覚に変えたのです。微量でも細い部分に集中させようとする意識により、無駄な力を大幅にカットすることができました。駅の改札でも、一度に人がどっと押し寄せたら通れないことと同じです。私の場合は「省エネしよう」という気持ちでちょうど良かったようです。たったこれだけで鳴るようになりました。
「あ、鳴った!」その2
「巾着」という言葉を聞いた当初は、口を閉じる力が相当必要なのではと思っていましたが、「ゆるやかでソフトに縛った巾着」を思い描き、リードを包み込む―“ホールド”する―のが正しい奏法でした。ギュッと閉じる口元は、リードを潰してしまう(隙間を狭めてしまう)ことにつながり適切ではありません。角度を調節しているうち息が通りやすいポイントにあたり、そのポイントをキープすると音色に安定感が出てきました。写真は講師のお手本です。楽器の角度と口元の様子を参考になさってください。
構え 口元
「気をつけないと」
構える際、左手人差し指付近にある、無意識のうちに触れてしまうレバーには注意が必要です。『オクターブキー』と呼ばれるレバーで、本来は1オクターブ上げるためのものです。私の場合、音がかすれる等、正規の音が出ない時はほぼこれが原因だったようです。気付くまで1ヶ月かかりました。写真でお分かりいただけますか?
これです
上記の通り心掛けることで、管楽器が未経験の私でも、きれいに音を出すことが出来ました。オーボエの音色は明瞭で、遠くまで良く聞こえそうです。オーボエは、サックス・クラリネットに比べ指使いが不規則になることが多々あり、機動性はそれほどではないと言われているようですが、メロディーラインを担当する花形の楽器だそうです。オーケストラの“プリ・マドンナ”と呼ばれているのはみなさんご存知でしたか?
<もうちょっと聞きたい!>
講師へのQ&Aコーナー
Q.リードの構造をもう少し詳しく教えてください。
――――― リードは、フランス地方の川原に群生している葦(あし)を、乾燥させたのち生成します。ちょうど、竹をよりしなやかにしたような手触りで、バロック時代(17世紀~18世紀)から受け継がれてきた素材です。オーボエのリードは2枚重ね合わせた造り(ダブルリード)になっており、「ストロー笛」・「草笛」と同様、“リードの振動”が音源となります。息の圧力により、「リードが互いに当たっては戻りを繰り返す」原理です。また、 リードの咥え方を変えると(浅く・深く)音程が変わることで知られ、メロディーに微妙なニュアンスを加えられるという魅力があります。
リード
Q.誰でも気軽に始められるのでしょうか?(お子様から大人の方・音楽が始めての方まで)
――――― 始められます。ただし、オーボエの場合穴と穴の間隔が比較的広いため、手の小さいお子様には少々難点があるかもしれませんが、基本はどなたでも始めることができます。(目安としては中学生くらいと言われています)。主旋律を担当する楽器のため、楽譜そのものも見やすいです。『HINKE』という教則本(ピアノでいう「バイエル」に相当)を使用してレッスンが進んでいきます。
Q.他の管楽器の経験がある人は、オーボエに応用できますか?
――――― 応用できます。息の吹き込み方はどの管楽器においても基本は同じです。むしろ初めての方よりも、経験のある方のほうが要領を得るのが早いでしょう。ただし、リコーダー・クラリネット・サックスと比べ、息を小出しにすることが大きく異なる点です。キーもそのほかの楽器とは異なります。
Q.上級者の方はリードを自作すると聞いたことがありますが?
――――― 上級の方を中心に、葦材それ自体 または半完成品のリードを入手し、自分に合ったリードを作ることがあります。演奏時の気候(気温・湿度)に適した厚さ・長さに調節していく様子は、「職人」という言葉がピッタリです。初めての方は、市販されている完成品のリードで十分間に合いますのでご心配なく。上級の方へのアドバイス(加工の仕方について)もございます。写真左のナイフで加工していきます。
リードも様々
Q.オーボエの代表曲にはどのようなものがありますか?
――――― 次のような曲が有名です。
『白鳥の湖』…チャイコフスキー作曲
オーボエがソロで主旋律を吹くのは、「情景」(第2幕の第10曲、第14曲)で、本作品を代表する曲です。白鳥の湖と言えば、皆さんご存知の“あのメロディー”で有名です。
『オーボエ協奏曲』…モーツァルト作曲
オーボエ協奏曲の中でも特に有名で、オーケストラの入団試験の際に必ずと言っていいほど演奏させられる楽曲です。『のだめカンタービレ』をご存知の方は、“黒木くんが演奏する曲”でお分かりいただけるでしょうか。
『ヴァイオリン協奏曲(第2楽章)』… ブラームス作曲
第2楽章では管楽器による合奏で始まり、オーボエが主題を奏でる曲です。ここで聴衆を魅了するのは何と言ってもオーボエで、ヴァイオリンは脇役にまわります。
『風笛』…大嶋ミチル 作曲
1999年 NHK連続テレビ小説『あすか』より、主題歌。オーボエを主体としたオープニング曲で、世界的なオーボエ奏者で知られる宮本文昭氏が担当したことでも知られます。会員様の中でも、現在この曲でレッスンを受けられている方もいらっしゃいます。
オーボエ教室
コース | 個人レッスン(1回30分) |
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料金・内容 | 詳細はこちら |
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店舗名 | 島村楽器ミュージックサロンラゾーナ川崎店 |
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電話番号 | 044-520-8148 |
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