スペシャルインタビュー
株式会社三城 代表取締役社長 澤田将広

今回、島村楽器のギタリスト応援企画『I Love Guitar!』ポスターにご登場いただいたのは、『パリミキ・メガネの三城』でおなじみ、株式会社三城の代表取締役社長 澤田将広氏。
『ファッションと音楽』をテーマに、素敵なメガネ店を展開されている会社のトップにお仕事のことや音楽愛などについてお伺いしました! 仕事も音楽も楽しまれている澤田社長のお言葉は、これからギターを始めようと思っている方にとって必見です!

ー本日は貴重なお時間を割いていただいてありがとうございます。よろしくお願いいたします。

澤田将広:よろしくお願いします。

こだわりの店創りについて

ー今日のインタビューが御社の店内ということで、少し早めにお店に入らせていただき、店内を拝見させていただきましたが、とても素敵なお店ですね!楽器がたくさん展示してあり、とてもワクワクします。

澤田:ありがとうございます。

ー店内で流れている音楽や内装を見る限り、いわゆる『オールディーズ』と言われるような作りだと思ったのですが、来店されるお客様の層はどれくらいの年齢なのでしょうか?

澤田:そうですね、基本的には20~30代の方が多いですが、平日の午前中なんかはご年配の方も多いですね。ご年配の方にとっては青春時代を思い出すような作りにしたいと思っていて、ディスプレイなどもこだわっています。

例えばあそこにあるジュークボックスは1950年代のものなんですよ。

ーえ!本物なんですか!?

澤田:本物なんです(笑)

ーこのような世界観は澤田社長のご趣味でもあったりするのですか?

澤田:この渋谷のお店の改装コンセプトを決めた際に、たまたま私の趣味と一緒だったんです。渋谷の街っておしゃれなお店がいっぱいあるんですよ。だからただ『おしゃれなお店』を作っても森に木を植えるのと同じであんまり目立たないと思いました。

だから『時代』という考え方を取り入れて、いわゆるミッドセンチュリー(1940年~1960年代)の内装と音楽をテーマに世界観を決めて店づくりをしました。

そうすると、先ほど述べたようにご年配の方は懐かしんでくれるんです。そして若い方にとってはこのような空間は初めてなので、非常にフレッシュに感じて興味を持ってくれるみたいですね。

ー先ほど店内を拝見していた時に、楽器がディスプレイされている入口から入ってこられるお客様が非常に多かったですよね。やはり楽器がアイキャッチになっているんでしょうか?

澤田:そうなんです。いわゆる『アテンション』ですね。60年代のGretschとか、Fenderの63年製のBASSMAN等を置いています。

ーえ!・・・ちょっと待ってください、楽器もレプリカとかではなく本物なんですか?

澤田:本物です。でも本物だけで揃えてしまうと敷居が高くなってしまうので、レプリカも少し入れて、気軽に入店していただけるように気を付けています。

楽器以外では店内のソファーには実際にクラシックカーレースで使われていたシボレーやキャデラックのボディを使っていたり、テーブル類も当時のバーやダイナーの雰囲気を出すように特注で作りました。

ーお客様を見ていると『Ray-Ban』のコーナーで立ち止まる方が多いですよね。

澤田:このような内装の店に改装する前はサングラスはそんなに置いていなくて、いわゆる『普通のメガネ屋』だったんですけれども、その時は若いお客様が振り向いてくれなかったんですよ。

もともと日本のサングラス市場って非常に狭くて、その当時でも売上の4%くらいしかなかったんです。でも、このような店に変えてみたら売上は2.5倍になり、サングラスの売上比率も50%になりました。

そのサングラス需要をけん引したアイコン的なブランドになったのがRay-Banでした。このようなアトモスフィア(雰囲気)を演出することによってサングラス市場を創ることができました。

ー『市場を創る』。弊社も見習わなければいけない部分です。Ray-Banが主力商品ということでですが、正直結構高価格帯ではありますよね。この辺りはお若い方も購入されるのでしょうか?

澤田:そうですね。実は若い方が多いです。5万円くらいの価格でも、ブランド・コンセプト・クオリティーの良い本物は売れます。

最近はディスカウントスタイルのメガネ屋さんが多くなってきましたが、この店舗コンセプトを決める時に「すべてディスカウント表示をやめよう」と決断しました。その代わりにしっかりと『本物の商品』にこだわろう、と。

『Authentic Eyewear』という言葉を掲げていますが、要は「本物しか扱わないよ」っていう意味。セールは一切やらないんです。でもセールを辞めても結果的に売り上げは上がりました。稀なケースなのかもしれないですけど。

ー安売りって商売の起爆剤のようですが、実は麻痺してしまいますよね。

澤田:そうなんです。もう小売りの時代は価格訴求ではなく、さらに新しい世界に入っていると思います。買い物だけだったらネットでも買えますしね。お店に『わざわざ』来る意味合いっていうのを考えなければいけない。

『ホスピタリティー』っていうものはもはや当たり前で、そこにプラスして『エンターテインメント』がないとお客様には滞留していただけない。かっこいい音楽や内装の空間に滞在すると、かっこいいメガネ欲しいな、と思うようになるんです。

実はメガネを買われる方の3人に1人は伊達メガネなんですよ。度が入っていないメガネを買うということは、それなりのメガネじゃないといけませんよね。お客様が持っている自分自身のコンセプトを主張するためには5,6千円のものだとなかなか難しいと思います。

ーそういう意味ではメガネは道具というよりファッションギアと言えますね。

澤田:そうですね。ジャケットは毎日替えますが、メガネがそのままだと変ですよね。その日のコーディネイトに合わせて使い分けられるように2,3本必要になってきます。

ーこのような形態の店舗はたくさんあるんですか?

