手先のお手入れで演奏は変わる! 楽器奏者のためのセルフハンドケアHow to講座

楽器を演奏する皆さんに、ぜひ意識してもらいたいのが手先のケア!

爪が欠けたり手指が荒れたり乾燥していると、ガサつくのが気になったり痛みが出てしまい心地よく演奏できません。発表の場では手元がきれいだと演奏も美しく見えますし、ベストな状態で演奏や練習をすることができます。

そこで、ネイルケアのプロに手先のケア方法を教えてもらいました!

教えてくれるのはこの方

Tomokoさん(ネイリスト)
ネイリスト歴18年。日本のサロンで資格を取得したのち、イギリスへ渡って自身のサロンを立ち上げる。現在は帰国し、楽器演奏者・アスリート・抗がん剤治療中の方・調理従事者・医療従事者のためのプライベート・ネイルケア・爪の専門店「Tomoko Beauty」を経営。ピアノ歴16年の音楽経験を生かし、ピアニストや、バイオリニスト、ギタリスト、琴奏者など様々な音楽奏者の悩みに寄り添ったネイルケアを行っている。

楽器の演奏に手先のケアは欠かせない!

様々な楽器奏者の爪をお手入れしてきたネイルケアのプロに、手先をケアすることで演奏にどんなメリットがあるのか教えてもらいました。

――手先をケアすることで、演奏にどんないいことがあるのでしょうか?

  1. その1:演奏中の手先を美しく魅せられる
  2. その2:指のガサつきやひび割れがなくなる
  3. その3:爪のトラブルがなくなり、楽器がスムーズに弾ける
  4. その4:爪のケアで、演奏中の手首の痛みを軽減できる
Tomokoさん

特に、楽器奏者は手元を見られるのできれいにしておきたいと思う人が多いです。爪は短くても形を整えることで美しく、そして長く見せることができます。

――爪にトラブルが起こると、演奏にどんな影響が出ますか?

Tomokoさん

爪が欠けたり深爪になったりすると、ヴァイオリンの弦やフルートのキィなどが上手く押さえられなくなります。健康な爪があることで指先にしっかりと力が入り、演奏にも集中できるんです。

――手首が痛くなる原因として爪が影響している場合があるというのは本当ですか?

Tomokoさん

爪のトラブルをかばおうとすると、正しい押さえ方ではなくなってしまい、知らぬ間に手首にも負荷がかかってしまうんです。さらには、ひじ、肩、腰などに影響が出てくることもあります。

――そういったトラブルが起こる前に、日頃からケアすることが大切ですね。ハンドケアは何をしたらよいでしょう?

Tomokoさん

どの楽器を演奏する際も「保湿、爪のケア、マッサージ」が基本です。「保湿」の方法は、毎晩寝る前や乾燥が気になるときにハンドクリームを塗ることです。「爪のケア」は、2週間に1回爪を整えます。「マッサージ」は、毎晩行うのがおすすめです。

ということで、具体的なネイルケア&ハンドマッサージの方法を教えてもらいました。

ネイル&ハンドケアで使うアイテムはこちら!

――まずは、ケアで使うアイテムを教えてください。

(奥:左から)キューティクルリムーバー、ネイルオイル、トップコート、ハンドオイル(手前:左から)ネイルプッシャー、ファイル各種
Tomokoさん

この中で必須アイテムが、ファイル(やすり)、甘皮処理用のキューティクルリムーバー、甘皮処理用のネイルプッシャー、ネイルオイル、ハンドオイルです。100円均一でも売っているものばかりなので、自宅で手軽にケアできますよ。

――爪切りは使わないのですか?

Tomokoさん

爪切りは爪が欠けたり、切り口がきれいに揃わなかったりするので、ファイルを使うのがおすすめです。自分でも簡単に削れますよ。

――ファイルはいろいろありますが、どれを使ったらよいですか?

Tomokoさん

ファイルには数字が入っているので、爪をどのくらい整えるかで粗さを選びましょう。基本は240で、それより数字が大きいものは目が細かく、小さいものは目が粗くなっています。少し長さを整えるなど細かくケアしたいときは数字が大きいもの、しっかり削るときは数字が小さいものを使ってください。また、表面のツヤを出したい人は、目の細かいスポンジを使ってください。

2週間に1回の爪のお手入れ!ネイルケアHow To

それでは、爪のケア方法をご紹介します!

