「音楽のまち」ってどんなまち!?川崎市と浜松市の“2大音楽都市”を勝手に比べてみた!

10年ほど前、鳥取県の知事が「スタバはないがスナバ(砂場)はある」と発言し、話題になりました。
その発言の翌年、スタバできちゃったんですけどね(笑)。そこがまたおもしろい……。

さて、話題は自治体のPRについてです。最近は移住ブームも手伝って「〇〇のまち」というフレーズをよく見るような気がするのですが、Happy Jam編集部が気になったのはもちろん「音楽のまち」!

さっそく検索してみると、まぁすごいんですよ。何がって “自称”「音楽のまち」が多いこと多いこと。
そりゃあね、それぞれのまちに音楽的な良さがあるんでしょう。

でも、そう聞くと人は「いったい音楽のまちって何なの!?まちによって何が違うの?」と思うてしまうわけです。
調べてみると神奈川県川崎市と静岡県浜松市の「音楽のまち」に関する情報量が、どうやら群を抜いている。

それならいざ、頂上決戦!今回、どちらがより魅力的な「音楽のまち」かを、勝手に比べちゃいました!

そもそも「川崎市」と「浜松市」はどんなまち?

【川崎市】都心に近いベッドタウン

提供:川崎市

国内最大級のハロウィンイベントが行われてきた(2021年に終了が発表されたそうです。残念!)ことでも知られる川崎市。
神奈川県の中でも横浜市に次ぐ大都市で、人口は約150万人。

東京や横浜に近いため市内各地がベッドタウンとして栄えており、利便性の高さがうかがえます。

初詣に多くの参拝客が訪れる川崎大師や、臨海部の工場夜景、強豪サッカーチーム川崎フロンターレなど、市を象徴するものに事欠かないまちといった印象です。

【浜松市】浜名湖を擁するものづくりのまち

提供:浜松市 浜名湖

浜名湖、そしてうなぎのイメージが強い浜松市。
静岡県の西部に位置し、人口は約78万人。

もともとものづくりが盛んなまちで、オートバイや自動車のメーカーであるホンダ(現在の本社は東京)やスズキのほか、この後でもご紹介するヤマハ、カワイ、ローランドなど多数の楽器メーカーも浜松市に位置しています。

またお土産といえばうなぎパイが有名。近年は年間の餃子消費量で日本一に何度か輝いており、餃子のまちとしても知られています。

【川崎市】なぜ、音楽のまち?→音楽資源が超豊富だった!

提供:川崎市 ミューザ川崎シンフォニーホール©青柳聡

さて、ここからが本題です。両市が「音楽のまち」を名乗るゆえんを調べてみました!

なぜ川崎市が「音楽のまち」と名乗るようになったのか。実際に川崎市市民文化局市民文化振興室、音楽のまち推進担当の方に問い合わせて聞いてみました!

市民が愛着と誇りが持てるまちづくりとまちのイメージアップを図るため、市制80周年の2004年4月、ミューザ川崎シンフォニーホールの開設を機に「音楽のまちづくり」事業がスタートしました。

同じく2004年に開館した「ミューザ川崎シンフォニーホール」は、川崎市が「音楽のまち」を掲げるシンボルとなっているようで、特にその世界水準の音響は、多くの世界的な指揮者からも高評価を受けています。

一方で市民の晴れの舞台やその他音楽イベントの場としても親しまれており、まさに市民と音楽を結びつける空間になっていると言えそうです。

2002年に川崎市とフランチャイズ提携を交わした東京交響楽団が、地域密着で演奏活動を行っていることも大きいですね。

ほかにも、昭和音楽大学・洗足学園音楽大学の2つの音楽大学、4つの市民オーケストラ、100を超える市民合唱団、企業の吹奏楽団や合唱団など「音楽資源が豊富」であることが「音楽のまち」たる一番の理由なのかもしれません。

さらには、こんなHPを見つけました。

川崎市には、「音楽のまち・かわさき」推進協議会があって、「音楽のまち・かわさき」と題したサイトを設けているようです。川崎市内の音楽イベントやコミュニティの紹介、音楽教室や楽器店の検索まで、市民と音楽をつなげる情報が集まっているイメージです。

ミュートンというかわいいキャラクターもいて、LINEスタンプやYouTubeも配信している様子!
さすが!PRが上手いですね……!

最後に、担当の方から今後の取り組みとして……

豊かな音楽資源を背景に、音楽を中心とした芸術や市民文化の創造を通じ、活力ある地域社会の実現や新たな産業機会の創出によって新しい都市イメージを創造することを目指し、市民・事業者等・行政が協働して音楽のまちづくりに取り組んでいきたいと思います。

とのコメントをいただきました!

【浜松市】なぜ、音楽のまち?→楽器メーカーの聖地!