澤田:渋谷、原宿、新大久保に作りました。あと、九州の博多に。博多の店舗もアメリカの雰囲気なんですけど、博多は『日本のリバプール』と言われているので、コンセプトをビートルズにしました。

直接的に『ビートルズ』という言葉は使っていませんが、店内にはGretschのBLACK OYSTER(リンゴ・スター愛用のドラム)が置いてあったり、左利き用のHofnerベース(ポール・マッカートニー愛用)など多数置いています。

ーそれは楽しいお店ですね!ぜひ今後もそのような店舗を増やしていただきたいです!

澤田:100万都市を中心に今後もエンターテインメント型の店舗を増やしていきたいと思っています。

澤田社長と音楽の出会い

ー非常にためになるお話をありがとうございました。弊社も音楽を扱っている身として見習わなければと思います。それでは、ここから澤田社長の音楽についてのお話を伺っていきたいんですけれども、ギターをされているというのは事前に聞かせていただいていましたが、いつ頃からされていたのでしょうか?

澤田:ジョン・レノンに憧れて14歳の頃からやってます。実はこのメガネ業界に入ったのも彼のメガネが好きだから、という理由だったんです。
私が入社した1980年の頃はジョンがかけているようなメガネがまわりに売ってなかったんです。学生時代に探し回ったんですがなくて。あるとき、とある外国人の方がかけていたのを見て、どこでお買い求めになったのかを聞いたら「骨董屋で買った」と。
それで今度は骨董屋巡りをしてやっと見つけました。それに度が入ったレンズをつけてかけてました。そのうち、今度は自分でそういうメガネを作ってみたくなったんです。
今は自分のメガネブランドを持っていて、そういうメガネも作っています。

澤田社長デザイン DIGNAクラシック109

ージョン・レノンは本当にお好きなんですね!では、やはり14歳から始められた時は、ビートルズを弾いていらっしゃたんですか?

澤田:そうですね、ビートルズとか、エルビスプレスリー。ジョン・レノンもエルビスにはずいぶん影響を受けていますからその辺を弾くことが多かったです。

ブライアン・セッツァーも大好きなので、ストレイキャッツも弾いてました。

ーでは、バンドもやっていらっしゃいました?

澤田:ええ、やってました。ビートルズのコピーバンドでジョン・レノンのパートを。自宅にはRickenbackerの325も持っています。当時はあんまりお金が無かったので、レプリカだったんですけど。それが初めてのギターでしたね。

ーギターを始められた時はビートルズを弾かれていたということですが、ビートルズの曲はコードが多いですよね。よく『Fの壁』なんて言われますけど、澤田社長はそういうのありましたか?

澤田:そうですね~、、、当時は『弾きたい』という気持ちで一生懸命だったのであまり苦労したという記憶はないです。ジョン・レノンみたいになりたい!っていう気持ちの方が強くて(笑)彼の微妙なコードの癖なんかも真似しました。

ーギターに一生懸命な青春時代を送られた後、三城様に入社されたかと思うんですが、お仕事をしながら趣味で音楽を続けられたのでしょうか?

澤田:続けました。10年間オーストラリアに赴任していた時期があって、現地の人達とバンドを組んで、そこでもビートルズをやってました。今年の2月に社長になってさすがに最近はなかなか時間が取れていませんが、また少し余裕が出てくればやりたいなと思っています。

気分転換として音楽って最適だと思うんですよ。発想力を豊かにしておかなければクリエイティブな仕事ができないので。今現在バンドはできていませんが、毎日自宅に帰ったら必ず30分はギターを触るようにしています。

そして、こういう店構えをしていると、従業員もミュージシャンが増えてくるんですよ。音楽をやっていないアルバイトの子達もギターを始めたりして。店内でライブイベントもやったりしています。

今後はもっと発表の場を創っていきたいな、と思っています。今度大阪の心斎橋の店舗に使っていないスペースがあるのでライブハウスみたいにしようかと思っているんですけど、その際は島村さんとコラボしたいなぁ(笑)

ーぜひぜひよろしくお願いいたします!メガネ屋さんと楽器屋さんがコラボ、、新しくて面白そうですよね!

澤田:『業態』っていうのは今後どんどんクロスオーバーしていくんじゃないかと思っているんですよ。まずコンセプトや世界観が決まって、そこに必然的に見合う家具やギター等が揃う、というような。

今後も『どうやったらお客様に楽しんでいただける空間を創っていけるか』ということを追究していきたいと思っています。

ー本日は貴重なお話しをありがとうございました。

澤田:ありがとうございました。

澤田将広(さわだまさひろ)

略歴

昭和55年4月 株式会社三城 入社
平成13年1月 PARIS MIKI AUSTRALIA PTY.LTD.支配人
平成16年4月 株式会社三城 人事チーフ
平成16年11月 同社 執行役員人事チーフ
平成17年9月 同社 商品開発チーフ
平成27年6月 株式会社三城 取締役
平成28年2月 株式会社三城 代表取締役社長(現任)
平成28年6月 株式会社三城ホールディングス 取締役(現任)