S7G工房訪問記2017 ③

オハイオ州メダイナの街の人たちがフレンドリーでほっこりしながら、アメリカ滞在3日目と4日目を終えました。

◾︎技術交換会

いよいよS7Gのビルダーと、島村楽器S7G担当リペアマン、オジマの技術交換会がスタートです。


フレットのすり合わせ時や、チェックに使う工具は日本でもアメリカでも評価の高いStewart MacDonald、通称スチュマク。言語は違ってもやはりギター製作には共通するものが多いのです。


ピックアップをボディにセットする際に、どうすればよりタイトなサウンドが得られるか、意見交換します。ピックアップ底面のスポンジやビスへのゴムチューブ取り付け等、S7Gらしいサウンドをさらに進化させる試みがなされて行きます。


NCルーターでカットされたRavenを、余分な木枠からカットする作業。電動ノコギリを駆使し、ある程度の余裕を持って削ぎ落として行きます。


そしてサンダー作業。電動ヤスリを使用して、先ほど余裕を持ってカットした部分を始め、全体的に角を落とします。
こういった手順もやはり日本と変わらずですね。オジマもその共通作業に喜びを感じ、ギターを作り始めてしまいそうな勢い(笑)


アッセンブリー関連や半田付けまで話は及びます。ここは日本人の几帳面さが活きる場所! 得意げに半田付けを行うオジマを見て、Chrisも感心。S7Gのギターたちがまた一歩、完璧に近づいた瞬間を見ました。


Chris、Aaron、オジマのディスカッションによって今後のトラスロッドカバーは取り付けせず、内部をブラックで塗って仕上げる事が決定しました。これによって、トラスロッドを調整する際の利便性が向上します。


Aaronの塗装後、UV乾燥機を使用した乾燥を見せてもらいました。最近のS7Gはオーダーしてから納品されるまでの期間が短縮されたと思っていたら、ここに秘密があったようで。

Jimがギター用にカスタマイズしてもらったというこのUV乾燥機。通常1本の塗装を乾かすために1日〜2日かけていたところを、5分に短縮されたとの事。これは確かに捗りますな。

◾︎物色

技術交流は言語の壁を飛び越えるようで、重要なポイント以外はあまりワタクシを必要としてくれません。少し寂しい思いをしながら2日間を過ごしました…


というわけでオジマが作業で交流をしている間、ワタクシは工房内を物色。色々見つけました!
まずは紙ヤスリを巻いてサンディングする道具。底面は究極にフラットになっているこれ、上部にはトイレのインレイが。Aaronの茶目っ気です。


日本からオーダーをかけているRaven HL8弦。肩の部分にはS7Gロゴがありますが、レーザーでの焼印にアップグレードしています。塗装前でもこのカッコよさ。

※2017年5月、モデル名が変更となりました。


1日目よりも時間がたくさんあったので、工房内の木材をさらに物色。杢のしっかり出たゼブラウッドを発見。


撃重なこれはクラロウォルナット。こに渋い杢にしばし見とれてしまいました。


木材保管棚の片隅に、ワックスで保護されながら大切に置かれていたエボニーを発見。これぞペールムーン・エボニー! これ使いたいです。使わせてください。使います。


極上のフレイムメイプルも発見! これは素晴らしい!!
木材の宝庫ですな。


パデューク-フィギュアドメイプル-メキシカンボーコテ-フィギュアドメイプル-パデュークのCobra! 何ですかこれは!?
のちにAaronがやってきて、「これは自分用に趣味で作っている」と…
こうやって趣味でテスト的に作ってくれている事で、きっと新たなアイデアも湧くんでしょう。


ブラックリンバをボディウィングに使用したCobra 6 ファンドフレット。これもAaronのプライベートモデル。


ネックには美しいカーリーメイプルを採用しています。


発泡スチロールで製作されたサンプルがあります。新モデル?


しかもホロウボディ。どんなサウンドになるのか。完成が楽しみですな。

少しJimと話し込んでいたら、いきなりオジマがギターをカットし始めていました。



ちょっと、オジマくん?

いきなりの光景にJimもワタクシも口をあんぐり。


おいおい、どうしちゃったんだ!?

と思ったらChrisが、「このギターは昔の仕様で今は販売しないから廃棄予定のモデルなんだ」と。Jimと共に胸をなでおろしました。


とは言え、カットした部分を丁寧にサンディングまでして、一体何がしたいんだ、オジマくん?


なんと、このヘッドでキーホルダーやその他アクセサリーを作ってお客様にプレゼントできないかと考えたらしく。ヘッドが4つ。
日本に持ち帰ってリペア工房で何かのアクセサリーに変身させるそうです。楽しみに待ちましょう。


3日目の夜は、アメリカンな肉料理にお腹も舌もちょっと苦しくなっていたので、日本食が食べられるレストランに連れて来てもらいました。
"Wasabi Steak House"。結局 肉ですけど(笑)


スーパーハイテンションなシェフは、コントの転換のように"I don't speak English"を繰り返し、我々客の口をめがけて料理用の日本酒を飛ばして来たり、目玉焼きを飛ばして来たり、エンターテイメント性がハンパない。美味しいのも確かですが、楽しい!


鉄板焼きなのにメニューには"Hibachi Steak"や"Hibachi Salmon"の文字が並ぶレストラン。店名は"Wasabi"なのにワサビを使ったメニューがない事もアメリカらしいですな。

4日目はJimたちと早めに別れてホテルに。ホテル近くのバーに行ってみようと思っていたら…


この雨ですよ。

そんな時のために用意していたコレ!


日本のソウルフードですわ。

3日間を予定していた技術交換会は、思いもよらぬChrisとオジマの意気投合によって2日に短縮されたので、明日はJimに木材屋さんに連れて行ってもらおうと思います。ドギツい杢の材があれば入手してオーダーしてこようかな。

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