爪をファイルで整える

ファイルを持ち、面が外側に向くように斜め45度に傾けたら、爪の内側に沿わせます。そのまま一定方向にスライドさせて削っていきます。

一気に短くしたいときは左右に細かくスライドさせて削っても大丈夫ですが、最後は切り口を整えるために、必ず一定方向にスライドさせるようにしましょう。

Tomokoさん

力を入れずに軽い力で少しずつ様子を見ながら削ることがポイントです。自分が演奏しやすい長さに整えましょう。角がなくなりなめらかになると、見た目が一気に美しくなりますよ。

甘皮処理

ネイルケアに甘皮処理は欠かせません! 甘皮があると、爪の表面に縦のシワが入ってしまい、きれいな爪にならないのです。まずは、甘皮の上にキューティクルリムーバーを1滴垂らし、ネイルプッシャーで甘皮全体にのばします。

ネイルプッシャーで指の関節の方に向かって甘皮をキュッキュッと寄せていきます。

このとき、ネイルプッシャーの斜めにカットされている部分を甘皮に沿わせるようにしましょう。

Tomokoさん

甘皮処理をしたことがない人は、甘皮が爪に張り付いているので取りにくいかもしれません。根気強く、少しずつ押し出してみてください。

甘皮を押し出したら、次は拭き取ります。

コットンやティッシュなどで甘皮とリムーバーを軽く拭うだけでスルンと取れます。

オイルを塗って保湿

ネイルオイルを筆に取って、爪と指の間に塗っていきます。

塗ったら反対の手の指でさすりながら、オイルを爪と指の隙間に浸透させます。

また、爪の表面を押してあげると、爪と指の隙間全体にまんべんなくオイルが行き渡ります。これで爪のケアは完了です!

Tomokoさん

爪のケアは、爪が伸びてきたときにやるよりも、曜日を決めて毎月の定期ケアとして行うと忘れずにできますよ。また、ギターなどを演奏していて爪が割れやすい人は、補強用のトップコートを仕上げに塗るのもおすすめです。

寝る前や演奏前にできる!簡単ハンドマッサージ

ハンドマッサージは楽器の練習による手の疲れをいやしたり、演奏前にほぐすことでリラックスしてのぞむことができます。セルフでも簡単にできる方法を教えてもらいました!

ハンドオイルを塗る

まずは、ハンドオイルを3滴ほど、手のひら、手の甲全体に塗り込みます。

ゆっくり、じんわりと塗り込むイメージです。

Tomokoさん

私はリラックス効果の高いアロマオイルを使っています。自分の好きな香りのアイテムを使ってみてください。

手のひらを揉みほぐす

まずは左手をマッサージしていきます。右手で、左手の小指側から手を掴み、手のひら全体を親指で押しほぐします。

指1本1本のつけ根まで押しましょう。

Tomokoさん

親指のつけ根の「母子球」は特に凝り固まりやすいので、しっかりほぐしてあげましょう。ここが固まると手の可動域が狭まってしまいます。また、力を入れすぎず、右手に負担がかからないくらいの強さで大丈夫です。

手首と指を押しほぐす

左手の手首を右手で持ち、親指の腹全体でじわーっと圧迫します。

手を返して、指の第一、第二関節、爪を1点ずつ右手の親指で指圧していきます。これをすべての指で行ってください。

指を引っ張る

右手で、左手のすべての指を覆うように掴んで、そのまま横にスライドしながら引っ張ります。

ここまでで、左手のマッサージが完了です。右手も同じようにやってみましょう!

Tomokoさん

手はポカポカになりましたか? マッサージは時間をかけてじっくり行うことで、リラックスできます。演奏前に行う場合は、オイルが浸透する時間を考慮して、2時間前くらいまでに行うと、ベタつきが気になりませんよ。

美しい手先で演奏も気分もアップ!

手先をお手入れしていれば演奏中も爪や手のトラブルによるストレスがなく、さらに演奏自体がしなやかで美しく見えます。楽器を弾くときに自分の手がきれいだと気分も上がるはずです。ぜひ日々がんばる手先をケアしてあげましょう!

島村楽器オンラインショップのおすすめハンドケアアイテム

ARIA ネイルキット

ANK-100/2,640円/ARIA
弦楽器を演奏する人のためのネイルケアグッズ。

kaina ネイルプロテクトコート

BNK-004 爪用保護ベースコート/2,200円/kaina
爪を補強するアイテム。楽器を演奏していて爪が割れやすい人におすすめ。

FERNANDES ネイル・ファイル&ネイル・クリッパー

NF-600/660円/FERNANDES
ギターブランドが手がけるネイルファイル・クリッパー(爪切り)。

※2022年12月時点での価格
※店舗の在庫情報は「カートに入れる」ボタン下にある「店舗在庫取り置きサービス」からご確認いただけます

文・取材・構成/vivace

「本番に向けて、整える」特集について

たくさん練習をしてついに迎えるライブや発表会!本番に向けて、演奏スキル以外の準備もしてみては?大事な場面で緊張しない方法、演奏に効果がある筋トレ、ちょっとした身だしなみなど、あなたの演奏をさらに良くするヒントがきっと見つかるはず。

この記事を書いた人

vivace

ファッションやビューティーを中心に、紙媒体からウェブまでの制作を行う編集プロダクション。