楽譜が読めなくても、楽器が弾けなくても。直感的に曲を作って作曲家デビュー!?

 はじめまして!ライターの山﨑と申します。突然ですが、作曲って「才能ある人だけができること」だと思っていませんか?
僕は音楽に関しては初心者なのですが、この春、思い切ってパソコンを使った作曲にチャレンジしてみました。それが思いのほか楽しくて、そのいきさつや面白さを、ぜひ皆さんとシェアしたくて、この記事を書かせていただきました。
音楽ができてもできなくても、すぐに始められて、しかも意外なほど簡単にできてしまうのが作曲。新たな趣味を始めてみたい人にオススメです!

自分に音楽なんて……できるわけない!?

 僕は楽器ができないので、アーティストさんをはじめ音楽関係の取材をするたびに、「自分も音楽ができたら、どれだけ楽しいだろう」と、うらやましい気持ちになるんです。それで数年前、思い切ってエレキギターを始めてみましたが、コードの押さえ方をはじめとする難関の数々を前に、遅々として上達しません……。

 だったら、パソコンで作曲すれば、技術的な問題はクリアできるかも? と思い、チャレンジしてみたのですが、今度は、そのしくみがまったく理解できず、1音も出すことなく秒殺で降参……。そしていつしか「自分には音楽なんてできるわけない。ましてや曲なんて……」と思い込むようになってしまいました。

 そして今年、改めてパソコンでの作曲にチャレンジしました。きっかけは、作曲コミックエッセイ『作曲はじめます!』の著者、「10日P」ことmonaca:factoryさんにインタビューしたこと。本書の内容がわかりやすくて、勇気がわいてきたのです。

 ソフトは、いろいろネットで調べ、直感的に操作できそうなローランドの無料アプリ、Zenbeatsを選びました。『作曲はじめます!』では、Studio One Primeという無料のソフトを使っているけれど、数ある作曲ソフトに共通の使い方や機能を紹介してくれているので、なんとなく勝手がわかります。わからないところは本を見返せばいい。特別な外部機器も必要なく、パソコンのキーボードとマウスだけで打ち込みができることもわかったので、いざ作曲にチャレンジ!

パソコン1台だけで作曲できるけれど、後述するMIDIキーボード(写真右)やオーディオインターフェース(写真中央)といった周辺機器があればさらに楽しくなりそう!

実は、ド・レ・ミの3音だけで作曲できちゃいます!

 メロディから作るか、リズムからか。あるいは歌詞?曲作りの手順は人によって違うと思うけれど、多くのアプリやソフトには最初からリズムパターンがいくつも用意されているので、まずはそれを使って、メロディを乗せてみることに。

 使うのは、ド・レ・ミの3音だけ。入力した音は、まるでエクセルを操作するみたいにコピペしたり移動させたりできるので、適当にいろいろ操作してみます。すると、わずか1分足らずで、曲らしきものができてきたような気が……。
3音しか使っていないのに、リズムと組み合わせるだけで、しかも直感的な操作で、こんなに変化するのか、とビックリ! センスもそんなに必要ないと思います。この操作を続けていけば、もっと本格的な曲ができそうな気がしてきました。どうでしょう?面白そうだと思いませんか?

ドレミを打ち込んで、コピペして、少し消したりしてみて。おお、曲っぽくなる!

 動画ではオルガンの音色を使いましたが、多くの作曲ソフトやアプリでは、さまざまな楽器の音色が出せるようになっているので、ピアノやエレキギター、バイオリンなどの楽器の音色でメロディを作ることも可能です。2つ以上の楽器を重ねて、バンドみたいなサウンドを作ることもできるし、その気になればオーケストラだってできてしまう。なんか、パソコンやスマホの画面の向こう側に、ものすごい可能性が広がっているような気がしてきました。

新しい趣味として、パソコンでの作曲を始めてみませんか?

 いま、仕事の合間などの空き時間を使って、少しずつ作曲を続けています。いきなり何分もあるような大曲を作るのはハードルが高すぎるけれど、例えば毎日4小節ずつ作っていくくらいだったら気楽にできるし、ゲーム的な感覚も加わって思いのほか楽しめます。そして、1曲できあがったら、YouTubeなどにアップしていくと、自分のライブラリが増えていくような、ちょっとした達成感を味わえるのもいいところ。友達とも簡単にシェアできるし、その気になれば世界に向けて発表できてしまうのもすごいことですよね。


僕、山﨑のオリジナル曲である『Wishes.』です!

 パソコン上で直感的にできてしまうので、楽器のように地道な練習を必要としないのも魅力です。そして、「実は楽器の練習にも使えるのでは?」とも思うようになりました。
 例えばいわゆるカラオケ音源を作って、それに合わせて楽器の練習をするとか。「カラオケ音源なんて、かなり作り込まないといけないんじゃ?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、ドラムとベースの音だけ打ち込んで、それに合わせて演奏するだけでもかなり気分がアガります。僕はZenbeatsで最初から用意されているドラムループに乗せてギターを練習するのが楽しくなってきました。思わぬかたちで、ギターも復活!

ギターの練習にも精が出そうです

 やっているうちに、機材にも興味が出てきました。先ほど書いたとおり、パソコンが1台あれば作曲できるのですが、せっかくだったら少しずついろんな機材を試してみたい。そこで、まずはピアノと同じ鍵盤(サイズは本物より小さい)で入力ができるMIDIキーボードを購入してみました。もちろん、僕はピアノが弾けないので、これを機にコードの押さえ方ぐらいは覚えてしまおう、というわけです。ほかにも、ギターやマイクをパソコンに接続するための機器(オーディオインターフェース)も購入しました。これでよりいっそう楽しくなりそうです。

 昨年から「おうち時間」が大幅に増えて、何か新しい趣味を作りたいと思っている人も多いと思うのですが、音楽が好きな人はもちろん、そうでなかった方にもおすすめできるのが、実は作曲なんだと思います。
楽器ができなくても。理論がわからなくても。場所をとらずに気軽に始められる。パソコンで作曲、始めてみませんか?

コラム:僕が改めて作曲にチャレンジするきっかけになった本

『作曲はじめます! マンガで身に付く曲づくりの基本』
著:monaca:factory マンガ:ゆきしろくろ
■定価:1,540円 (税込)
出版社:ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
詳細はこちら:https://gakufubin.shimamura.co.jp/ec/pro/disp/2/g0270509?sFlg=2

本書について
著者monaca:factoryの教えにより、音楽初心者の「ゆきしろくろ」が作曲に目覚めていく物語。その様子を、ゆきしろくろによるコミックエッセイ形式で描きます。monaca:factoryは作曲歴10日目でデビュー曲を発表したことから「10日P」とも呼ばれています。
本書では、「機材を買ったけれど音が出ない」など初心者がつまずきそうなポイントも丁寧に拾って解説しているのが大きな特徴。作曲ソフトの使い方のみならず、音楽表現に関するコラムも充実しているのもうれしいポイントです。初心者の目線がうれしい作曲入門!

この記事を書いた人

山﨑 隆一

編集者・ライター。『月刊ピアノ』、『音遊人(みゅーじん)』など主に音楽関係の媒体で執筆。音楽は聴くだけだったが、近年、自分で音楽する楽しさに目覚める。2020年、宅地建物取引士(宅建)の資格を取得。これを音楽とどう結びつけるかも目下のテーマ。