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「Mus'c(ムスク)」は2019年に活動を開始しました。ジャズ、プログレッシヴ、現代音楽、エレクトロニクス等を中心に音楽を聴いてきた経験から、作品もそれらを応用させたかたちで制作・発表しております。これまでにアルバム「Archit.」を発表し、録れコン2021ではアレンジ賞をいただきました。

本名、上野悠河(うえの・ゆうが)は学生時代にオーケストラの打楽器奏者を、現在は現代美術家として活動しております。

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『Karst』とは、石灰岩台地ともいわれる「カルスト地形」のことであり、スロベニアのクラス地方、中国の桂林、日本だと山口県の秋吉台が有名かと思います。

四季によって色の変わる平原、浮かぶような石灰岩の白、地下にできる鍾乳洞を印象として、楽曲の各楽器と奏法、コード・ワークを描き出しました。

編成は、【①平均律と微分音調律のコードトリガー付きエレピ/ピアノ、②ピッコロ(フルート持ち替え)、③フルート、④シロフォン/グロッケン、⑤エレクトリックベース、⑥ドラムス、⑦パーカッション1(トムトム、タンバリン)、⑧パーカッション2(ティンバレス/カウベル/アンビル)、⑨パーカッション3(トライアングル/クラベス)、⑩パーカッション4(吊りシンバル/合わせシンバル/カバサ/タンバリン)】の、打楽器を多用した全打ち込みの現代アヴァン・ジャズ十重奏です。

本作には前奏曲のピアノ独奏『Pétros』があり、両作あわせて約10分になかにモチーフが共有されています。今回は楽曲時間の都合から『Karst』のショート・ヴァージョンを制作しエントリーいたしました。

使用機材

  • Apple Mac Pro (Late 2013)
  • Apple Logic Pro: DAW sequencer, plugins
  • Adobe Audition: DAW mastering
  • RME FireFace800: I/O
  • Apogee ensemble firewire: AD/DA
  • KURZWEIL MIDIBOARD: MIDI-Key.
  • beyerdynamic DT150: headphone 1
  • Meze Audio 99 Classics: headphone 2
  • PRIMARE I21 / L&B FS-61: monitor set

審査員コメント

1970年代のクロスオーバー的なテイストが強く感じられ、スリリングな展開が気持ち良い作品ですね。実際に演奏しているパートと打ち込みで演奏させているパートが区別できないぐらいの精度という形容がふさわしいクオリティの高い作品だと思います。

モチーフとなる演奏フレーズの楽器の割り振りや音域、曲の展開や構成など非常に密度が濃いアレンジに感服です。そのため、曲の演奏時間が5分50秒という応募規定ギリギリの長い演奏時間ながら、聴き入ってしまい、最後まで飽きることなく聴かせていただきました。

録音やミキシングバランスなどについても特に気になる点もなく、言うことなしの仕上がりになっていると思います。エントリーフォームにコメントされている通り、多様なジャンルやスタイルを聴き込まれるという上野さんの作品の土台となっていることがしっかりと伝わってくる作品でした。この作品ではエレクトロニクス的な要素が控えめのようでしたので、エレクトロニクス要素を盛り込んだアプローチの作品も聴いてみたいです。(内藤 朗)

賞品

  • リプロダクション