1. 【マイスター工房通信】弓の「巻き線」のお話。<前編>

【マイスター工房通信】弓の「巻き線」のお話。<前編>

実は色々ある弓の巻き線

みなさま、こんにちは。
弦楽器修理担当の鍵主です。厳しい残暑が続いていますので、どうぞお身体にはお気を付けください。

今回は弓の巻き線についてすこしお話しをさせて頂ければと思います。
弓の「巻き線」と聞いてどこのことを指しているかピンとくる方もいれば、今まで意識したこともなかったという方もいるでしょう。
巻き線は弓を持った時に丁度人差し指が当たるところに巻いてあるものです。使用される素材は、銀線、銀糸、鯨のひげ(イミテーション)などが一般的です。
特に、銀線や銀糸は一般的で、皆様の弓に巻かれていることが一番多い素材です。
普段何気なく弓を持っていますが、実はしっかりと巻き線には役割があり、素材によって見た目や持ったときの感触が変わってきます。もちろん巻き線の違いで感触が異なるので持ち心地、弾き心地にも影響してきます。


【目次】
1.巻き線の素材 
2.巻き線の役割
3.巻き線の巻き方
4.巻き線の交換するタイミング
5.お問合せ 

巻き線の素材

銀線

銀で出来た線です。銀の純度は色々ありますが、工房ではスターリングシルバー(Ag925)のものを使用しています。スターリングシルバーは、美しさもさることながら、銀の中で時効硬化性(時間とともに硬さを増す効果)が顕著で、宝飾品などにも多く使われています。

銀糸

絹糸と銀を撚り合わせたものです。

鯨のひげ(イミテーション)

昔は本物の鯨のひげを巻いていましたが、現在は黄色と黒のプラスチック製のイミテーションのものが使われています。銀糸や銀線に比べて少しごつごつした感触になります。


巻き線の役割

巻き線は見た目の美しさもありますが、しっかりと役目があります。
1つ目が指がしっかりと引っ掛かることによって指が滑ることなくしっかりとボーイングをしやすくすることです。普段意識をしていなくても実は巻き線があることによって指が滑らずしっかりと手の動きを弓を伝えるのを手助けしてくれています。
2つ目は、弓の保護のためです。弓に使われているフェルナンブーコは硬い木材ですが、長年使っていると段々と擦り減っていってしまいます。グリップの革巻きと同じように弓が擦り減るの防いでくれます。

巻き線に巻いてあるビニールについて

購入したての弓には巻き線に透明なビニールが巻いてあることがあります。これは汚れを等を防ぐために巻いてあるもので、使用する際には剥がします。もちろん巻いてあっても演奏は出来ますが、ビニールを剥がすと今までよりも指がしっかりと弓にかかるようになるのでお勧めです。


巻き線の巻き方

銀線や銀糸はミシン糸と同じようにあらかじめボビンに巻いてあるものを使います。弓メーカーなど大量に弓を生産している場合は機械で巻いていたりしますが、工房では手作業で巻いています。
巻いたあとに緩んでこないようにかなりしっかりと引っ張って力をかけながら弓に巻いていきます。かなりの力で引っ張るので力をかけ過ぎると切れる場合もあります。実際に作業をするときは切れない様に力加減を気をつけながら慎重に作業をします。

途中で切れると最初からやり直しなのでしっかりと巻きながら慎重に作業するところでもあります。


巻き線の交換するタイミング

普段はなかなか交換する機会が無い巻き線ですが、こんな時がタイミングの1つです。

巻き線がほつれてしまった時

巻き線が緩くなってくると巻き始めや真ん中のあたりに隙間が出来て動くようになります。この時点では完全にバラバラにはなっていませんので、演奏していても気づかない場合もあります。気付いても緩くなった巻き始めの部分を触ってはいけません。触っているうちに緩みが広がり完全にほつれてしまう場合があります。

完全にほつれてしまうとこのようになってしまいます。しっかりと巻いてあるので糸の様にはほつれず、バネのようになっています。ここまでくると交換するしかありません。

巻き線のメッキが剥がれたり汚れがひどい時

巻き線には銀線ではなく銅線に銀メッキをしてあるものもあります。銀メッキのものですと使用しているうちにメッキが剥がれて銅の色が見えたり緑青が発生してきたりします。見た目が気になる場合や緑青で手が汚れる場合もありますので、交換のタイミングの1つです。
また、銀線に交換すればメッキが剥がれたり緑青が出ることもなくなりますので、お勧めです。


今回は巻き線の素材や役割などを紹介いたしましたが、次回は銀糸と絹糸を使用した美しい巻き線などをご紹介したいと思います。


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シマムラストリングス秋葉原

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店舗名 シマムラストリングス秋葉原
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