提供:浜松市 ピアノコンクール

先ほども少し触れましたが、ヤマハやカワイ、ローランドといった世界に名立たる楽器メーカーが立地している浜松市。

こちらも川崎市と同じく、なぜ市として「音楽のまち」を掲げたのかを、浜松市市民部創造都市・文化振興課の担当の方にお聞きしました。

浜松市は「楽器のまち」として全国的に知られていますが、文化面での発展を目指し、昭和56年から「音楽のまちづくり」を掲げました。国際的なコンクールなど質の高い事業をはじめ、音楽を通した国内外の交流事業、アクトシティ浜松や楽器博物館などの文化施設の開設、そして、市民自らが参加し、創り出す様々な文化事業など国際レベルから市民レベルに至るまで、数多くの施策を市の重要施策の一つとして、30年にわたり続けてきました。また、平成26年12月にはユネスコ創造都市ネットワークに音楽分野において、アジアで初めて加盟しました。

「音楽のまち」活動歴も1981年からと、これだけでも充分「音楽のまち」を名乗れそうなものですし、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)創造都市ネットワークの音楽分野での加盟認定は、世界では7都市目の偉業なのだそうです。

まさに世界に認められた「音楽のまち」ですね!

その他、浜松国際ピアノコンクールや世界青少年音楽祭など国際的な音楽イベントの開催も多数。

また川崎市と同様、市民が音楽にふれる機会が多いのも特徴的です。例えば、毎年4~10月の週末を中心に行われる、屋外の広場で地元学校の吹奏楽部やアマチュア楽団などが演奏する「プロムナードコンサート」は、毎回多くの観客で賑わいます。

ちなみに、現在浜松市は「音楽のまち」ではなく「音楽の都(みやこ)」と名乗っています。
おぉ、なんとなく“優雅な感じ”がしますね!

浜松市の担当の方からは、今後の取り組みについて……

令和2年3月に策定した「浜松市文化振興ビジョン」では、楽器産業など浜松市ならではの文化資源や創造的な人材を観光や産業等に結びつけることで、経済的な好循環を生み出すことを基本施策の一つとしています。今後も音楽を通じた交流や多様な取り組みの情報発信を積極的に行うことで、「音楽の都・浜松」としての都市ブランドをより高めてまいります。

とのご回答をいただきました!

ぜひ「音楽のまち」を体感してみよう!

ここまで読んでいただけたなら「音楽のまちに行ってみたい!」と、思った人も多いハズ。
そこで、それぞれの市のオススメを1つずつ、ご紹介します!

【川崎市】かわさきジャズ

提供:川崎市 かわさきジャズ©青柳聡

2015年にスタートした、川崎市の屋内外さまざまなステージでジャズが演奏される音楽フェス。2022年は9/16(金)~11/23(水)で開催され、期間中は各所でジャズステージを聴くことができます。

ホールでがっつり世界観に没入するもよし、屋外広場で外の空気とのアンサンブルを楽しむもよし。

ステージのスケジュール&場所などはコチラから!

【浜松市】楽器博物館

提供:浜松市 楽器博物館

楽器メーカーが集うまちならでは。公立の楽器博物館は日本で唯一だそうです。
館内には常時1300点以上、世界中の珍しい楽器が展示されています。想像するだけでも圧倒されてしまいそう。

楽器によっては実際に音が聴けたり演奏できたりするようです。
タイミングによってはワークショップや演奏会などのイベントも開催されているので、こちらもぜひサイトをチェックです!

また、楽器博物館ではオリジナルのLINEスタンプもリリースしています。
現在は琵琶をモチーフにした、絶妙にシュールなキャラクターのスタンプを販売中です。
興味のある人はこちらもぜひ!

結局どっちがより魅力的な「音楽のまち」?

さすが「音楽のまち」をうたう両市。どちらも確かにそれを自称するだけの理由がありました。
だがしかし、頂上決戦を宣言した身としては、どちらが“真の音楽のまち”なのか決着をつけるのがスジというもの。

というわけで発表です。色々と調べてみた結果、「音楽のまち」は……、

川崎市です!!

「え、片方を発表しちゃって大丈夫?」「川崎市はともかく浜松市のエライ人に怒られない?」
……とか、大人の常識を知っているがために心配してくださった人、安心してください。

なぜなら浜松市は「音楽の都」だからです!!

決して屁理屈ではなく、僕(この記事の筆者)のようなライターという言葉を扱う職業から見れば、この差は大きいですよ。

決して屁理屈ではなく……。

ということで!(笑)音楽に少しでも興味がある方なら、なかなか気になる話題だったのではないでしょうか?

日本にはまだまだ「音楽のまち」がありますし、この記事を読みながら「音楽のまちと言えば〇〇じゃない?」と、別のまちを思い浮かべた人もいるかもしれませんね。

次に紹介する「音楽のまち」は、あなたが住んでいるまちかもしれません!

トップ画像提供:川崎市©Taku Watanabe

この記事を書いた人

佐藤 卓

元シンガーソングライターなコピーライター。
仕事か、子どもと遊ぶか、清水エスパルスの応援が人生。