フリースタイルピアニスト・けいちゃんに直撃!ピアノのオススメ練習法と新曲『シンフォニア』の制作の裏側に迫る

自身のYouTubeチャンネルで公開しているストリートピアノの動画が話題のフリースタイルピアニスト・けいちゃん。6月2日配信の最新曲『シンフォニア』は、映画『美男ペコパンと悪魔』の主題歌として書き下ろされた。本作の制作秘話やクラシック音楽の魅力、これからピアノを始める人に向けてのアドバイスなどを聞いた。

けいちゃん
耳コピや立奏、マッシュアップ、即興演奏を得意とする注目のフリースタイルピアニスト。高校の修学旅行でロンドンを訪れたとき、ストリートピアノに出会いその魅力に気付く。音楽大学に進学後は、ジャンルの垣根を越えた演奏スタイルを進化させ、2019年から本格的に音楽活動を開始。YouTubeにストリートピアノの演奏動画を投稿し、フォロワー数107万人、総視聴回数3億880万回を数えるなど、抜群の人気を誇っている。2021年6月、アルバム『殻落箱』でCDデビュー。2022年12月には全曲インストゥルメンタルナンバーによるセカンドアルバム『聴十戯画』をリリース。朝の情報番組 『THE TIME,』(TBS系)にレギュラー出演中。

映像を見ながら復習するうちに上達

――まずは、けいちゃんさんとピアノとの出会いを聞かせてください。

けいちゃん 3歳のときに、よく子ども用のおもちゃのピアノを弾いて遊んでいたんですね。そしたら母親がピアノ教室に通わせてくれて、小学校3年生になった頃にはコンクールに出場するようになっていました。

――練習が嫌でピアノを辞めたくなったりしませんでしたか?

けいちゃん やらなくていいのならば練習したくなかったです(笑)。でも、上手くなるためには当たり前だけど練習するしかないんですよね。

――上達するために、どんな練習をしていたんですか?

けいちゃん 母親が音楽教室でレッスン風景をビデオカメラで毎回録画してくれていたので、家に帰ってからその映像を見ながら復習していました。それで次のレッスンまでに自主練習を重ねて。すると、知らないうちに上達して、ピアノを弾くのが楽しいと思えてくるんです。当時、レッスン風景を録画してくれていた母親には感謝ですね。

――なるほど、レッスン風景を映像に残すのは良い方法ですね!

けいちゃん 今でいうオンライン授業みたいな感じになるので、オススメです(笑)。

――ピアニストになりたいと思ったきっかけは?

けいちゃん コンクールで入賞を経験したあたりから徐々に意識していった記憶があります。高校卒業後は音楽大学へ進学しましたし、長年プロのピアニストが弾くクラシック音楽の演奏をCDで聴いていたので、自然とピアニストへの憧れが募っていったんじゃないかなと思います。

――クラシック音楽を聴き始めたのはいつ頃?

けいちゃん 練習以外で聴き始めたのは小学校1、2年生ぐらいからですね。そこから高校生ぐらいまではJ-POPも洋楽も聴かずにクラシック音楽だけを聴いていました。

――クラシック音楽の魅力をどんなところに感じますか?

けいちゃん 大学生になってからは色々なジャンルの音楽を聴くようになりましたが、遺伝子レベルで落ち着くのはやっぱりクラシック音楽なんです(笑)。たとえピアノだけの曲だったとしても、すごく緻密な音で構築されているので奥が深いというか。そういった細部へのこだわりが心に染みますし、単純にクラシック音楽は弾いていて気持ちがいいですね。

誰とでも仲良くなれるのがストリートピアノの魅力

――今やYouTubeのチャンネル登録者数が100万人を超えるほど大人気ですが、最初にYouTubeを始めようと思ったきっかけを教えていただけますか。

けいちゃん 大学生の頃、「ピアニストとして食べていくためには、自らプロデュースをして、SNSで発信していかなければ」と思い始めたときに、たまたまYouTubeでストリートピアノを弾いている人の動画を見つけて、「これだ!」と思ったんです。それで、自分もYouTubeのチャンネルは持っていたので、都庁にあるストリートピアノを弾く動画の投稿を始めたら、3本目の『残酷な天使のテーゼ』を弾いた動画がバズりまして。それ以来どんどん登録者数が増えていきましたね。できるだけ自分も、人気の曲や、その時代に合った楽曲を選んで演奏するようにしています。コメントでも「けいちゃんの動画見て、ピアノを始めた」って方も最近多くて、うれしいなって思いますね。

【都庁ピアノ】「残酷な天使のテーゼ」を弾いたら大歓声が起きた

――これまでストリートピアノを通して様々な人たちと出会ってきたと思いますが、印象に残っている出来事はありますか?

けいちゃん お団子屋さんの方とコラボしたことがあって、それが印象に残ってますね。その方はピアノを全く弾けなかったのですが、「黒い鍵盤を押すだけでいいので一緒に弾きませんか?」とお願いしてセッションさせてもらったら大成功して! 動画の公開後はお団子がめちゃくちゃ売れたらしくて良かったなと思いました(笑)。

【奇跡】街のお団子屋さんが衝撃のピアノを披露しました【ストリートピアノ】

 ――素敵なエピソードですね! 経験者じゃなくてもピアノは弾ける。

けいちゃん そうです。音楽を通じて誰とでも仲良くなれるのがストリートピアノの魅力ですし、ぜひ街中でピアノを見つけたら勇気を出して弾いてみてください。もし弾くのが怖かったら、けいちゃんを呼んでください。連弾しましょう(笑)。

――動画ではピアノだけでなく、KORGのKRONOSというオールインワンシンセを弾いてらっしゃいましたが、使い心地はいかがですか?

