大井健スペシャルロングインタビュー【後編】(4/4)

大井健 インタビュー写真

アイコンの存在が業界全体の広がりを後押しする

島村楽器スタッフ
弾いてみたい曲と道具となるピアノがあっても、さてどうしようとなってしまう。思い切って近所のピアノの先生や音楽教室に習いに行くことにしても、クラシックのレッスンから始めることが通例ですよね。ピアノを始める際の最初の選択肢が少ないこともピアノを挫折する原因の1つになっていたりはしないでしょうか。
大井
それはあると思います。やはりすごくハードルが高いと捉えられてしまいますよね。
鳥居
ピアノに興味を持った子供世代がピアノを始める時にクラシックの道しかないというような雰囲気は変えていきたいですね。バイエルも指の練習という意味では色んなジャンルに通じると思いますが、お客様が進みたい音楽の方向性に自由にトライできるようにならないと。
島村楽器スタッフ
ピアノのレッスンでそういう選択肢はまだ少ない方ですし、先ほど大井さんが仰られたアイコンになるような人も少ない。どうやったらうまくなれるのか、楽しめるのかがわからないから挫折しちゃう。
大井
確かにその通りで、例えばサッカーで有名な選手が現れて好きなスポーツ選手のナンバーワンになるとサッカー部の部員が増えたりしますよね。そういうムーブメントをピアノ業界でも起こしていかないといけないなと思っています。バイエルやツェルニー等の練習曲も長い歴史の中で残っているものなので良いものに変わりはないんですが、それってやはりどこか最終目標はクラシックピアニストなんですよね。そうじゃない目標や教材がもっと出てきて普及するといいですね。
クラシックだけにこだわらない活動をしているピアニストがもっとタッグを組んで大きいことをするというのは重要かなと思っています。例えば『Les Freres(レ・フレール)』さんや『→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)』さんのようなピアニストや派生ユニットに鍵盤男子も加えていただいて、ピアノフェスのようなものができたらいいですね。
島村楽器スタッフ
それすごくいいですね!最近の男性ピアニストの方でそういう方多いですし。
鳥居
ある意味我々は運命共同体というか、演奏者もメーカーも販売店も、ピアノファンが増えないと全部終わってしまうんですよね。だからタッグを組んで一緒にできることをもっと考えていかないといけないんですけど、なかなか普段はこういう話をする機会無いですからね。
島村楽器スタッフ
そういう大きなウェーブを起こせるきっかけが欲しいですね。
大井
アーティストはみんなすごくやりたいと思っているはずです。そういう現状にぶつかっていますから。ピアノ業界を盛り上げるために何かしたいという想いはみんなあるんですよ。結局それが自らのコンサートに還元されてくるものですし。
鳥居
我々河合楽器としても、電子ピアノとアコースティックピアノどちらかにこだわるというよりは『ピアノ』というカテゴリが大きくなっていくことが大事ですね。昔より今は危機感があるので、実際様々な可能性を持ったメーカー様とコラボレーションしています。今後も製品のコラボやイベントは増えていくと思います。
島村楽器スタッフ
普段の役割の垣根を越えて、協力し合って盛り上げていきたいですよね!
大井
そうですね!ぜひとも!

まずは鍵盤に指を置いてみて欲しい

島村楽器スタッフ
最後になりますが、ピアノ未経験の方やこれからピアノを始めようと思っている方に大井さんからメッセージを頂けないでしょうか。
大井
ピアノを一度も触ったことがない方はまずは鍵盤を叩いてみてほしいです。指を鍵盤に置くだけで、綺麗な音が出るんですよ。その感動をぜひ味わってほしいです。そして、まずは一本の指で楽しむところから始めて、楽しくなってきたら自然に2本の指になって3本になってという可能性がすごくある楽器です。実はピアノは簡単に弾けるんだよというところをぜひ体感してほしいなと思いますね。
島村楽器スタッフ
指を置けば音が出るって実にシンプルで素晴らしい楽器ですよね。
鳥居
確かに、そこはあんまり意識してなかったですけれど、ピアノを通して音楽の楽しさが広がっていくといいですね。
島村楽器スタッフ
今日はお忙しい中本当にありがとうございました。
大井
こちらこそ楽しかったです。ありがとうございました。
河合楽器製作所 商品企画デザイン室 鳥居克彦(左)、大井健(右)の写真
河合楽器製作所 商品企画デザイン室 鳥居克彦(左)、大井健(右)
取材協力
カワイ表参道
株式会社河合楽器製作所