大井健スペシャルロングインタビュー【前編】(4/4)

大井健 インタビュー写真

幼い頃の記憶が呼び覚ます惹かれる音楽

島村楽器スタッフ
大井さんはクラシック音楽に非常に造詣が深くていらっしゃいますよね。音楽史の中でどの時代の曲調がお好きですか?
大井
そうですね、いわゆる古楽と言われているバッハやヴィヴァルディ、もっとその以前、そのあたりの音楽には惹かれるものがあります。
島村楽器スタッフ
古楽のどんなところに魅力を感じられますか?
大井
小学生の時に住んでいたドイツのニュルンベルクという町にゲルマン国立博物館というところがあって、よく遊びに行っていたんです。そこのギャラリーでは展示されている古いピアノや楽器を使った演奏のCDが聞ける仕組みになっていて。それがすごく好きでした。その時の記憶がすごく強く残っていて、昔の楽器の響きはどこか懐かしさを感じます。チェンバロも大好きです。
音楽に関する記憶はそういう子供時代の経験と密接に結び付いていて、例えばバッハだったらドイツの屋根裏部屋で、コンピューターゲームかなんかしてた時にずっとかけていたとかね(笑)
あとリストだったら、父がずっとかけてる曲だったり。そういうのと一緒なんでしょうね。
クラシック自体、子供の頃から家ではよくかかっていましたし。

音楽に足を踏み入れる方の道標になること

島村楽器スタッフ
コンサートではドビュッシーやショパンなどを弾かれることも多いと思いますが、ポピュラーな作曲家や楽曲を取り扱うのは、やはりお客様を意識されてのことですか?
大井
そうですね、やはり僕を通してピアノを好きになってもらいたいですし、皆さんが親しみやすい曲を弾くということはとても大事なんですよね。そういう曲をきっかけとして普通だったら出会わないようなとっておきの曲も紹介していきたくて。今後は少しずつそのとっておきの曲をコンサートの中に混ぜ込んだりして、ゆくゆくは自分の好きな曲だけでコンサートをやるみたいな進化に繋がっていくのかなと思うとモチベーションが上がります。
島村楽器スタッフ
よく聴かれる曲もピアノ曲やクラシックが多いですか?
大井
はい、古楽はよく聴きますし、ピアノソロだけでなくオーケストラも好きです。マーラーの交響曲第9番とか・・・マニアックかな(笑)
島村楽器スタッフ
マーラー素敵です!ご自身ではオーケストラでコンチェルトをやってみたいと思われたことは?
大井
去年僕の所属している事務所がオーケストラを作ったので、今後そうやって自分の作品だったり、自分が今まで勉強してきたコンチェルトを弾ける機会があるといいなと思って期待しています。
島村楽器スタッフ
デュオで活動されている鍵盤男子の曲は、クラシック曲を少しポピュラーやジャズ寄りにアレンジされていたりとレパートリーが多いですよね。このような形態を選ばれたのは何かきっかけがおありですか?
大井
そうですね、伴奏をしていたレジェンドはオーケストラの曲をよく歌うんですが、実際のオーケストラを頻繁に呼ぶわけにいきませんので、オーケストラの響きをどうやったらピアノで表現できるかということをよく考えました。演歌やバンドの曲も研究してみたり。そういうことをやっているうちに、これってすごく面白いことなんじゃないかということに気づいたのがきっかけです。鍵盤男子としても色んなジャンルの曲をピアノで演奏するのはそういう背景もあります。

様々な進化が楽しめる時代を生きている

島村楽器スタッフ
アニメやゲーム音楽も弾かれていらっしゃいますよね。アニメやゲームそのものもお好きですか?
大井
はい、アニメはたまに見ます。ゲームもたまにしますよ、ファミコン世代ですからね。子供の頃はゲーム機を買ってもらえなかったので、大人になってからの反動はありました(笑)
僕らの世代って色々なものが進化していった時代ですごく面白いですよね。例えば子供の頃は携帯電話すらなかったのに、あっという間にスマートフォンですもんね。
島村楽器スタッフ
音楽に関しても様々な過渡期を経験できる世代でもありましたよね。
大井
学生の頃の小室哲哉さんのインパクトとかね。その頃は海外にいましたけど、学校の寮に一緒に入っていた日本人の友達が今日本で流行ってるベスト集みたいなMDをまわしてくれるんですよ。それをよく聞いてましたね。globeとかSPEEDもみんな好きだったなぁ。あとは中学生の時にYOSHIKIさんに心酔している友達の影響でX JAPANに一気にハマってしまって。当時海外ではなかなか手に入らなかったので一時帰国した時はよくアルバムも買ってました。

新しい挑戦にはジャンル問わず刺激を受ける

島村楽器スタッフ
クラシック以外からの発見も多いですか?
大井
新しいことに挑戦されているアーティストの方にはとても注目しています。例えばサカナクションさんの音楽やライブの演出はとてもかっこいいなと思います。水曜日のカンパネラさんとかも好きですね。
洋楽だとビョークさんは、全アルバム聞いていますし、声だけのアルバムなど面白いチャレンジをされてますよね。ロックバンドだとONE OK ROCKさんかな。本当に演奏がうまくてすごいなって。あとは、いつ聴いてもB'zのお二人の凄さに圧倒されます。
観に行きたいアーティストの方はけっこう多いんですけどコンサートのスケジュールとよく重なってしまって…。今年こそは音楽フェスも行ってみたいですね。