「正しくなれない」を弾いたらスコップを持った男に襲撃されました…【ずっと真夜中でいいのに。】

けいちゃん 重量があるので、立奏しているときにジャンプしても大丈夫なところが気に入っています。軽すぎるとシンセが倒れる危険がありますが、KRONOSは常に安定しているのでライブでも安心なんです。あと、鍵盤のタッチ感も好きですし、音色の種類が多くて自分好みの音に細かく調整できるので使いやすいです。

――作曲する際にもKRONOSを使用していますか?

けいちゃん いまはDTM(デスクトップミュージック)で作業していますが、昔はKRONOSで打ち込みしながら作曲していました。自分の好きな音色のセットリストを作れたり、ほかにも機能はたくさんあって、僕もまだ全部を使いこなせていませんが(笑)、KRONOSのオールインワンシンセは初心者の方でも買って損はない楽器だと思います。

“悪魔”というワードは絶対に必要だった

――さて、最新曲『シンフォニア』は、ヴィクトル=マリー・ユーゴーの小説を実写化した映画『美男ペコパンと悪魔』のために書き下ろした曲だそうですね。

けいちゃん 映画のプロデューサーさんから「疾走感のある曲にして欲しい」というリクエストをいただいたので、映画の世界観を大事にしながら、疾走感のあるテンポやメロディを意識して作っていきました。歌詞に関してはあまり直接的な表現を使わずに、一つひとつの言葉の意味を考えるとメッセージが伝わるように書きました。ただ、“悪魔”というワードはこの曲には絶対に必要だと思ったので、Bメロの歌詞に「踊れや悪魔」を入れています。

――メロディはどんなところにこだわりましたか?

けいちゃん 一度聴いただけで口ずさめるような、キャッチーなメロディにこだわりました。あと、バッハの『シンフォニア』という3つの声部からなる曲の旋律を散りばめたので、そこはぜひ注目して聴いていただきたいですね。

――タイトルとリンクさせた素敵なこだわりですね。

けいちゃん ありがとうございます。タイトルを考えていたときに、“主人公とヒロインがいる世界”、“(劇中で主人公とヒロインが読んでいる)小説の世界”、そして“映画を観る我々がいる現実世界”の3つが交錯する物語を連想させるものがいいなと思って、それで“3=バッハの『シンフォニア』”がぴったりだったのでリンクさせてみました。

――レコーディングはいかがでしたか?

けいちゃん 技術的な部分でなかなか上手くいかなくて、「クソ! クソ!」って叫びながらレコーディングしていました(笑)。

――そうだったんですね(笑)。

けいちゃん もともとレコーディングにすごく時間を掛けるタイプで、ピアノのときも納得がいくまで何テイクもトライしてしまうんです。音楽って正解がないので、自分のなかで「さすがにここまでやれば大丈夫か」と思えるまでは止められなくて。そんな感じで『シンフォニア』を何度も歌いましたが、結果的にすごく楽しかったので、また歌ありの曲も作ろうと思っています。

――今作を含め、普段はどのように曲作りされていますか?

けいちゃん “曲作りをする日”と決めて作業するときもあれば、たまにふっとメロディが降りてくるときもあるので、いつでもどこでも録音するようにしています。歌詞に関しても普段からいい言葉が浮かんだらメモを取っていて、本格的な曲作りの作業を始めるときに、そうやってストックしていたメロディや言葉の断片からイメージを膨らますことが多いですね。

――好きな映画や本などが歌詞に影響を与えることもありますか?

けいちゃん 映画や本というよりは、商品の広告に載っているキャッチコピーから影響を受けることが多いです。短い言葉のなかに大事なメッセージが凝縮されているキャッチコピーはとても勉強になるんですよね。なので広告はチェックするようにしています。

――メロディはどんなときに浮かびますか?

けいちゃん いちばん多いのは、寝る直前のリラックスしている時間。そろそろ入眠するぞってときにいいメロディが浮かぶので、すぐに起きて録音するようにしていて。ただその後、目が冴えちゃうのが悩みです(笑)。

――では最後に、これから楽器を始めたいと思っている方に向けてメッセージをお願いします。

けいちゃん まずはどんな楽器でもいいのでチャレンジして欲しいです。特にピアノは鍵盤を押せば音が出ますし、弾けるとモテるので全力でおすすめします(笑)。楽器を始めると同時に素晴らしい出会いが待っているはずなので、ぜひトライしてみてください!

ニューデジタルシングル『シンフォニア』配信中

『美男ペコパンと悪魔』全国順次公開中 http://is-field.com/pecopin/index.html

(配給:アイエス・フィールド)©︎2023映画「美男ペコパンと悪魔」製作委員会(ヴィクトル=マリー・ユーゴー著)

主題歌『シンフォニア』が流れる映画の予告編はコチラ!

けいちゃん ピアノリサイタル『Rubato Circus』ソールドアウトに付き、ライブ配信緊急決定!

●視聴チケット価格:¥3,500 (税込)

●視聴チケット販売期間:5/20(土)10:00 ~ 6/20(火)15:00

●視聴可能期間:6/14(水)19:00配信開始 ~ 6/20(火)19:00アーカイブ終了

●e+視聴チケット販売用URL:https://eplus.jp/keichan/st/

※本公演の配信は生配信ではございません。

撮影/市川唯人

取材・構成/ビッグ・バン・センチュリー

ヘアメイク/伊藤里香

この記事を書いた人

奥村 百恵

音楽雑誌・映画雑誌の編集者を経て、現在はフリーのライターとして、国内外の俳優・アーティストのインタビュー記事やライブレポートなどを担当。愛犬と音楽とホラー映画とレモンサワーがあれば生きていける!