【講師コラム】博多ジャズサックス道場 音楽理論(コード進行)編⑤

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2019年06月16日

みなさんこんにちは!島村楽器ジャズサックス講師の[https://www.shimamura.co.jp/shop/hakata/koushi/20181110/2566::title=宮本道隆]です! 島村楽器ジャズサックス講師宮本が、自身の独断と偏見に基づいて、ジャズやサックスのちょっとしたこと […]

みなさんこんにちは!島村楽器ジャズサックス講師の宮本道隆です!

島村楽器ジャズサックス講師宮本が、自身の独断と偏見に基づいて、ジャズやサックスのちょっとしたことを徒然なるままに綴るコラム「博多ジャズサックス道場」!
今回は前回のⅡ-Ⅴの応用編、セカンダリードミナント(Secondary Dominant)についてです!Ⅱ-Ⅴの理屈は前回でご案内の通りですが、実はここからがジャズのアドリブをする上での本丸なのです!

セカンダリードミナントとは?

そもそもセカンダリードミナントとは、という話の前に、皆さんこんな楽譜を見たことありませんか?

お気付きの方もいるかもしれません。ジャズスタンダード「Fly me to the moon」の一節です。この中で赤い○をしているコードに注目。ここでⅤ7以外のセブンスのコードが出てきていますね。先に結論を言ってしまうと、これがセカンダリードミナントです!
これってなんだ?アドリブの時にどう処理すればいいんだ?と思っている方も多いと思います。実際、セッションに行くと目にしますが、アドリブを学びたての方は大多数がこれに対応できずに演奏しています。
セカンダリードミナントを言葉で解説すると、次に来るコードを仮のトニックと見立てて、それに対してドミナントモーションをするコードのこと、となります。もう少し詳細に見てみましょう。

セカンダリードミナントの実践例

Fly me to the moonの5小節目のFM7をトニック、もう少し正確に言えばⅠM7であると仮定します(譜例内の青い○)。これに対するⅤ7はC7となります。こうすることで、ドミナントモーションの基本的なコンセプトである緊張と解決、即ち流暢な和音の連結が実現します。
その好例がまさにその後にあります。8小節目のA7です。これは9小節目に来るDm7に対するドミナントになるわけですが、メロディーに着目すると、通常Cがダイアトニックトーンである音に、#の臨時記号が付きC#になっています。A7の構成音が下からA,C#,E,Gであり、これに対応してメロディーも変化したわけです。これによって先に紹介した音重力(コード進行編③にリンク)が発生し、次のメロディーのDにキレイに移行できるわけです。

また、これが非常に重要なことなのですが、セカンダリードミナントはノンダイアトニックコード(原調の音階に含まれない音を用いて構成されている和音)である、という点です!誤解を恐れずに言ってしまえば、部分的に転調している、と言うと分かり易いかもしれません。このノンダイアトニックな響きが、楽曲の中でハッとする彩りを与えてくれます。これをきちんと表現できるか=コード進行に対してコレクティブに演奏できているかが、適切なメリディーメイク、アドリブの内容の質を左右します。

ジャズ以外でも大活躍のワザ

セカンダリードミナントはジャズに限らずポップスなどでも多用されるワザです。非常に露骨に使っている代表例がカーペンターズです。

I need to be in love(邦題:青春の輝き)の4小節目がまさにセカンダリードミナントであり、5小節目のDをトニックと見立てたⅤ7を構築しており、メロディーもそのコードの変化に合わせて臨時記号が付いています。このことから、コード進行を意識してメロディーメイクをしていたことが伺えますね。
このように、往年の名曲は言わずもがな、比較的単純なコード進行しか使われていない西野カナの楽曲でさえ、曲中で一度は出てきます。一見すると単調な曲でも、このセカンダリードミナントを隠し味のように織り交ぜることで、音楽は複雑な味わいを持つのです。
その曲のキーにおけるⅤ7以外のセブンスコードが出てきたら要注意です!!

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コード進行の理論のやや応用でした。ダイアトニックだけで音楽を構成してしまうと、ややもすれば退屈な音楽になってしまいます。グッと来る、ドラマチックな曲には、絶対と言っていいほど使用される技術です。Ⅱ-Ⅴの理論を応用したこのセカンダリードミナントを乗りこなせれば、ジャズ初心者を脱して中級者と言っていいでしょう!

キーワード:ドミナントモーション、音重力、ノンダイアトニックコード

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